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モレスキンから公式 iPhone / iPad アプリが登場



Moleskine app

デジタルとアナログの融合を目指しているモレスキンから公式のiPhone/iPadアプリが登場しています。

手帳は手帳、iPhoneのようなデジタルツールはデジタルツールと、割りきって利用している私には、モレスキンブランドのアプリが何を目指しているのか興味があったので利用してみましたが…結論からいうと利便性にも、その方向性にも大きな疑問のある仕上がりのアプリでした。

このブログでは珍しいのですが「おすすめしません」という意味合いでこのアプリを紹介した上で、デジタルとアナログの融合について考えてみたいと思います。

ブランドイメージだけの中途半端なアプリ

モレスキン・アプリは、モレスキン手帳の質感やレイアウトの画面に向かって書きこむことのできるメモアプリです。

その最大の特徴は、テキスト・画像・手書きメモを一つの画面に共存させることができる点です。ページはモレスキン手帳の代表的なルールド・方眼・プレーンから選ぶことができますし、ペンの太さや色も自由に選ぶことができます。

また、テキストの分量が画面に収まらない場合はスクロールしてゆくのがiPhoneアプリの常識ですが、ここではあえてページをめくるというアナログ的な要素を残しています。画像はインラインで場所や大きさを変えることができますので、ワープロ的な使い方ができます。

作成されたメモはメールで送信する意外に、Facebook、ツイッターに送信することが可能になっています。

Moleskine app1

しかしメリットらしいメリットはここで終わってしまうのがこのアプリの痛い点です。ちょっとだけ利用しただけでも以下の欠点がアプリの使用を著しく阻害します。

  1. 日本語で入力していると文章の折り返しができませんし、画像をインライン表示させることができません。
  2. 見た目ほど自由に入力することができるわけではなく、画面をダブルタップすると「テキスト部分のみ」の編集、あるいは「画像部分のみ」の編集といったように、モードが切り替わってしまい、一度に編集をしなくてはいけません。テキストの一部のみを太字にといった操作は不可能となっています。
  3. 操作性に難があり、たとえばページをめくる場合は iBook や Kindle で期待されるようなフリップでめくれません。なぜか画面右下からまっすぐ左に指を移動したときのみページがめくれます。それ以外にも直感的でない操作がたくさんあって編集している時間よりも操作している時間の方が多くなる傾向があります。
  4. 苦労して画像を挿入しても、メールなどで共有できるのはテキスト部分のみ(意味なし!)
  5. すくなくとも私の環境では、手書きメモを入力することはできませんでした。

しかしこうした細かい欠点も、もっとも根源的な疑問、「なんでわざわざiPhoneの上でモレスキンを再現しなくてはいけないのか?」に比べたら小さなものです。

これだけ美しく作りこまれたアプリが実現しているのが、実際の紙のうえで実現できる自由に比べてあまりに中途半端な体験だというのは致命的です。

残念ながら、このアプリはいまのところ「モレスキン」というブランドイメージだけの無用の長物と言わざるを得ないようです。What were they thinking!?

本当はこうしなくてはいけなかった、モレスキンアプリ

では本当はどんなアプリを作ればよかったのでしょうか。

答えは簡単です。そもそもモレスキンが乗り越えたいと感じているのがデジタルとアナログの壁ならば、モレスキンをiOS上で再現するのではなく、それをこえるためのアプリを作ればいいのです。

乗り越えかた1:デジタルからアナログへ

私たちはいま多くの情報を iPhone / iPad から入手していて、それに対してメモを加えるなどといった作業も Evernote のようなデジタルツールのうえで行っています。

しかし一部の情報については手帳に貼り付けたりなどして持ち歩きたいものもあります。そこで、iPhoneでとった写真や、ウェブページなどをモレスキンの手帳サイズで印刷できる PDF に整形して、Dropbox や iDisk に送信するアプリをつくれば、デジタルからアナログへの橋渡しができます。

モレスキンには MSK という立派なテンプレートがあるのですから、これを実現することはそれほど難しくはないはずです。

乗り越え方2:アナログからデジタルへ

逆に、モレスキンの手書きメモをデジタルにもってきたいこともあるはずです。そこで DocScanner と同じように、モレスキンの手帳を撮影することに特化した写真スキャナー機能を作ればよいわけです。

このとき、写真のフィルターを利用してモレスキンらしい紙の質感を撮影された画像に与えることができればファンはなおうれしいことでしょう。そしてその画像を、任意のメールアドレスや Dropbox 、Good Reader、Evernoteなどといったアプリに送信できればいいのです。

テンプレート機能

また、モレスキンに印刷してはりつけたい情報には他にもいろいろあります。カレンダー、記念写真、個人情報、住所録、レシピ、読書メモ…挙げればきりがありません。

そうした情報をiPhone上から入力したら、モレスキンらしいテンプレートにまとめて PDF を作成してくれるサービスにアプリが直結していれば、アプリとしての利便性も高まりますし、モレスキンのニーズも高めることができたはすです。

モレスキンがあえてiOSアプリという慣れない世界にとびこんできたのは歓迎しますし、最初から iPhone / iPad のユニバーサルアプリを作成したのも好感がもてます。

しかし今回についていえば、アプリのバグや使用感以前に、出口からはいって入り口に抜けるくらい方向性が間違っていた気がします。

デジタルとアナログを越えてゆく分野にはいろいろとニーズがあるのは確かですので、モレスキンがこのニーズに答えるアプリに今後挑戦してくれることに期待しています。

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著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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