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「Amazon Kindleダイレクト出版完全ガイド」で時代の最先端の流れを受け取ろう



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見かけどおりではないものがウェブにはいくらでもあります。

ブログだってそうです。ブログを書くことは単に文章や写真をウェブにアップするだけのことです。しかしその背後にある、「個人がコンテンツを全世界に提供するコストが限りなく低い」「ウェブのフラットな関係の網目にコンテンツが載る」といったロジックが、ブログを個人のメディアにも、新しいジャーナリズムにも、政治のツールにも変えるのです。

Amazon Kindleダイレクト出版(略してKDP)は、個人出版のプラットフォームと言われていますが、ここにも見かけどおりでないものが隠れています。「自分は本を書かないから関係ない」と思っていると、本当にもったいないことになりかねません。

これまでKDPでどのように出版するかという本はいくつかありましたが、みたいもん!のいしたにまさきさんら3人の共著の「Amazon Kindleダイレクト出版完全ガイド」は、KDPのノウハウから背後のロジックまでをすべてまとめてくださったかっこうの入門書になっています。

著者からレビューに御本をいただきましたのでご紹介したいと思います。

KDPの3つのハードル

KDP本を作ろうと思った時に、ハードルとなる点がいくつかあります。それは、どのようにして本を作成すればいいのかという「執筆の問題」と、どのように Amazonにアップロードできるファイルを作ればいいのかという「技術の問題」、そしてアップロードしたのはいいのですがどのようにして広め、売ればいいのかという「プロモーションの問題」です。

実は私も、「Evernoteハンドブック」を作成した際にこれらすべての問題にゼロからタックルした経験があり、それぞれが一筋縄でいかないということを思い知りました。

たとえば、最初の問題だけをとっても、「本」という体裁はどのような手順でつくればいいのでしょう? 編集はどのようにすればいいのか? 校正は? 分量はどの程度が適当なのか? 著作権といった権利の問題はどのように考えればいいのか? といった、未経験者には容易に答えのでない疑問が浮かび上がってきます。

「技術の問題」もまた悩ましく、買ってくださった読者に一人でも「読めない!」という人がいたらどうしようという恐れから、ファイルのフォーマットや使って良いフォントに至るまでそれなりに気を使います。

そうして生み出した本ですが、Kindle本という性質上、Amazonの検索に表示されるようになるのは心強いものの、書店に平積みにされるわけではありませんので、そもそもどうやって人に検索され、目にとまるようにすればいいのかという問題が出てきます。

つまりKDP本を作る人は、作家と編集とプログラマの三役をこなす必要があるのです。

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こう聞くと、「無理だ!」と思う人もいるかもしれませんが、本書ではまさにこの3つの問題を1つずつ解体するために3人の著者がそれぞれの得意分野で腕をふるっています。

宮崎さんはKDPにおけるAmazonとの契約の内容について、著作権や引用の仕方、本としての体裁の作り方など、本が本として成り立つパーツについて解説をしています。

境さんはそれに対してKDPにアップロードするファイルの形式についてツールの使い方とともに解説。ここでは LibreOfficeが軸となっていますのでWin/Mac両方に対応していますし、epubそのものについての知識はほとんどなくとも動作するファイルが作れるように構成されていますので、恐れるに足りません。

そして最後の問題への答えとして、いしたにさんは本をどのようにして売るのか、というプロモーション部分について、ブロガーらしい立場から解説を加えていきます。Kindle本のプロモーションは基本的にウェブプロモーションであること。なので、ウェブにブログなどといったホームグラウンドを持っていることの重要性などが挙げられていきます。

KDPの隠れた最大のハードル

しかしKDPを始めるにあたって最大のハードルは、実は上記の3つではなく、そもそも始める前からやめてしまいかねない、「自分に本は書けない」「そんなコンテンツはない」という自分の中に作った壁なのではないかという気がします。

そんな人にぜひとも読んでいただきたいのが、本書の冒頭、1-2 の「過去の蓄積を本にしよう」という部分と、巻末の対談です。

ブログを書いている人なら、すでにさまざまな文章やコンテンツの蓄積があります。何も書いていない人でも、写真や、ちょっとしたメモやブックマークなど、何も蓄積していない人というのはあまりいません。

この「自分にとって楽しい何か」が、実はすでに膨大な情報の中から濾し取られたコンテンツの原石だったりするのです。自分にとって楽しい何かは、きっと他の誰かにも楽しいのかもしれない。この発想に火がついたなら、あとの作業は手続きにすぎません。

巻末の対談にはGene MapperというKindle界のベストセラーで知られる藤井太洋さん、株式会社デジカルのブックデザイナーの荻原弦一郎さん、LINE株式会社ウェブディレクター・編集者の佐々木大輔さんが登場し、それぞれの立場でのKDPへの取り組み方を語られています。

これらの対話も、「すごい人はこうして本を作っている」というよりも、「自分のスキルはどのようにここで活かせるか」という視点で読むと、自分なりの本作りへのヒントになるはずです。

まとめ

実のところ、本書はいつにも増して私の嫉妬ゲージが振り切れそうな内容で、読んでいて心がちくちくと痛いものがありました(笑)。

なぜって、私自身が学生時代から組版や編集を自分の手でやるのが大好きな自作の本作りの愛好家でもあるからです。私自身はまだKDPに本を出せていないのですが、本書をめくりながら「ああ、楽しいよねえ」「ああそう、こういうことを気をつけるんだよねえ」と、にやにやが止まりませんでした。これではいけない。

KDPは「本をつくる」という形式によって分かりづらくなっているものの、実はブログとよく似た、個人が自分の好みや趣味や欲望を注ぎ込む「器 = medium」のプラットホームでもあります。

誰もが私の組版熱のようにもっている「熱」を形にすることができれば、そこには自分が自分の運命を握る新しい世界が待っています。その世界への扉として、本書は格好の入門書となるでしょう。

p.s.

本書の出版記念セミナーとして、同じくKDPでワンコイン本という画期的な流れを作りつつある勝間和代さんといしたにさんの合同のイベントが5/31に開催予定です。こちらもあわせてどうぞ。私も馳せ参じる予定です。

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著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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