新世代 GTD アプリ、OmniFocus と Things のどちらを選ぶ?

ovst.jpg

Mac OS X には非常に高機能な GTD アプリケーションがたくさんありますが、そのなかでも群を抜いているのが Omni Group のOmniFocus と Cultured Code の Things だという気がします。

長い開発のすえに、この二つの間にはあまり差がなくなってきましたが、両方にどんな特徴があるのか、自分も混乱してきたので整理しておきたいと思います。

機能 OmniFocus Things

デスクトップ版価格 $79.95 $49 (今なら $39)

iPhone 版価格 $19.99 $11

複数 Mac のシンクロ ○ △

iPhone とのシンクロ ○ ○

日本語入力 ○ ○

日本語ローカリゼーション △ ○

Thing のシンクロ機能が「△」になっているのは、現時点では Mobile Me の iDisk を通じた遠隔シンクロではなく、ローカルな WiFi につないだ複数 Mac の間でのシンクロだけだからです。とはいえ、これはじきに解決するものと思います。

逆に OmniFocus の日本語ローカリゼーションが「△」なのは、正式版の1.0では日本語ローカライズされていたのですが、1.0.3 や、今最も注目されているシンクロ機能のついている Ver 1.1 Sneaky Preview 版は英語のみだからです。多分、将来的には日本語化されると思いますが、現時点では△です。

こうしてみると、あまり違いはなくなってきましたね。でもやはり二つには、ユーザのし好にあわせた違いがあると思いますので、両方を買おうかと検討している人の背中を最後に一押しするつもりでまとめておきます。

OmniFocus を買おうかと思っている人に

omnifocus_header.jpg

OmniFocus は、プロジェクト・サブプロジェクト・アクションなどといったたくさんの「やること」の整理に長けています。このあたりはさすがは OmniOutliner を作った OmniGroup という感じです。

私の考えでは GTD の考え方により忠実なのは OmniFocus の方です。プロジェクトを管理するモードと、実際にコンテキストごとに「実行」 するモードが分かれているところが、GTD の考え方をワンクリックで見事に実現してくれています。

OmniFocus for iPhone の GPS 機能は、行き先がたくさんある人にとっては非常に楽しいものですし、使い方次第では大きな可能性を秘めていると思います。ただし、この機能が必ずしも生産性を飛躍的に上げてくれるとは限らないことには留意してください。

むしろ OmniFocus for iPhone でタスクを音声と写真で入力できるという点は、地味ですがもっと注目されてもよいと思う便利な機能です。

Things を買おうかと思っている人に

[

Things は OmniFocus に比べるとプロジェクトの構造が簡単な人に向いています。現時点ではサブプロジェクトのフォルダを作ることはできませんので、仕事のほとんどがシングルタスクだったり、一つのフォルダの中に入るならばおすすめですが、非常にたくさんのプロジェクトを階層化したフォルダで管理したいなら OmniFocus でなければいけません。

OmniFocus が、一見非常にごちゃごちゃとした印象をうけるのに対して、Things は基本に忠実な軽量なアプリであるという印象をうけると思います。動作も Things の方が理解しやすい、すっきりとしたインターフェースをもっていますが、それでも OmniFocus の大事な機能は全て踏襲しています。

また、現時点ではまだちゃんと動作してはいませんが、OmniFocus にない機能として、Things には複数の人でタスクを共有したり、委譲の割り当てをすることができるソーシャル機能が予定されています。

Things for iPhone は、非常に手軽で、デスクトップ版とほぼ同等の機能を提供しているという点で良いアプリですが、iPhone 独自の進化をとげている OmniFocus for iPhone に比べてちょっと見落としてしまうのは否めません。

現時点では…?

機能的には両者はほとんど同じですが、細かい点の洗練具合がやはり違います。

多機能であるにもかかわらずタスクとプロジェクトの数に応じて軽く使うことも、使い込むこともできる点。プロジェクト名を途中まで入力するだけで自動でマッチしてくれる操作性の洗練されている点。メールでタスクを入力したり、iCal とシンクロできるなどといった拡張性。iPhone 版に専用の機能が追加されている点。

こうした「小さいけれども便利なチューニング」がされているところを考慮すると、現時点では OmniFocus に軍配が上がると思います。

しかし OmniFocus の難点は値段が高いところです。デスクトップ版と、iPhone 版あわせて 100 ドルというのはけっこうな額です。OmniFocus は OmniOutliner のライセンスをもっている人には割引がありますし、また教職員・学生の割引もありますので、購入を検討している方はぜひ安く買う方法を探してみてください。

Things はずっと紆余曲折を経ながら開発が進んでいて、最初は春にリリースされるはずだったのが今年の秋という具合にずれ込んでいます。しかし OmniFocus に遅れをとっているとはいえ、着実に新機能を実現していますし、OmniFocus に比べれば安いのでこちらも目が離せません。

数年前にくらべて、Mac ユーザーは GTD アプリの豊富さという点では非常に恵まれた状態になりました。あとは自分の生産性を少しでも向上させるツールを選んで、使いこなすだけです。

ぜひデモ版をダウンロードして、さわってみてください。

p.s.

ところで「Things のウェブ版が登場!」と何カ所かで紹介されていて、こちらのページが紹介されていますが、実際は開発元の CulturedCode とは無関係なプロジェクトですので注意してください。多分 Things を拡張しているサービスで、悪意はないと思いますが…。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。