iOSの音声認識でメールを書いたらとてもはかどることがわかった

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iOS 5.1 で追加された音声認識機能で最初の数日間遊んでみたけれども、その後あまり利用しなくなったという人も多いのではないでしょうか?

しかし先日病気で倒れて、キーボードに向かうことができないので音声認識でメールを書いたとき以来、この機能を利用することでメールの下書きがとてもはかどることを発見してちょっとした楽しみになっています。

小さな工夫で、iOS の音声認識はかなり正確に文章を拾ってくれるようになりますし、意外な効果があってメールがはかどるようになったのです。我流ですが、コツとポイントについてまとめておきます。

音声認識のこつ

なんども誤認識を繰り返して分かったのが、iOS の音声認識はマイクに口を近づけて、大きな声で発音しなければいけないということと、少しゆっくりめにしゃべった方が変換がうまくいくという点です。

上のマイクの画像でいうと、音声のバーが半分以下だと誤認識が混入する可能性が高くなり、半分から max で発音していると認識率がかなりよくなります。マイク付きイヤホンを持っている人はそれを利用した方がよいでしょうし、もっていないばあいはマイク部分に口を近づけるだけでも認識率は高まります。

また、これまでの音声認識アプリなどでは1行程度しか入力できなかったために区切って発音するクセがついていましたが、iOS の音声認識は一段落や二段落分をまとめてしゃべっても問題なく入力することができました。

メールによく使う文字や記号も音声で

メールとして問題のない文章にするためには、句読点や記号、ときには箇条書きといった要素も必要になりますが、これも音声認識から入力することが可能です。「・」「…」といった表現も可能ですので覚えておくといいでしょう。

  • 句読点:そのまま「まる」「てん」でちゃんと句読点が挿入されます。たとえば「こんにちは、堀です」という文章なら「こんにちは てん ほりです」と発音すればOK

  • 改行:「かいぎょう」と発音すれば、改行が挿入されます。

  • 矢印:「→」は「やじるし」で入力できますが、「←」は「ひだりむきやじるし」、「↑」は「うわむきやじるし」といった方向をいえば入力できます。

  • その他の記号など:「?」は「クエスチョンマーク」あるいは「疑問」で入力できますし、「!」は「感嘆符」「びっくり」で入力できます。「・」は「中黒」、「…」は「さんてん」など、けっこういろいろな記号を受け付けてくれます。

  • 数字、日付など: 数字は「せんにじゅうよん」という具合に読み下してもいいですが、桁が多い場合などは「いちぜろによん」と数字を読み上げた方が正確に入力できました。また、年号と日付はそのまま読み上げることで適宜数字と漢字を組み合わせてくれます。

実際にメールをかいてみる

実際にメールやブログの下書きを音声で入力すする際には、何についてしゃべるつもりなのか3点ほどメモを走り書きしてから1テイクで録音します。この事前の要点整理がポイントで、30秒ほどでこれをおこなうだけでもしどろもどろにならずにすみます。

多少どもっても、そのまま続けてしまいましょう。1分も話せばけっこうな量の文章を一気に書くことができますし、あとで修正する方がゼロから文章を書くよりも速かったりします。

こうして1分ほどで要点整理 → 1分で口述筆記 → 下書きへ → 数分で清書という流れでメールを書けば、白い画面に向かってメールを書くよりも速いケースが多いわけです。仕事場で近くに他の人がいる場合は音声認識を使うのは難しいので、私は要点を整理したら気分転換がてら、ぶらぶらと歩きながら音声認識を起動するようにしています。

実はこのブログ記事も、半分ほどの文章はあらかじめ一気に音声認識させておいた文章を軸にして清書してあります。文章には口述特有のクセが残りますので注意が必要ですが、なかなかに効率的です。

このように口述で手紙をかくことはなにも珍しいことではなく、その昔は普通に行われていたことでもあります。

病気で寝ている間読んでいたガブリエル・ガルシア・マルケスの「迷宮の将軍」の実在する主人公であるシモン・ボリーバルは生涯に一万通もの書簡を口述筆記させていて、小説内にもありったけの紙に手紙を書き取らせて、紙がなくなったら壁に書いてというシーンが登場します。

キーボードが最も効率的な入力デバイスであるとは限りません。慣れてくれば、案外音声こそが最高の入力方法ということもあり得る気がします。

迷宮の将軍

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。