2013年は装着型モニターの年に? Fitbit、Withing、Memoto が開くもう一つのアナログ・デジタル界面

Fitbitは装着型の運動モニターです。去年紹介して以来、Fitbit Zipと、Fitbit Oneという新製品が発表されていたのですが、さらにリストバンド型のモニター Flex が発表されています。

リストバンド型というと、2013年ついに日本での発売が決定している Jawbone の Upと正面対決となるわけで、にわかにこの分野は騒がしくなってきました。

去年から愛好者の間ではだんだん広がっていた装着型センサーが日本でも大きく広まる年になりそうな予感がしています。### Withingからは小型モニターも発表

ほとんど時を同じくして、WiFi体重計で有名な Withing からは小型の運動モニター Smart Activity Trackerが発表されています。

Withing

それぞれについてまとめておくと、Fitbit Flex は他の Fitbit と比べて階段の登った段数を記録することはできません。また、睡眠記録もアプリから行う必要があるなどデザインと値段を優先した部分があります。

ただし、Jawbone Up が有線でつながないとデータが転送できないのに対して、Fitbit Flex は Bluetooth 4.0 で自動的にデータがアップロードされるという利点があります。

Withing の Smart Activity Tracker はこの手のモニターとしては初めて心拍数のセンサーを裏面に内蔵しています。その他の機能の詳細は不明ですが、春に発売される前にはわかるはずです。

もうひとつの、アナログ・デジタル界面

ScanSnap で注目され、かなり世の中に浸透した紙のデジタル化ですが、FitbitやWithingのモニターが実現するのは「肉体のデータ化」です。

それは、これまでなんとなく体重計に乗ったり万歩計で測っていたデータを、リアルタイムに常にモニターすることで「点」ではなくて「面」のデータにするという効果をもっています。

科学のデータ解析では、点の連続、つまり線に対してできるのはせいぜい相関や周期の解析に過ぎません。しかし2次元、3次元とデータの軸が増えると、すべての軸をもっとも説明するパターンのようなものも多変量解析という形で計算できるようになります。

「脂肪を燃焼する体質」などといういかにももっともらしいけれども何を指しているかわからない表現を改めて、運動あたりの体脂肪率の変化傾向、体重との相関などといった形でアプリが表示できるようになる日も近いかもしれません。

さらに妄想を推し進めると、気になるのは肉体と外界との界面のデジタル化です。やはりここで登場するのは Kickstarter で話題をさらっていたライフログカメラ Memoto です。

Memoto

装着していると、30秒に一度写真を撮影し、位置情報とともに保存してくれるMemotoは自分と外界、地球上における位置という界面を写真という形で保存してくれます。

これら全部が連携することができれば、体調や行動パターンといったものがすべて自動的に客観的になり、そこから学ぶことができます。MemotoについてはさらにMemotoユーザー全体で断面をとれば「ある日の東京」といった写真クラスタも作れるわけで、これは私個人がみることができる風景を拡張してくれます。

一つのモニターでは意味がない。一人がモニターをしているだけでも意味がない。2013年はこうした装着型モニターが広まって新しいデータの「面」がみえてくる一年になると面白いなあと思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。