前準備なしで仕事の効率をいきなり上げるシリアル・ワークフロー
Double Your Productivity with a Serial Workflow | Lifehacker
Lifehacker で Firefox のブックマークを利用したシリアルな仕事のしかたについて解説がされていました。シリアル、ということはマルチタスクの逆で、常に一つのことに集中しながらということです。
この記事では、ウェブ上で仕事をしなければいけない人のために、 Firefoxのタブとブックマークを利用して仕事環境を作ろうという内容について書かれています。具体的には:
-
全てのウェブ上のタスクの一つずつブックマークを与えて、
-
優先順にタブで開いて左のタブから片付けてゆく
というワークフローになっています。ウェブ上だけでは仕事が片付かない人にはあまり参考にならないのですが、それでも非常に共感できるのは「一度に一つの仕事しかしてはいけない」というルールです。著者はこれをシリアル・ワークフローというように呼んでいます。
わたしもシングルタスクの信奉者ですのでこの点には大いに賛成なのですが、私はこれにさらに二つのテクニックを加えることで、さらにシングルタスクの仕事術の効率が上がると思ってます。この3つを常に意識できればいいのになあと、日頃修行中です。その三つは以下の通り。
シングルタスク
人間がマルチタスクで仕事ができるというのは、おおげさにいって、まやかしに過ぎません。人はある時点で常に一つのタスクしかできませんが、それらのシングルタスクを上手に切り替えて見かけ上マルチタスクにしているわけです。
余裕がある場合にはこうした疑似マルチタスクもいいのでしょうけれども、 たいていは一つのことに集中した方がトータルでみた効率は格段に上がります。以前、「超シングルタスクのすすめ」という記事でも書きましたが、自分が尊敬する仕事のできる人はみな、こうしたシングルタスクの達人でした。
シングルタスクが上手になってきたら、「この件を A さんにメールしておき、その返事が来るまでのあいだ短時間でできるタスク B をしておこう」という具合にシングルタスクのワークフローを上手に並列化してゆくことができるようになります。しかしあくまで、この分節化の単位は自分の注意力・集中力の途切れ目ではなく、タスクの区切り目なわけです。
スケールダウン
研究者の世界でも論文が書ける人は「この結果ができたから、もう完成」という具合に見切りが早い傾向があります。それに対して論文をなかなか書けない人(自分含む…)は「これも、あれもやらなきゃ。この結果がまだ不十分だ。ああ、まだまだ完成にはほど遠い」と仕事を自分でふくらませて、締め切りを遠い未来に追いやる傾向があります。
たとえ大きな仕事であっても大事なのは全体の一部分で、そして逆に些末な部分は時間がかかる割にはあまり評価されなかったりします。大仕事であればあるほど、取りかかる前に「やらなくてもよい部分」を徹底的にそぎ落とし、仕事のスケールダウンをはかれば、仕事始める前から仕事を片付けることができます。
「今の仕事でやらなくてもよいこと」を見つけるのは、実質的に仕事を成し遂げたこととイコールだと考えるのがポイントです。
リファクタリング
「よっしゃー、完璧なプランニングができた。あとはちゃきちゃきと取りかかるだけだ」と思っていたのに、 A → B → C → D の仕事の手順の最初の A で手が止まることがよくありますよね。
山登りでは同じ頂上に行くのにいくつか別の登山口を選ぶことができますが、たとえば気軽に登れる筑波山でも、南から登るのと北から登るのでは難易度がまったく違います。山は地形図がありますのであらかじめ困難が予測できますが、仕事の山の難易度はとりかかるまでわからないことが多いものです。
こうしたとき仕事が順調に流れ出すまでは、タスク A がダメなら B に、という具合に頂上をにらんでアタックをくりかえしたほうが、A でずっとつまっているよりも時間とエネルギーを節約できる場合があります。パズルでいうなら、わかりやすいピースを先に当てはめておくと、わかりにくいピースの位置も簡単に判明するのに似ています。こうして手順を再構成(リファクタリング)してやりやすくするのも、実質的に仕事を片付けているうちに入るわけです。
まとめ
シングルタスクというからには、途中でメールを読んだり、ウェブを見に行ったり、周囲の人と話したりするのは禁止しておいたほうが能率があがります。こうした時間を日々の就業時間に習慣化して埋め込むことができれば、さらに良かったりするわけですが、このあたりについてはまた日を改めて。