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500億のモノが語り出す未来を想像できる?「IoTビジネスモデル革命」で次の時代に備えよ

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IoT (Internet of Things)、この掴みどころのないバズワードをきちんと理解しているかどうかで、やがてやってくる未来をどこまで想像できるかが変わります。

IoT 「モノのインターネット」というからには、パソコンやスマートフォンだけでなくて、家電などがインターネットにつながるということでしょう? というのが一般的な理解だと思いますが、それは形式的には正解でありながら、本質にまったく手が届いていない答えでしかありません。「猫というのは四足の動物ということだよね?」というレベルで正解でありながら本質ではないのです。

では「IoT の本質」はどこにあるのか? それを深くえぐり、来るべき未来を単に机上の空論として語るのではなくビジネスモデルから解説するのが、小林啓倫さんの単著「IoTビジネスモデル革命」です。(著者から貴重な一冊をいただきました。ありがとうございます!)

未来を待ち望むひとにとって、必読の一冊です。

モノが抽象化される。価値が、モノから昇華する

「電球にスイッチは必要か?」そんなあたりまえのような質問から本書は始まります。電球というからにはつけたり消したりするスイッチは当然必要だと思われるかもしれませんが、IoTを概念的に理解できれば、スイッチさえもが必要のない世界を容易に思い描けるようになります。

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本書では導入部でこうした IoT の考え方を丁寧に描き出します。ひとことで「モノ」といっても、どのレベルまでモノを抽象化して考えればいいのでしょう? モノのどんな側面がネットワーク化されるのか? なにが成立すれば、モノは IoT 化したといえるのか? そうした問いへの答えが明快に解説されます。

一言でいうと、これまでは人間の操作が前提とされていた「モノ」に対して外界を把握するセンサーという「目」を、自立して判断することを可能とする「頭」を、自分自身をより大きな集合の一要素として振る舞わせるためのネットワークとデータを与えること、それがいわゆる「IoT化」です。

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これが完全に実現すると、人間との相互作用で設計され、運用されてきた「モノ」が独立した宇宙を作り上げます。500億の機械が500億の機械と私語を交わして知らず知らずのうちに人間の社会を支えてゆく、そんな未来像が立ち上がってくるのです。

すると、これまで我々が扱ってきた「モノ」が非常に抽象化されて、その機能が我々の手元を離れてゆくようになります。たとえば自宅のドアの前でしか意味をもたず、扉自体の開閉をつかさどる「鍵」というモノの機能を鍵自体から奪ってみたらどうなるでしょうか?

そうした考え方は扉の開閉さえできるなら鍵がなくてもよいし、扉の開閉をその機能の一つに含むより広汎なサービスにその機能を回収してもいいじゃないかという発想につながっていきます。本書では豊富な事例から、そうしたモノの抽象化を例示していきます。

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しかし本書の白眉は、最終的に IoT がどのようなビジネスモデルの変革をもたらすのかを解説している後半部です。

いままでなら、機能をもった「モノ」を開発して売り、それの買い替えサイクルで経済を回すという考え方が成り立ちました。クラウド技術によって「モノ」から機能が少しずつシフトしたとはいえ、基本はまだそのままです。

しかし IoT 化が進んだ世界では、機能の多くがネットワークに接続された「モノ」の集合から生み出されるので、このサイクルが一変するということが本書では説かれています。

上の図は IoT 化によって製品サイクルではなく、モノの先にあるサービス、データの蓄積がもたらす価値で回されるビジネスを表現していますが、これを見るだけでも、IoT を考慮した製品開発においてどこで収益を確保すべきなのか、ぐらぐらとこれまでの常識が揺るがされます。しかもこの図には続きもあるんですよ。

最終的に、本書は IoT は全世界的なビジネスモデルの変革を意味しており、それを成功させるために打つべき戦略にまで考察が進みます。直接 IoT 製品の開発をしていないひとにとっても、「これってどういう仕組のビジネスなんだろう?」という疑問に答えがあれば未来をより深く理解できるという意味でおすすめです。

また、NTTコミュニケーションズやパーク24といったすでにIoT化にむけて舵を切った企業へのインタビューも随所に盛り込まれていて、なるほどそういうわけだったのかと膝を打つ話が数多く紹介されています。

ioT はもうすでにやって来ている未来です。ただ、それは「まだ均一に分配されていない」だけなのです。そしてそれは、本当に世界を覆い尽くしたら私たちの目から透明になる技術でもあります。

IoT を理解するなら、まさに今しかありません。なんて幸せな時代に生きているんだろう!

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朝日新聞出版 (2015-12-07)
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著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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