ホーム人生「扉」をみつける人になりなさい。奇跡のクラウドファンディングが教えてくれる、熱意と愛情を惹きつける人の秘密
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「扉」をみつける人になりなさい。奇跡のクラウドファンディングが教えてくれる、熱意と愛情を惹きつける人の秘密

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ブルックリン在住の写真家であり有名ブログ “Humans of New York” のBrandon Stantonさんが移動中にテレビクルーとしゃべっていたとき、車を運転していた男性がエチオピアの道路事情の悪さについて触れたところからこの物語は始まります。

「エチオピアだって? そこで仕事していたのかい?」

「いや、娘を迎えにいったのさ」

その男性と奥さんは長年子供を望んでいましたが、どうしても授かることはありませんでした。奥さんは養子をひきとることに乗り気でしたが、彼は実の子供ではなければ愛せないのではないかと恐れていてなかなか決められずにいました。

ある日、彼はテレビでエチオピアの支援活動について目にします。そこでは支援のビフォー・アフターの写真を紹介していて、骨と皮のような、それでも目に力強い光の宿った子供が、数ヶ月の支援所での生活のあと普通のこどものように活き活きとしている写真がありました。彼は奥さんのほうに向き直っていいました「養子をもらおう」。

逡巡と勇気

しかしそれでも道のりは険しいものでした。最初、夫妻は新生児を養子にほしいと思いました。子供の小さい頃を見逃すのはあまりに惜しいとおもったからです。しかし新生児の待ち順はあまりに長く、三歳から四歳児でも待ち時間は二年ほどでした。すぐに養子に迎えられる子供は七歳以上で、なんらかの障害やハンディキャップをもっている子供でした。夫妻は逡巡します。

ある日、夫妻が旅行先で養子のエージェントから送られたパンフレットをみていたとき、そこには笑顔もなく、孤児院のピンク色の壁にもたれかかる片目の見えない女の子の写真がありました。「この子だ」と男性はいいました。「この子が僕らの娘だ」。

そしてエチオピアから彼女をひきとって三年、その子は身長が30cmものびて、英語も達者になり、片目が不自由でもサッカーに体操にバスケットボールを楽しみ友達の多い元気な女の子に開花しました。「最高の娘さ」と男性は誇らしげにいいます。

「すばらしい話だ。それ、ブログでシェアしてもいいかい?」と Stanton さんが頼むと、男性はもちろん、と答えました。そして言いにくそうに間をおいてから、「その、もし可能なら、あの娘に弟をもう一人養子で迎えるために支援してもらってもいいかい。もうその子は見つけているんだ。でも経済的に準備ができていないんだ」

Stanton さんが男性のために立ち上げた Indiegogo のクラウドファンディングは 26000 ドルの目標額をあっという間に通過し、たった24時間で84000ドル(826万円)を集めました。

扉をみつけ、それを他の人のために開けること

この話をアメリカらしいハートウォーミングな話だねと片付けることもできます。あるいは、飢えた、親のない何十万人の子供のうち、たった一人だけを先進国の人間が「助ける」構図に偽善を感じ取る人もいるかもしれません。

しかし私はこのように思うのです。ここにこの出資するためのページがあり、この物語があったからこそ、4500人以上の人々は我先にとお金を出資したのではないかと。扉が用意され、扉を開けてくれた人がいるからこそ、人々は混じりけのない愛をそこに注ぐことができたのではないかと。

Stantonさんが書いたこの男性の物語は、誰にとっても共感を覚えることができるものです。自分の子供でなければ愛せないのではないかという不安、成長したこどもを引き取る不安、障害をおった子供をひきとる不安。それはもちろん弱さですが、そこから立ち上がるこの男性の小さな勇気に、私達は「自分たちもそうなりたい」と自分の心が吸い寄せられるのを感じます。

それはもちろん、さまざまな面で偽善です。でも偽善だからといって手を止めていたらこの小さな子ども一人救えません。私はこの男性に、この記事を書いたStantonさんに、開かれた扉に殺到したこの人々によくやったと賞賛を贈らずにはいられません。偽善上等!といったものです。

あなたは Gatekeeperか、それともGateseekerか?

そしてこの物語から、もうひとつの重要な公式が見えてきます。それは、世界はこうした扉であふれていて、誰かに発見され、開かれることを待っているということです。

えてして、この世界は Gatekeeper、つまり扉を自分のためにとっておいて、そこを通りたいという人から税を集める人であふれています。

でも私たちはむしろ Gateseeker、「扉を探し当てる人」でありたいものです。行き場のないやさしさや孤独、楽しいことを一緒にやりたいという熱意、そうしたものに「こっちだよ」と扉を開いておいて通してあげる人でありたいものです。

この Indiegogo の出資ページが多くの人の優しさが発露する「扉」になったように、あなたが作る製品が、なしとげる仕事が「扉」になるかもしれません。ふと書いたブログ記事が同好の士を集めて楽しむ「扉」になるかもしれませんし、電車のなかで微笑みながら席をかわるくらいのことが意外な「扉」となる可能性もあります。

Gateseeker は自分の見つけた扉を他人が通るのを嫌がりません。扉をみつけて開けておくのが彼の喜びであり、通る人が多いほうが自分にとってもよいことだということを理解しているからです。あなたは扉を自分のためにとっておきたい人ですか? それとも、隠された扉を探求して開け放ちたい人ですか?

このブログ記事も一つの扉です。あなたがきっと後者たらんことを望んでいるはずだと知っていたので、ここに開けておいたのです。どうぞ、お通りください。続きは向こう側でお話しましょう。

「扉」の向こう側で。


著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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