Raindrop.io:Pocketからの移行先に最適なブックマークサービス

ブックマーク・あとで読むサービスの代表格だったPocket が終了するという知らせに、大量の情報を常日頃みているヘビーユーザーを中心に驚きの声が上がっています。
Pocket は元々 Read it later、つまり「あとで読む」というそのままの名前のサービスだったのが改名し、その後 2017 年に Firefox ブラウザの開発で知られる Mozilla に買収されたという歴史があります。
しかし買収後はあまり開発が進んでおらず、AI 時代になっても機能追加は滞っていて、なんとかサービスを維持しているという案配でした。今回のサービス終了も、ビジネス的には仕方がないのかもしれません。
移行先として有力な Raindrop.io
問題は、Pocket からの移行先ですが、ここでおすすめしたいのが機能的に Pocket とほぼ一対一に対応しており、iOS / Android アプリも、ウェブアプリ、デスクトップアプリも充実している Raindrop.io です。
実際、私はすでに3年ほど前から Pocket をやめて新規のブックマークはすべて Raindrop.io に保存するようにしていますが、ブックマークだけでなくファイルなどの整理にも使えて、より柔軟な機能をそろえています。
Raindrop.io ではブックマークを Pocket 同様に保存して、コレクションと呼ばれるフォルダに整理し、タグを付け、メモも追加することができます。
表示のしかたも柔軟で、スクリーンショットではリスト形式で表示させていますが、他にカード式, Masonry 形式など、いろいろな並べ方ができます。
ブックマークを保存するには、ブラウザ拡張がもっとも便利です。保存したいサイトでボタンを押すだけですが、ここでメモを追加することもコレクションを選ぶこともできます。
タグの部分に候補がでているのも見えますでしょうか。これは過去のタグや、本文から推定されているものです。たとえば「GTD」というタグはまだ存在しないのですが、本文から推定しているようですね(こちらはProアカウントの機能になります)。
Raindrop.io はこのようにブックマーク保存に特化していますが、実際には画像、PDF、ePub といったファイルを保存して整理するのにも使えます。
たとえば YouTube リンクを保存したり動画ファイルを保存すると、「動画」のコレクションに情報が追加されます。なので、「あの動画のなかから探そう」といった絞り込みが楽にできるのです。
ハイライト機能と、たくさんのタブの一括保存も
ブックマークするのはいいのですが、どうしてこのページを保存するつもりになったのか思い出せないこともあります。そうしたときに使えるのがハイライト保存機能です。
ウェブページの文章を選択して macOS だと「Command + Shift + S」を押せば、Raindrop.io はその部分をハイライトにして保存してくれます。Proアカウントならハイライト部分にもメモを書くことができますので、本に書き込みをする感覚で情報を保存できます。
また、上の拡張機能の紹介部分で画像に「タブ」と書かれているボタンがみえるかと思いますが、これは開いているタブをすべて保存する機能です。数十個のタブを一つのブックマークにしてしまい、あとで作業に復帰するのに使えます。
こうしてみると、Raindrop.io はたんにブックマークを保存するのではなく、使いかけのファイル、タブ、思いつきを保存するのに特化した設計になっていることが分かります。
iOS / Andriod 版も機能充実
最近はスマートフォンで情報を見つけることがほとんどだと思いますので、そちらで同じ機能にアクセスできるのは必須です。
Raindrop.io の場合、アプリもウェブ版・デスクトップ版と同様の機能にほぼすべてアクセスできます。
スクリーンショットの右下に見えている青いボタンはクリップボードに URL が含まれているときに表示されるもので、ここをタップすればすぐにブックマークが保存されます。
たとえばツイッターで面白いサイトをみつけて、ブラウザでURLをコピーし、Raindropに遷移してからこの青いボタンを押せばリンクが保存されるわけです。
もし Safari でウェブページを開いているなら、デスクトップと同様の機能をもっている拡張機能を使うことができます。これが本当に便利で、なしには過ごせません。
無料でも使えるが、Pro がおすすめ
機能満載の Raindrop.io ですが、基本機能は無料で使えるというのですから驚きです。ブックマーク、コレクション、タグ、ハイライト、すべて無制限に無料で使えます。
ファイルをアップロードする場合の容量は100MBに制限されますが、ほとんどの人にはこれは問題にならないでしょう。
しかしそれでも Raindrop.io の有料課金をお薦めしたいのが「永続的なコピー」機能があるからです。
これは保存したブックマークを Raindrop.io が背後で保存しておき、もしサイトがリンク切れになっても内容にアクセスできるようにしている機能です。
完璧な「魚拓」というわけにはいかないのですが、時間がたったブックマークにアクセスするときに威力を発揮します。
AI によるタグの推測、全文検索、リマインダ機能、ハイライトへのメモの追加、月間10GBのファイルアップロードが有料版に追加されていますが、私はむしろ安いくらいだと思って使っています。
ブックマーク公開機能や拡張機能
Raindrop.ioには他にもブックマークを他のユーザーと共有する機能があります。これはたとえば研究室で論文リストを共有して管理したいときなどに使うことができます。
また、FeedlyやFeedbinといったRSSフィードサービスとの連携や、EvernoteやGoogle Driveとの連携といった部分でもRaindrop.ioはここ数年で大分進化してきました。
個人的にはSpotifyのお気に入りリストを連携できたりする機能に可能性を感じています。
Pocket から Raindrop.io への移行
もし Pocket から Raindrop.io に移行するなら、その手続きも簡単です。Pocket の CSV エクスポート機能で情報をとりだし、それを Raindrop.io にアップロードするだけです。
私のように20000件ほどのブックマークがある場合、CSVファイルができるまでにしばらくかかることもありますので、辛抱強く待ちます。
あとは Raindrop.io の設定・アップロードからファイルをアップロードします。これで終わりです。
Raindrop.ioで決まりか?
機能が充実していておすすめなRaindrop.ioですが、不安点があるとしたら、これがカザフスタン在住のRustem Mussabekov氏個人によって開発され運営されているところです。
過去には障害で数日ダウンしたりといったこともあって、不思議に思って調べたら「一人で運営しているのか…」と驚いたのでした。
しかしいまではだいぶ安定してサービスが継続していますし、サポートもしっかりしてきたように見えます。
こうした点を不安に思う人もいるかもしれませんので、その場合は個人的なファイルはアップロードしないなどの注意をするのがよいかもしれません。
また、新しく始めるかたは、まずは無料ユーザーとして試してみて、問題なさそうだったら課金アカウントにアップグレードするという流れで触れてみると良さそうです。
もし、ここで紹介していない機能などがありましたら、ぜひ紹介してください。