ネット・ネイティブがやってくる:「オレンジ電車おぼえてる?」の出版に思うこと
ネットも SNS も、私にとってはすべてが昔は存在しなくて、最近生まれた気がするものばかりですが、いまの子供たちはもうネットとともに「次の世界」を創りだそうとしています。
私の友人で共立女子中学高等学校の教諭である桑子研さんの教え子らがこのたび「オレンジ電車おぼえてる?」という絵本を自費出版されたという話をうかがってそんなことを考えていました。
この本は創作でも、ネット上での情報の検索だけで作ったわけでもなく、生徒さんたちが実地で取材し、編集、構図の作成、絵の作成までを行ったという力作です。
こうした「生徒の自費出版」の話題はこれまでにも時折聞くことはありましたが、この本は売り出し方が時代に合っています。まず本の話題を扱ったブログが立ち上がっています。制作の裏側について公開しているポッドキャストが iTunes に公開されています。さらに、本の中身を隠すのではなくて逆に朗読用の音声データを公開する、YouTube にも朗読の音声を載せるなど、本自体がネットにむけて開かれています。
この生徒さんたちは、「自分の力で何かを生み出す」という体験だけでなく、自分たちの家・学校というサークルを踏み越えた社会にそれを伝えるという体験も同時にしているわけで、まさにネット時代の申し子という感じですね。ネットがいかなる人にも参入を許すフラットな世界であることも、この子たちには最初から常識なのでしょう。
Lifehacking.jp がツイッターや SNS について積極的に紹介するのも、もうすでに個人の履歴書には「どんな仕事をしてきたか」「どんな技術をもっているか」といったこれまでの判断基準に加えて**「どんなネットワークとつながっているか」**という項目が書き加えられているからです。良かれ悪しかれ、ネットとどのように向かい合っているかが人生を変える時代になりつつあるんですね。
本書「オレンジ電車おぼえてる?」は Amazon では売り切れ状態が続いていますが、東京の中央線沿線の大型書店で手に入るそうです。
利益は1部につき1円だけ出るそうなのですが、そのすべてを子どもの難病治療と研究のために寄付するとのこと。泣かせるじゃないか…。よし、(私の実家のある)吉祥寺は任せなさい!
p.s.
本書については月曜日の午後6-7時のNHK首都圏ネットワークのなかで紹介されるそうです。あと朝日新聞、読売新聞でも話題になるのだとか。まさに新旧のメディアを席巻している感じですね…。
p.p.s.
桑子さんといえば教師として毎日忙しいなか、朝4時起きで参考書を作ってしまうというアクティブな方として以前このブログでも紹介しています(その後、参考書は続編も出版されている そうです。
朝4時の世界、私も見てみたいです…。