新Reederは未読数を忘れて情報の流れを受け取るRSSリーダーの再発明

macOS / iOS / iPadOS 上でとても人気のある RSS リーダー、“Reeder” に大きなアップデートがやってきました。

RSS などを登録し大量の情報を読むという利用方法は変わらないものの、アプリの思想が根底から変化していますので、これまでのユーザーは注意して移行するか、今後も提供される Reeder Classic を利用するのを検討した方がいいかもしれません。

下の記事で、大きな変化のあった部分は太文字になっていますので、それをフォローするだけでも事情はわかると思います。

Reederにサイトを登録する

Reederを開くと、まずはなにも登録されていない空白のリーダー画面が表示されますので、左上の「+」ボタンからお気に入りのサイトを登録します。RSS の URL を知っていれば入力してもいいですが、普通はそのサイトの URL を入力すれば解決をしてくれます。

複数表示されているときは、なにかの事情でリダイレクトなどがあるということでしょうから、どれかを適当に選べばたいていはうまくいきます。

しかし、ここで以前との大きな違いがあります。新ReederではFeedly や Feedbin などといったサードパーティーの RSS サービスは利用できなくなり、Reeder 上にすべてのフィードを登録するようになっているのです。

もしFeedlyなどからフィードを大量に移行したい場合は、OPMLで出力してからReederに読み込ませれば、フォルダ構造も含めて反映させることができます。ただし、新Reederは有料サブスクリプションなしだと10個までしかフィードを登録できませんので、そこはご注意ください。

未読数よさらば! 情報はタイムラインで体験する

新しいReederの最大の変化は、未読数の表示がなくなり、基本的にすべての情報が時系列のタイムラインになっていることです。

「どこまで読んだか」という情報は iCloud に同期されますので、macOS から iPhone に移っても、すぐに前回アプリを開いた続きから情報の流れをつかむことができます。

私たちはふだんツイッターのようなSNSで「すべての投稿を読んでいない」などと考えることはありませんが、それと同じで、新Reederでは情報をすべてタイムラインにして、網羅することは忘れ、なんとなく遡りたいところまで遡る利用方法になっているのです。

登録されているのが RSS フィードだけだと「以前とそれほどかわらないじゃないか」と思われるかもしれませんが、新ReederではMastodonアカウント、YouTube、ポッドキャストも登録できるようになっています

これは特定のMastodonアカウントをフォローするという意味ではなく、自分のMastodonタイムラインがReederのなかに流れ込んでくるのです。これは新感覚の体験です。

登録できるのは RSS、RSSを発行しているポッドキャスト、YouTubeチャンネル、Mastodonアカウント、Blueskyアカウント、FlickrやGlassといった写真アカウントなどです。API の関係でツイッター(X)がないのと、Threads がないのも気になりますが、これほど多様な情報がひとつのタイムラインに流れ込んでくるのは、Facebookが買収して潰したFriendFeed以来かもしれません。

未読を気にせず、情報の流れを網羅しようとも思わず、適当に追うのは RSS をつかっている人でもおそらく自然な行動なので、新Reederはそれによりそったデザインになっているのです。

デザインはまだまだ未完成。macOS版よりもiOS版が使いやすい

とはいえ、すべての情報がHomeタイムラインに入り込んでいると大変な場合もありますので、Reederにはフォルダを用意してフォルダ単位のタイムラインを作ったり、一部の情報はHomeに流れないように設定することも可能です。

選択したフィードで右クリックを押し、Exclude from Home を選択すれば、たとえばMastodonのように大量の投稿が流れるフィードをHomeから除外できます。また、Home 以外にもポッドキャストのみ、動画のみのタイムラインを作ることも可能になっています。

とはいえ、新 macOS / iOS のアップデートにあわせて開発されたせいか、新Reederにはデザイン上明らかにちゃんと考えていない分も数多く存在します。たとえば:

  • 旧Reederでは存在したキーボードショートカット機能が現在は機能しません。たとえば次 / 前の記事に Vi ライクな j/k キーで遷移できませんし、共有のためのアクションボタンの設定もまだできません
  • ブックマーク、お気に入り、あとで読む、タグといった複数の保存方法があるものの、それぞれに違いがないので謎の機能になっています。あとでブックマークがRaindropなどと同期するようになるのかもしれませんが…
  • 記事を移行するときのアニメーションを無効にしたりといった設定がないので、大量の記事を読む際にはかなり動作がもっさりとしてます

おそらく今後アップデートされるのだとは思いますが、「ブックマーク・お気に入り・あとで読む」の機能が被っているのはあまり深くデザインを考えていない形跡があってちょっと不安です。

macOSだとまだ実験している感触がする一方で、このアプリのコンセプトは iOS で体験したほうが格段に納得がいきます。iOSでは私たちは時間があるたびになんとなくアプリを開いて情報を眺めているので、その利用方法に寄り添っているのです。

ツイッターやThreadsがないので、いまいちすべての情報を一つのタイムラインで体験するというわけにはいかないものの、新Reederがやりたいことは理解できますし正しい方向性だと思うので、自分はサブスクリプションで利用しようかと思っています。

ただし、Feedly の購読も念のため、やめないでおこうかな…。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。