[Lifehack Talk] 記憶とやる気に頼らない ToDo の書き方

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「頭を空にする仕事術 GTD」の基本は、「これをやらなくてはいけない」「これを覚えておかなくては」というすべての事を信頼できるシステムに入れることから始まります。

David Allen さんも繰り返し、「空の頭は力を生み出すんだ」ということを話していて、頭脳のなかでぐるぐると同じ事を考えることのストレスを止めるようにということを強調しています。

でも、**なんで頭のなかのことを書き出すと処理が効率的になるのか? **これは「当たり前じゃん」では片付かないことのように思えます。

地味に、でも内容はこってりと続けていますマイコミ・ジャーナルの「ライフハック x トーク」で、 佐々木正悟さんの「記憶ハックス」 について話が及んだついでに、この疑問をぶつけてみました。

そしてそこから見えてきた「タスク」の書き方のようなものについて考えてみました。

「タスク」との向き合い

詳しい点については記事をみていただきたいのですが、まとめると「なぜ書き出すのがいいのか」という疑問への答えは:

  1. ワーキングメモリを酷使しないですむ

  2. タスクがあやふやな状態から明確化される

ということにつきるのではないかと思います。「タスクを覚えているのにも集中力は必要」という状態から解放されるのと、「あやふやな思考をあえて文章に落とし込む」ことが、タスクをわかりやすく、とりかかりやすいものにしてくれるのです。

ここには、記憶にも、やる気にも依存しない ToDo の書き方のヒントがあります。

まず、記憶しなくてよいくらいに詳細に ToDo を書き出すことで、たとえタスクを行うのが自分でなくても実行可能なくらいにタスクが外部化します。

また、どんなアクションが必要なのかを明確に 5W1H の形で書くことで、一瞬先の他人である「未来の自分」に「やるべきこと」を伝えます。

いつも大事だなと思うのは、タスクの書き方からしてまるで他人にむけて書くようにすることで徹底してタスクを外部化することです。

そうすることで ToDo によく含まれる、隠れた「やる気があるなら」をはぎ取ることが容易になるわけです。

(やる気があるなら)「論文を書く」

という、隠れた「やる気」をなるべくそぎ落とし:

p.14 の段落に続いて○○について 300 ワード以内で考察を加える段落を加える

という風に他人でも可能な命令書に落とし込んでいきます。このタスクにだって、隠れた「やる気があるなら」は含まれ得るのですが、先の例に比べたらその印象は薄くなります。それは自分がやらなくても他人にもできるくらいタスクが外部化しているからといえそうです。

こうした徹底した外部化によって、最後に残るのは**「次にとるべきアクションはこれだ。実行する? 実行しない?」という Go / No go という選択だけです。**そしてその答えは常に go とは限りません、残り時間、残りの集中力などのリソースによって、「今はやらない」「15分後に再度挑戦」といった選択が導入できるのです。

ちょっと禅問答めいてきましたが、タスクにふだん(これをやらないとひどいことになるぞ)「仕事をする」とか、(やる気をだして)「書類を書く」という隠れたやる気への依存があるなら、カードに書いて他人に渡せるくらいに外部化した書き方を始めることでちょっと心が軽くなるのではないかなと思ったわけです。

タスクとの「向き合い」の問題は考えれば考えるほど興味深い内容なので、この連載でも、話題がもう1巡したら扱おうかと思います。ブログでもときどき紹介しますが、週に一度の本連載もよろしくです!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。