世界初のソーシャルメールクライアントへ。Sparrow 1.2 に Facebook連携機能と日本語対応が

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まるでツイッタークライアントのようなミニマルなデザインの Mac 用 IMAP メールクライアント Sparrow がバージョン 1.2 になって野心的な展開をしています。その謳い文句は「世界初のソーシャル・メールクライアント」です。

今回の新しい機能は、「Facebookの顔写真と連携する」機能と、相手を Facebook Connect を通じて相手を友達として登録する機能ですが、考えてみるとこれはメールクライアントの常識をくつがえす考え方です。

Fb profile

メールといえば、それ自体がソーシャルネットワークというわけではなく、ネットワークは「アドレス帳」のなかに入っていたりします。つまりユーザーは一人一人が「アドレス帳」の管理を行ったり、相手の顔写真の管理をしなければいけません。これはお互いに大いなる無駄です。

連絡先や顔写真も、本人が一番アップデートするデータなのですから、本人が世界にむけて公開している情報が、その人とつながっている人に拡散すればいいわけです。Sparrow が目指している「ソーシャルなメールクライアント」の第一歩はここにあります。

Sparrow の次の展開は?

しかしその先の展開はどうでしょう? ここで思い出したいのは、Facebook にも通常のメッセージ機能、そして facebook.com ドメインのメールアドレスを受信する機能が存在する点です。

もし Sparrow がメールだけでなく、Facebook のメッセージを送信する機能や、Facebook のグループを利用してメーリングリストを構成する機能をもつなら、真の意味でソーシャルなメールクライアントになるかもしれません。

ネット上の多くのコミュニケーションがソーシャルネットワーク上に移行したとはいえ、それぞれのサービスはいわゆる Walled Garden で相互に交わりにくい関係が続いています。その一方で、メールは誰でも使える「基底」としてFacebookもツイッターもすべてのSNSをつなぐ接着剤の役割を演じるかもしれないわけです。

このブログが始まった頃に「Web2.0的アドレスブックはどこだ?」という記事を書いていて、自動で更新するソーシャルネットワークとしてのアドレス帳を夢想していたのですが、Web2.0 という言葉があまり使われなくなった頃になってこういう展開があるのがとても興味深いですね。

今回のアップデートでは日本語のローカリゼーションも実現していますので、これまで英語だったので利用を控えていた方はお試しください。

以前 Sparrow については以下の記事を書きました。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。