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速読に意味はないかもしれない。でも頭の中の音読を減らすことには意味がある

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ライフハッカー経由で見た Inc. の記事で速読には意味がないということが科学的に証明されたという話題を見かけました。

Eye movement is not a pointless time suck, it’s apparently essential for real comprehension. “The biggest obstacle, science shows, isn’t our vision but rather our ability to recognize words and process how they combine to make meaningful sentences,” says the release.

目の動きは意味のない時間なのではなく、読解にとって不可欠だと研究は指摘しています。リリースによれば「研究によって明らかになったのは視界の問題ではなく、文字を認識して視界の中でそれを総合して意味をもった文章として解釈する部分が最も大きなハードルになる」のだそうです。

まあ、それはそうでしょう。これまでも速読自体に意味はないということは何度も指摘されており、その都度、時間に対する「理解度」の指標が変わるだけで結果は概ね同じでした。

「この読書法は違う!これは右脳と左脳を活性化する方法で…」という説明も時折耳にしますが、右脳と左脳の違いというのも俗説だというのは言われて久しいですね。「我々は脳の10%ほどしか使っていない」という俗説もそろそろ退場してほしいところです。

意味のある速読の訓練はある

一方で、たぶん多くの人が望む「速読」そのものではありませんが、読書のしかたを注意することでベースとなる速度が多少変わるポイントはいくつかあります。これはほとんど「術」というよりも、読書慣れしていない人のための練習に近いものです。

アメリカの高校にいた頃、英語の授業ではストップウォッチを先生がもって読書の平均スピードを上げる練習をしてくれていました。これには今でも感謝していて、読書には固有のペースがあって、それを意識することで理解とスピードのバランスを作れるということを学ばせてもらったのです。

ポイントは大きく分けて2つあります。

1. 目の動きを意識する

目の動きを速くする、ではありません。視界を意識します。読書に慣れていない、あるいはその日の読書を始めたばかりのタイミングだと、端から端まで目を移動させ、字を、単語を1つずつ拾うということがあります。

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イメージとしてはこのような感じです。でもちょっと意識して、調子が出てくると次第に次のような視界にシフトできます。

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目の動きは中央70-80%になり、言葉を一度に幅広くスキャンして、一行を3回ほどで咀嚼してゆくというイメージです。

もちろんいきなりここに行けるわけではなく、難しい本は何度も目を前後にやらないといけませんし、普段の読書でも自転車のこぎ始めはゆっくりであるように、次第にペースを掴んでゆくものだったりします。

でも目が慣れてきて理解のスピードが速くなってくると、それにあわせて目のスキャンのスピードを調整できるようになります。

ライトノベル等だと、2-3行ほどを一度にスキャンしている時もありますが、それは文章の情報量や、筋の予測の立てやすさから、それが自然だという場合です。みなさんも、そういう経験はあるのではないでしょうか?

2. 脳内の音読を抑制する

ずい分前に紹介した方法ですが、頭のなかの音読を抑制するのも意味があります。

速読術の基本中の基本、頭の中の「音読」を抑える方法

これも高校時代に教えてもらった方法ですが、舌の上で意味を成さない言葉を転がしておくことで、音読をしてしまいそうになる部分と、思考とを切り離してしまうという効果があります。

inger

よく「あいうえお」と口を動かしながら目を高速スキャンさせると良いなどと書いてあることがありますが、私は先生の教えてくれた「inger (インガァ)」という意味のない言葉を利用しています。

練習には意味があるので計測してみよう

これは実際にストップウォッチをもって実践してみると、結果が面白いのでぜひおすすめしたい実験です。読書をし始めた瞬間の1ページの経過時間と、調子が出てきた頃の時間を測ってみるだけで、15%ほど違いがあるので驚きます。

つまり、軽快に読書をするには、やはりある程度ウォームアップが必要だという点で、これは人によって本当に時間が変わります。

テクニックを使った場合の時間もさまざまです。難しい本は、先ほどの視界の幅もそれだけ狭く、なんども前後を読まないといけません。体調や疲れ具合によってもかわります。変わって当然なのです。

万能の速読方法などありません。どんな本でも10倍速く読める方法がある!という人にはハイデッガーの「存在と時間」でも投げつけておいてください。

でも、読書における視界と、脳内の音読を意識するだけで、快適なペースを作りやすくする方法ならあります。それはとりもなおさず、調子のいいペースで読書が楽しいということでもあるのです。

楽しい読書、これ以上に幸福なことがあるでしょうか?


著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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