情報整理の交差点に君臨するInstapaperの魅力
情報を見つけた瞬間は、必ずしもそれを読むべき時ではありません。
時間がないこともあれば、その時点では読むべき記事や同一のテーマを洗い出している段階で、まとめて読むのはあとにしているという場合もあるでしょう。こうした「読み」の時間と状況のミスマッチを時空をこえて接着剤のようにつないでくれるのが Instapaper です。
ウェブページを「あとで読む」ためのサービス Instapaper の iOS アプリがバージョンアップして Instapaper 4 となりました。
今回のアップデートでは iPhone / iPad 上での操作性が大幅に向上して、さらに「読む」「整理する」「共有する」といったワークフローを指先一つで呼び出せるようになっています。
新しくなった Instapaper と、最初はとっかかりにくいけれども慣れると病みつきになるそのワークフローの魅力についてまとめておこうと思います。### 指先一つで情報を操作する Instapaper 4
Instapaper はブラウザから、あるいはRSSリーダー、Twitterアプリなどといったソースから記事を取り込み、本文のみの読みやすい形にして保存してくれます。
取り込んだ記事は「Read Later」という一つの流れをつくりますので、ここから記事を読みながら、「整理」「共有」「削除」という第二段階のワークフローを作れます。
今回のアップデートでiPhone版は UI の調整が行われて操作性が向上しました。しかし一番大きな変化は iPad 版のレイアウトです。表題と抜粋からなるグリッドレイアウトとなって、より見やすい配置となりました。
それぞれのグリッドで左右にフリック動作をすれば、フォルダへの格納、削除、共有のアイコンが登場します。
印象として、指先一つで次々と記事をあるべき場所へと操作していける楽しみに満ちています。
Instapaper 4 では新機能である有料の検索サービスにも対応しています。月額 $1の購読を行えば、保存したすべての記事の検索が可能となり、Instapaperに保存されている記事が多ければ多いほど利用価値が高まります。
Instapaper があるワークフロー
Instapaperはウェブページを「あとで読む」ためのサービスですが、この「あとで読む」という行為の意味は、よくよく考えると深いものがあります。
まず、私たちが情報と出会う場所は多様化しています。普通にウェブブラウザで発見する場合もあれば、Flipboard で自動的にキュレーションされたストリームで発見することも、RSSリーダーや、Twitterで発見することもあります。
そうした情報を「あとで読む」判断をした場合、それにもいろいろな理由があります。単に時間がない、その場で理解できなかったのでもうちょっとあとで熟読したい、共有すべきか悩んでいる、ブログ記事にするか判断を保留している、などです。
Instapaperはこの、「情報の発見」と「情報のアウトプット」(保存する、共有する、ブログ記事にする、etc.)の間をつなぎ止める接着剤として入り込みます。
さまざまな場所から発見されて流入する膨大な情報を Instapaper はいったん保存し、Twitterに共有することも、「記事を書く」といったタスクとして OmniFocus に追加することも、Evernoteに保存することも、記事の全文をメールで送信することも、Tumblrに投稿することも可能です。つまり、情報をどのように扱うか判断する場所として機能しているのです。
さらに Instapaper 自体が一つの共有プラットフォームです。Instapaper 内にも利用者をフレンド登録して、彼らが共有したり、お気に入りにしている記事のストリームを読むことができます。Instapaperは単に「あとで読む」という機能だけでなく、情報への判断を迫り、人をつなぎ、情報が動き出すきっかけを与えてくれるわけです。
Instapaper を使うべき人
ここまで情報に対する判断が複雑でない人、つまりすべての情報に対する反応を発見した時点で決めてしまうというスタイルの人には、Instapaperは余計なレイヤーを加える感じがして面倒かもしれません。
しかし、多少自分のキャパシティをこえる情報量を処理しようとし始めた人はかならず情報に対する判断の留保を必要としてきます。最低限、情報を探すフェーズと読むフェーズを分離しないと時間がいくらあっても足りなくなります。
そこで、Instapaper は43FoldersのMerlinも早速まとめている通り、膨大な情報のなかから「何をいつ、どこで読むべきか」を判断のタイムシフトを行うことで、私たちを情報洪水から救ってくれるのです。
Instapaperを使うとメリットがあるのは、いままさに自分の情報キャパシティのリミットを越ええてみようと画策している野心的なあなたといえるでしょう。
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