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The Now Habit (5) 仕事のピーク能力と持続力を強化する



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仕事をなかなかはじめられずにぐずぐずしている段階から、ようやくとっかかりを見つけられたとします。しかしすぐにまたぐずぐずとし始めてしまうということが私などはしょっちょうです。

必要なのはその場限りの心理的なブースターのような標語やうたい文句ではなくて、実際に使うことのできる戦略です。Neil Fiore は The Now Habit の後半の章で、ピーク能力を維持するための手法と、仕事を持続させるためのコツということで、これまでの内容をおさらいしつつ紹介しています。

原書には集中力のつけかた、根気のつくりかたなど、さまざまな項目があったのですが、そのなかから二つをえらんで紹介し、まとめたいと思います。

右脳と左脳の両方を使う

左脳が論理的な思考に向いているのに対して、右脳は創造的なひらめきを司っているというのはよく言われることです。また、右脳の力を開発しようというのも、数多くの本で言われてきたことです。

Neil Fiore は右脳そのものを開発できるとは信じてはいないようですが、右脳と左脳とを交互に使うことで創造的な仕事をするときにペースを生み出すことができると指摘しています。それがピーク能力を維持することにつながるのだそうです。

たとえば原稿用紙20枚を埋める作業をしている場合、最初から20枚の文章をよどみなく書くよりも、まずは全体の構成をラフにつくってから細部へ、またおおまかな部分を調整しては細部へ、と何度かのイテレーションを意識的に繰り返した方が効率がよくなります。

このラフな部分を一気呵成に作り上げている段階は、ひらめきと創造するときの興奮のままに頭の中にあることをただ書き出しているわけで、右脳に対応しています。しかしいったんその内圧が低くなってきたら、今度は先ほどまでのおおまかな文章の細部を調整して、読みやすくしていきます。ここが左脳に対応しているわけです。

スケジュール帳にはひとくくりに「仕事時間」と書かれるかもしれませんが、その時間の内容を「ラフ」と「ディテール」に分割して行うことで、右脳と左脳とを循環して使う、一つのペースが生まれます。

仕事のディテールを埋めるプレッシャーに負けて仕事の先送りをしそうになったときには、右脳を前回にしてラフな「まだお見せできませんバージョン」を作り、左脳に連携できるようにしてあげると、最初から完成されたものを作らなければという気持ちが緩くなります。

調子に合わせたチューニング

仕事が長大になってくると、今日は調子がよくてトントン拍子に進んでいても、次の日はそうはいかないということもあります。ここで前に紹介した「ぐずぐず帳」の役割が効いてきます。

自分はどのような状況でしごとを先送りしがちなのかという特徴をつかんでおくことで、日々自分がどんな調子であるかにあわせてその日の仕事内容を調整することだって可能になります。

たとえば「ぐずぐず帳」の記入から、自分は月曜日に仕事以外のことに気をとられがちだということに気づいたり、仕事量が多いとき、締め切りが近いとき、周囲の期待・批判が強いときに仕事を先送りしがち、といった、自分のくせが理解できてきます。

そうした自分のくせが理解できれば、仕事の先送りが生じてしまいそうな状況に先んじて自分自身に対して行う対策をたてることが可能になります。たとえば月曜日が苦手な人は、その日は単純作業の日にしておくことができます。また、仕事に対する批判がプレッシャーになって仕事が始められない人は、自分への話し方を変える習慣を使って「完璧なものでなくてもいい」という自分へのいいきかせを、プロジェクトの開始時にあわせて繰りかえすこともできます。

これまで仕事の先送りが多かった人は間違いなく、何度かは仕事をせずにメールばかり見ていたり、ウェブサーフィンをしてしまったりといった失敗を経験するはずですが、その一つ一つの例を記録して、どうしたら落ち込んだ調子をリバウンドできるかの実例を蓄積していくとよいそうです。

まとめ

以上、Neil Fiore の The Now Habit をまとめると、それは 1) 仕事の先送りが怠惰の証ではないという自己認識、2) どういうときに仕事を先送りしてしまうかを調べ、3) 自分への語りかけを変え、意識の中での仕事のイメージの変化させ、4) アンチ・スケジュールによって時間認識をあらため、遊びを戦略的に入れてゆく、という流れになると思います。

GTD や7つの習慣などの「仕事術」よりは心理的な自己認識の改革に焦点が当てられていますので、どちらかというと心理ハッキングといった分類になるかと思います。その分だけ、どのようにこれを実践すればいいのかわかりにくくなっているのですが、自分への語りかけを変えることと、アンチ・スケジュール、この2つだけからでも始めれば大きな効果が期待できます。

もう一つ、この本を紹介したいとずっと思っていた理由は「仕事をぐずぐずしてしまうのは怠惰だからではなくて、失敗と批判に対する不安、そして人生のバランスが狂っていることからきている」という非常にポジティブな、肩を押してくれるような考え方が全編にちりばめられていたからです。

不安のために自分の力が信じられなくなるようなときに、この一言に何度も助けられました。仕事になかなか手を付けられなくて苦しんでいる、未来の自分を含む、全ての人にぜひおすすめの一冊です(邦訳が待たれますが)。


著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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