CEOたちが実践するToDoリストハックと、その逆パターン

CEOというとなんだか巨大企業のトップをイメージさせる言葉になりますが、ここで紹介しているのは大小さまざまな企業の代表、というほどの立場のひとになります。
FastCompanyの ”These 10 CEOs’ Top To-Do List Hacks”という記事で、いくつかの企業のトップが実践しているToDoリストに対する独自のハック(=改良点)が紹介されていたのですが、そのうちの何個かについては「逆」も真だったのが面白かったのでご紹介します。
ToDoに使う紙は小さくするか、大きくするか?
Rockets of Awesome社の代表、Rachel Blumenthalさんが実践しているのは、ToDoリストは出来る限り面積が小さい紙、できればポスト・イットの上に書くことというモットーです。
これはToDoを一日のうちに必ず達成しなければいけないものに集約させ、いつでも持ち歩いて実践し、終わったらすぐに捨てるという実践の仕方をしているのでこうなっているわけです。
しかしこれは逆にToDoはできるだけ大きな紙に書きたいというひともいることでしょう。状況が常に変化し、新しい項目が付け加わるタイプの仕事をしているひとなら、大きな紙面上に頭のなかに入ってくるタスクをどんどん書き出すことで集中力を維持したいという場合もあるわけです。
受信箱をToDoリストとして使う
忙しい人によくあるのが、メールを整理する時間そのものがないので、メールの整理とToDoが融合してしまっているという場合です。
Managed by Q社の代表のDan Teranさんや、HookedアプリのPrerna Guptaさんらはメールの受信箱をToDoとして活用しており、タスクが残っているものはあえて「未読」の状態に戻したり、スターを付けるなどしてGmailの受信場でタスクを管理するとのことです。
もちろんこれは、メールの数が急に多くなるひとや、交信の数が非常に多い人、仕事の進行ペースがゆっくりとしているので未読になっているメールのタスクを処理するうちに他のメールがたまってしまうひとには向いていません。
そういうひとには、メールをみたら「タスク」と「スケジュール」を抜き出してToDoリストとカレンダーに記入し、メールは受信箱から消してしまうという**「インボックス・ゼロ」**の考え方のほうが向いているでしょう。
紙にこだわるか、デジタルを活用するか
オンラインの電話会議やウェブ会議を開発するPGi社のCEOでありながら、Ted Schrafftさんは紙のToDoにこだわるという話も紹介されています。デジタルを使うこともあるものの、最終的には紙の手触りがもっともしっくりとくるのだそうです。
アイデアや書き付けのためには必ず紙のノートを使うというひとも多いのですが、これは紙かデジタルかという機能面よりも、紙に書いたものはページのうえに順番にかかれているために「このへんにあのアイデアを書いたはず」というメタ記憶が働きやすいという面があります。
これももちろん、逆にToDoもアイデアもデジタルでこなすのが性にあっているというひとはいるでしょう。
個人的には、つねにタスクを入れ替えているタイプの仕事は案外デジタルツールには向いておらず、何十個ものタスクを先に書き込んで、それを整理しつつ殲滅してゆくような仕事のときにデジタルは向いているような気がしています。
「今日はここまで」のラインを作っておく
Simple Habitアプリを開発しているYunha Kimさんのアドバイスは「時間制限を設けたほうがよい」というものです。これはタスクを達成するまでの時間制限ではなく「一日にできるのはここまで」という制限を加えることです。
スタートアップ企業の代表なら、ToDoリストは常にいっぱいで、切りの良いどこかまで終わらせて息継ぎをするどころではないからこそ、休息とリラックスのための時間を確保するために時間でタスクを断ち切ってしまうというわけです。
これはいわゆる「クローズ・リスト」の考え方で、一日の仕事がすすむほどにToDoリストの項目は必ず減ってゆくという使い方です。
このアドバイスだけは、逆にすることはできません。ToDoリストは書き込むタスクといっしょにストレスを増やすためではなく、ラクになるためにつくっているのですから、どこかにエスケープルートは作っておいたほうがよいでしょう。
ただし、次から次へとタスクがやってくるようなタイプの仕事なら、今日やる分と、明日以降の分を別々に整理する必要がでてきます。
ToDoの書き方は一つではない
こうしてみると、その人の仕事の性質や、時間のペースといったことによって、紙の大きさ、書き方、ツールの使い方、タスクの書き込み方と処理の仕方もすべて変わってきます。
同じ人が、別の仕事には別のToDoリストの書き方をしていることだって珍しくはないですし、あえてToDoを作らずに頭で覚えられる分だけの重要事項をブルドーザーのような勢いで突き進む筋肉質な仕事の仕方だってありうるわけです。
ToDoリスト一つをとってもやりかたは一つではなく、その都度仕事の摩擦を最小にするためにさまざまな方法を選べばよいのだということになります。
さて、こうしたToDoリストの書き方の話題については「ライフハック大全 - 人生と仕事を変える小さな習慣250」でも2章をまるごと使って紹介しています。もしこうした話題に興味があるなら、発売日に書店でチェックしていただければと思います。
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