プレゼン中の「えー」とか「そのー」を無くす荒療治

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明日は久しぶりに 45 分も時間をいただいてプレゼンテーションを行います。英語と日本語のどちらでもいいのですが、外国人のリスナーも少なからずいますので、せっかくだから英語でやってみようかと思います。英語を話すのはそれほど得意ではないので、45分のプレゼンは挑戦です。

プレゼンをするのはさすがに慣れてきたものの、それでもなかなか根絶できないのが文の切れ目に入ってくる「あー」、「えー」、「そのー」などの雑音です。プレゼン慣れしている人でもよくいるのですが、

「えー、こちらの図が、えー、今回得られた結果でして、そのー、このあたりにですねー」

という口調は聞いている側としても、一度気になり始めると非常にうっとうしくなってきます。困るのは、こうした言葉のは自分ではほとんど意識せずに出てくるという点です。自分ではよどみなくしゃべっているつもりで、実はこうした言葉が混じっているのですね。

こうした雑音もそうですが、気づかないうちにレーザーポインターを聴衆に向けていたり、変なポーズをとっていたりなど、プレゼンには多くの危険がひそんでいます。以前、比較的上手にできたと思ったプレゼンの後で**「先輩、しゃべってる間ずっと鼻をつまんでいたので声が変でしたよ」**と後輩に指摘されて愕然としたことがあります。無意識、危険すぎます。

というわけで、このようにプレゼンを台無しにしている無意識のクセを抑えるためにやっていることに、次のようなものがあります。

  • 意識的に 10-20% ゆっくり話す:たいていの人はプレゼンのときに早くしゃべりすぎです。しゃべることに集中しすぎると、他のことに余裕がなくなってしまいますので、意識的にスライドの分量を減らし、ゆっくりと話すことで頭でマルチタスクをできるようにしておきます。一つのタスクは当然プレゼンの筋を追っていますが、別のタスクは自分の手の動き、顔を向ける方向、立っている場所などを常に意識しています。最初はゆっくりでも次第に加速してくる人もよく見かけますので、手元の経過時間とスライドとを見比べてタイムを計るようにしておくとよいでしょう。

  • 沈黙をスタイルとして取り入れる:「えー」とか「そのー」という言葉は、プレゼンの途中で言葉が途切れるのをおそれるあまりに飛び出ていることがよくあります。逆に文章と文章の間の沈黙を「間」としてスタイル化するようにすれば、途切れ目をおそれることもなくなりますし、よけいな「そのー」も自然に減っていきます

  • スライドからスライドに移るときの決めぜりふを設定しておく:「えー」「そのー」は言葉の接ぎ穂であらわれるものですから、次のスライドに移った際に一番目立って登場します。こういう場合は、スピーチ全体を暗記することができなくても(した方がいいですが)、次のスライドにいく場面の台詞だけを集中的に暗記しておくと、流れが生まれてプレゼンがスムーズになります。

こうしたテクニックは、ある程度自分のプレゼンを客観的に見れるようになった人のためのものですので、プレゼン力が決定的に足りない人が一度で自分のクセを意識するには、次のような荒療治も有効です。それは、

という訓練です。これは穴に入りたくなるほど気恥ずかしいのですが、目を最後まで見開いてこれを一度やると、人から何度いわれてもわからない自分のプレゼンの欠点が決定的に明らかになります。鏡の前で練習するのもいいですが、やはり聴衆を前にしての自分のプレゼンを録画して復習した方が効果は絶大です。

まだまだ英語のスピーチは経験不足ですので、明日は音声を録音してみようか…いや動きも録画しようか…と悩み中。いやはや、勇気がいりますね、これは。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。