「無理をしない」習慣をつくる

一週間前、ちょっとした手違いで双子座の私が魚座の人の集う飲み会に招待されたので興がのって出かけたところ、帰りがけに思いがけないことで救急車のお世話になってしまうという出来事がありました。

その日はそもそも最初から体調がよくありませんでした。花粉症から進行した喉の炎症や軽い難聴もありましたし、そもそも睡眠が少ない状態だったというのも助けにはなってないでしょう。

会は楽しんだものの、これはあまり長居してはいけないと思って帰宅の途につき、満員電車の席になんとか座れてほっと安心していました。すると急に、体の各所の痛みとともに両手の感覚が消えて重くなってきました。驚いて指を動かそうとしますが、いきなり粘土で置き換わったようにゆっくりとしか動きません。その間にもどんどんと痺れは広がってゆくように思われました。

素早く考える必要がありました。このままじっとして、30分後に自宅のある駅についてから病院にいくか、それとも次の駅で降りるか、それともこの場で助けを呼ぶか。意識は大丈夫そうでしたが、そう安心していてよいものなのか。そもそも、これはどういう症状なのか。

すぐに結論は出て、私は次の駅で降りると駅員の宿直室に駆け込んで救急車をよんでもらいました。体験したことがない症状だったので、動けるうちに最善の手を打とうと考えたのです。

救急車はすぐにやってきて、私は心電図をとられながらそれまで降りたことがなかった駅の知らない病院に搬送されました。### 「無理」を計画的に除去する

この時点でかなりのしびれはとれてきていたので、これは大事ではないなと判断して家族へ連絡したりツイッターへと書き込んだりしていました(ご心配おかけしたみなさん、申し訳ありませんでした!)。

検査の結果も特に異常なしで、痺れは何らかの原因で過呼吸になったせいかもしれないといわれて私はもう電車もない知らない街に放り出されることになりました。実際は、その後数日にわたって脱水症状でベッドの上で過ごす羽目になりました。

このベッドの上の数日は RSS も消化せず、メールも一切読まず、リアルタイムに刻まれるネットの時間から離れて過ごしていました。無理をしているつもりはなかったのですが、きっと少しずつ「無理」が入り込んでいた日常をどうしたらもっとストレスが少ないものにできるかを考えていました。

そうしていま進行中なのが、次のいくつかの最適化です。

  1. 読んでいる情報の量をさらに減らす:「もしかしたらブログのネタがあるかも」というつもりで購読しているけれども、採用率が 0.1% 以下のサイトを少しずつ整理する

  2. フォローしているソーシャルメディアを減らす: 楽しいことは楽しいのですが、無理のあるフォロー数の中から情報を探すためのストレスを減らすためにも、リストやサークル分けをもっと進めて情報の S/N 比を高める

  3. 24時間の利用方法をさらに自動化する。食事をする時間、出勤・退勤時間、毎日の作業量、すべてをなるべく固定化することで変な精神論が入る余地を減らす

  4. ブログについても、なるべく執筆時間を固定化して、余る部分はスキマ時間に押し出せるようにする

  5. 心に暗い影を落としていることがあるなら、その日のうちに対応できるように「火消し時間」を作っておく

つまりは、もう少し自分にかかっている負荷を、あらかじめ予測を立てながら進められないかというわけです。

しかしこれだけにはとどまりません。文房具や充電器の置き場所、鞄にいれるもの、バスの時刻表やありがちな行動ルートをあらかじめ Evernote に入れておくこと、漢字変換辞書、iPhone / iPad に入っているアプリの数…すべての「余計な時間がかかっているもの」を見直さなければいけないだろうというのが今の気持ちです。

やりたいことは一つも減っていません。でも無理はできない。それならば、もっと狡猾に生きなければいけないというわけです。

幸い、こうして減らすことの一つ一つがブログの記事になりそうですので、ここだけでも一石二鳥ですね!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。