Lifehacking.jp

職場の雰囲気を悪くしている、見えない「私」

Tuesday, 5 June 2007 · 30 Comments · Life, LifeHack


Four letter words:

題名だけではなんのことかさっぱりだと思いますが、これは先日 37Signals のブログ Signal vs Noise での記事「Four letter words」を読んでいて思ったことです。記事では他人、特にプログラマーとデザイナーのように違う畑の人とがコラボレーションしているときに注意しないといけない4文字言葉が紹介されていました。いいえ、f*** とか s*** ではありません。それは、

Need、Must、Can’t、Easy、Just、Only、Fast

の7つです。使用例は次のような感じ。ちょっとあきれ気味の口調で読み上げると、やる気減退効果は絶大です。

We really need it. If we don’t we can’t make the customer happy. Wouldn’t it be easy if we just did it like that? Can you try it real fast

その機能は本当になきゃだめだよ。それがなかったら、お客さんを喜ばせることなんてできない。簡単なことだろう? ただやればいいだけなんだから、ちょっとてっとり早くやってみてよ。

聞いてるだけでパワーが失われていく呪いの呪文みたいです。しかし文章だけを見ているとふつうの会話に見えるのに、なにがいけないのでしょうか?

このことを、数日考えていて、どうもそこに見えない「私」が入っているからではないかと思うようになりました。

あいてにボールを投げてばかり

全ての文章の頭に透明な「私に言わせると」をつけて読んでみましょう。

私にいわせると、その機能は本当になきゃだめだよ。私にしてみれば、それがなかったら、お客さんを喜ばせることなんてできない。私には簡単なことに見えるけど? 私にいわせれば、ただやればいいだけのことなんだから、ちょっとてっとり早くやってみてよ。

暗殺したいほど嫌なやつのできあがりですね。

ようするに最初の文は、相手にやらせようとしている作業が相手にとって簡単なことなのか?、現実的なことなのか?、そもそも相手はどう思っているのか? といった基本的なことを確認せずに自分の見地だけから話を進めているために、なんでもない言葉が不快に響いているわけです。自分の話していることが自分の押しつけであることを巧妙に隠そうとして隠しきれていない言葉なのです。

注意していないとこういう口調はいつでも言葉のなかに入り込んでくるようです。お役所的な職場環境で身につけたクセですが、こういうときは疑問文に注意すると、うまくいった経験があります。見えない「私は」を「あなたは」に変えていくのです。

私には、この機能は重要そうにみえますが、あなたはどう思う? 時間と予算が十分にあったとして、これはやるに値すると思いますか? やってみたいと思いますか? やるとして、どのくらいの時間を見積もればいいですか?

これに対する相手の返事をすべて聞き入れるかはどうかは応相談ですが、まずは相手の考えを引き出すような疑問文を作るのがコツです。相手の言葉を聞きながら素早く判断して、両方にとってメリットのある「第三の策」を考えやすくなるのも、この「相手に話させる」テクニックの隠れた長所です。

「私」を「あなた」に変えるだけで呪いが治癒の呪文にかわるのだから、言葉とは本当に不思議なものです。

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  • LedZep

    初めてコメントさせていただきます。いつも本当に興味深く読ませていただいております。特に「地下鉄構内にストラディヴァリウスの音色」は原文ともに読ませていただきました。管理人さんの機知に富んだ洞察にいつも納得、また感心させられることしきりです。
    当方、まだまだ駆け出しで修業中の身ではありますが、翻訳を職業としております。その観点からも本当にいろいろと勉強になることばかりです。今回のこのエントリも参考になりました。
    これからの記事も楽しみにしております。

  • http://lifehacking.jp mehori

    コメントありがとうございます。翻訳がご専門の方にそう言っていただけて恐縮です。よく欧米のサイトを我流で翻訳して回っていますが、変なところがあったら遠慮なく突っ込んでください(笑)。

    このブログの英語版を作る計画は現在停滞中….。

  • 笑ってしまいますね

    なんで英語で書かれている文を日本語に訳す際、大半の人は語尾に「よ」などなれなれしい言い方に訳してしまうのでしょうか?

  • 笑いません

    英語圏で過ごせば分かりますよ。その「よ」の感じが。それに本文は”Can you…?”で、”Could you…?”ではないですしね。

  • http://lifehacking.jp mehori

    まあ、職場で慣れた間柄の人たちがディスカッションをしているところを想定した語尾ということでご勘弁。

  • まり

    私はこれをよくやってました。
    おかげで、職場の嫌われ者になってしまいどうしようもない状態です。
    もうやめるしかないかもしれません。

    いい記事ですね。もうちょっと早く気づいていれば。。

  • http://lifehacking.jp mehori

    まりさん:
    上の書き方だと、こういう言葉がもれてしまう人をさも悪人であるかのように書いていますが、そんなつもりではないのです。

    私の場合、この「見えない私」が言葉に混じってしまうのはいつも自分に自信がもてないときです。ハリネズミ化して自分を守っている感じですね。だから人の立場に考慮するよりも、自分を守ることを優先してしまう、みたいな感じです。

    よければ、ぜひやめる前に上のテクニックを試してみてください。状況はそんなに変わらないかもしれませんけど、小さなことでも変化があると、次に踏み出すときに良いスタートが切れるかもしれませんよ。

  • まり

    mehoriさん
    温かい言葉ありがとうございます。

    mehoriさんの指摘しているように自分を守ることを優先しているためなんですよね。

    教えてもらったテクニックを実践していきたいと思います。

  • こういう方法論にこだわっている人はいつまでたっても学習しない。成長しない。ちょっと不測の事態が起きるととたんに対応できなくなる。

  • http://lifehacking.jp mehori

    あ、さん:
    テクニックだけに頼るだけならそうかもしれませんね。でも「いつまでたっても学習しない」とはいいきれませんよ。
    気づいていなかった自分の思考パターンのクセを理解し、テクニックを援用して異なる習慣を身につけ、さらにテクニック自体を忘れてしまえるところまでいければ、「学習した」と言えるはずです。
    不測の事態への対応については、話がずれるのでまた日を改めて。

    (コメントが多いとおもったら、はてなブックマークで紹介されていたのですね。気づいてませんでした…。今日はもう眠りますのでコメント承認はまた明日。Happy Lifehacking!)

  • hoge

    簡単だろ。ちょっとサクっとやってみて。

    これ多いパターンですよね。これには
    にこやかに、あなたほどの能力があるから
    簡単にできるんですよ。こういう問題やああいう問題があり、
    あなたならすぐに気づくと思いますが、
    普通はなかなか、こういうことに気づかす簡単には
    出来ません。だからこんだけ時間くださいね。
    簡単。こういう人を扱うのは。

    後の疑問文を含めた言い方。
    こんな人はいらないでしょ。気使いすぎ。
    私がもし言われたら、OK、私がすべて決定し統括させて
    もらいます。何も決定せず、責任を持たないあなたは
    当プロジェクトでは不要です。

    私はリーダーやマネージャーを経験し、現在複数の
    小さな会社の経営者ですが、新人を除き疑問文の多い人は
    いらないですね。ものは断定的にはっきり言って
    けんかではなく、ちゃんと議論すればいいのでは
    ないでしょうか。もちろん仲良くね。

  • Pingback: cocoa*life » links for 2007-06-06

  • まっけ2007

    まじめまして。
    ネットのわたしのブログに記事紹介の機能でみつけました。
    とても意味深い内容です。わたしの職場にもいます三人も!
    なのでとてもこまっていましたが、あなたさまの記事をみて、ロジックがかたまりそうです。
    品のない人に一発意見具申しよかとおもっています。
    ねがいはよりよい職場環境ではたらき、よりよい人生をみなが送ることです!
    ありがとうございました。失礼します。

  • Pingback: 健康志向で派遣社員!

  • とこ

    ふと目にして、おじゃまします。
    私は毎日職場でうんざりしてることがあります。2つに分かれていて、両方とも、自分たちが正しいという観点であの人たちはおかしい、という感じの話をするのです。私は、あとから入り、昔の経緯なんてしらないし、会社によって普通が大きく違うことは身をもって知っている派遣社員だし、反応しようがなくて困ってます。というより、うんざりしてます。
    多分、どちらも正しくて、どちらも間違っていて、自分が主語か、相手が主語かで、見方が違うだけの気がしてます。
    こういう環境は勉強になります。自分も気がつかず自分軸で判断しているだろうから・・。相手軸でものを考え、発言できる自分になっていきたいです。

  • まっけ2007

    またきてしまいました。お邪魔します。
    本件のようなものの言い方には、人さまを精神的に傷つけかねないことにおいて、次の問題点が、僕には思い当たります。
    ①たしかに主語があいまい。だれがそう思うのかわかんない(クライアント、上司、部下、ごっちゃまぜ)
    ②クライアントに必要かもしれないけど、やる方の都合は度外視してる(上司と部下たがいの役割分担が不明瞭)
    ③簡単だろっていわれても、部下にも思うところがあるかもしれない(部下の思いはそっちのけ)
    要するに、相手を思いやる心がないという現代社会を凝縮したよな、慇懃無礼にも類似するよくない発言ですね。と言うことと私は感じました。
    またいい方一つで感じ方も変わるわけですが、とにかく相手を思いやる人間でありたいですね。

  • http://peanut.cocolog-nifty.com/blog/ peanut

    普段の何気ない会話の中で、言い方はちょっと違いますが、これらの事を言っていそうで怖くなりました。自分の言葉について考え直す良いキッカケになりました。