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100冊の本を読んでみよう

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読書は、本当にいいものです。

疲れていても、書物のなかの世界には新しい活力を見いだせます。知らないことばかりでも、一冊ずつ道標を見つけることができます。助けがほしいときに、他のどこにも得られない友人を、隣人を、師を見出し、自分自身を取り戻す助けが得られます。そして単純に、本とともに楽しんだり、笑ったりくだらないと落胆したりする時間を過ごすのは、時の有益な使い方です。

でも本は、時間をそれなりに投じなければいけない楽しみでもあります。すべての仕事や生活上の単位がどんどんと短く切り刻まれているいま、数時間でも読書の時間を維持するのは意識せずには困難です。

Mashable の記事で、2015年の一年間に100冊の読書をしたライターの告白記事が掲載せれていて、真面目な、嘘のない読書の向き合いとしてとてもよい読み物となっています。100冊の旅は、時間との、自分との戦いでもあるのです。

一年100冊の重みとスピード

このライター、Aliza Weinbergerさんはそれなりに本の虫として育ったものの、大学での課題漬けに嫌気がさし、卒業してニューヨークに引っ越しをしたタイミングで、かつての読書の楽しみを取り戻すためにこの目標を設定しました。

選んでいるのは、すべてそれなりのページ数をもつ小説が多く、どれも完読までに平均して3-5日はかかります。アメリカには、ものの30分で読める新書のような本はありません。たとえばこれは1月の彼女のリストです:

1. Outlander by Diana Gabaldon. 850 pages, 5 days to read. My rating: 4/5
2. Dorothy Must Die by Danielle Paige. 480 pages, 3 days to read. My rating: 4/5
3. MWF Seeking BFF by Rachel Bertsche. 384 pages, 5 days to read. My rating: 4/5
4. Eleanor & Park by Rainbow Rowell. 336 pages, 1 day to read. My rating: 5/5
5. The Absolutely True Diary of a Part Time Indian by Sherman Alexie. 229 pages, 1 day to read. My rating: 4/5
6. Dark Places by Gillian Flynn. 349 pages, 3 days to read. My rating: 3/5
7. Neil Patrick Harris Choose Your Own Autobiography by Neil Patrick Harris. 304 pages, 2 days to read. My rating: 4/5
8. Lola and the Boy Next Door by Stephanie Perkins. 368 pages, 3 days to read. My rating: 3/5
9. Isla and the Happily Ever After by Stephanie Perkins. 368 pages, 2 days to read. My rating: 4/5
10. Grasshopper Jungle by Andrew A. Smith. 416 pages, 4 days to read. My rating: 2/5

Aliza さんの助けになったのは二つのブッククラブ、ニューヨーク公共図書館、そして同僚ライターたちが編纂する Mashable 自体の読書カテゴリでした。

読書は紙だけでなく、Kindleによる電子書籍と、その読み上げ機能をつかっていますが、あとは毎日定期的に読むことによって毎月7-10冊の本をこなしてゆくということをしています。

きっと、冊数だけを目標にしているなら、彼女にはもっと一日で読める本を大量に選んでさっさと数を増やすという選択肢もあったでしょう。でもこれは、あくまで読書への愛情ゆえにやっているとりくみだったので、彼女はRon Chernowによる”Alexander Hamilton”、832ページにもわたる膨大な本にとりくんだり、それまで試したことのないジャンルにも挑戦していきます。

毎月の本には、特徴もあります。「最も楽しめたもの」「最も読むのを隠しておきたいもの」「仕事で読むもの」。こうしてじりじりと目標に近づき、なんとか12月始めで残り10冊、そして年末で100冊まで到達したのでした。

負荷と、冊数

Alizaさんの読書をみていると、楽しみのための軽いタッチのロマンス小説から、多少の挑戦が必要な真面目な小説まで、読書の幅が大きく撮ってあるのがわかります。

楽しみと、挑戦を交錯させて、常に月に7冊程度を読む射程を横目でたしかめつつ、楽しさも妥協しないという態度があります。

よく速読のエントリーなどで、「年に数百冊読んだ」「一日に十冊読んだ」などと数字だけが並ぶことがあるのですが、それがどこまでこの楽しみと負荷のバランスを考えているのか、すこし疑問に思います。

読書は、脳によるデータのダウンロードではありません。ただ読み進めるのではなく、そこには体験としての豊かさがなければ冊数の数は色あせてしまうでしょう。

一方で Aliza さんは「100冊という目標があったからこそ、続けられる」という側面があるとしています。この数は、一日の自由時間と、どのような本を体験としてくぐりぬけたいか次第で多くも、少なくもなるでしょう。しかし一日に一冊以上というのなら、それは読書なのか、文字に目を通しているだけなのか、ぎりぎりの線になってくる気がします。

なので、私もこのかたのチャレンジに着想をえて、今年の読書の旅を少し考えてみたいと思います。ただ読むだけではない、新しい体験や、経験や、知性への挑戦や、ジャンルに心を開く余裕をもつ、豊かな読書の、重さとペーストのバランス。

その様子はぜひ、わたしの知的生活ブログ「ライフ×メモ」のほうでご紹介したいと思います。


著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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