nuraloopは聴覚を自動測定してカスタマイズしてくれる驚異のイヤホン

通勤時間が長くなってから、行動中はずっとノイズキャンセリングヘッドホンを愛用するようになりました。だいたいはSpotifyでお気に入りにいれた音楽をループにかけつつ、ときにはオーディオブックを進めながら。そしてときには、なにも音をかけずにノイズキャンセリングで雑音が消えた世界を楽しみます。

電車の轟音は短時間ならば耐えられるものの、それが2時間ほどになると疲れはしだいに蓄積してしまいます。こうして音環境を自分の意思で調整することは、ストレスを意識的に避けるのに役立つのです。

そんな私にとって、イヤホンに求めるのは音質だけではなく「長時間身につけられること」「バッテリーが持続すること」「ノイズキャンセリング性能が高いこと」となります。

そうした条件を満たすのはこれまで大型のオンイヤータイプのヘッドホンだけでしたが、ここに新しい愛用のガジェットが加わりました。聴覚を自動測定して音質をカスタマイズしてくれるワイヤレスイヤホン、nuraloop です。

このほどクラウドファンディングが開始したこの製品を、一足早く提供していただいて今年の夏からずっと使用していましたので、購入を検討している人のためにレビューしたいと思います。

(製品の提供をうけてレビューしています)

どんな人の耳にもカスタマイズするカナル型イヤホン

nuraloop 左右のイヤピースがケーブルでつながった形をしたカナル型のイヤホンです。最近だと AirPods Pro 左右独立でワイヤレスイヤホンの一つの到達点になっていると思いますが、耳から落ちてなくしてしまうことが怖い人にはまだまだこの形も人気があると思います。

イヤピース部分はタッチ式のボタンになっており、軽いタップで音楽をオン・オフしたり、ソーシャルモードという外音をとりいれたモードへの切り替えができます。また、触れたまま指をスライドすることでボリューム調整、外音調整もできるところが秀逸です。

気になるイヤピース部分は、耳に合わせた4種類のサイズのイヤーチップがありますので、内耳の形にあわせて幅広く選択することができます。

また、イヤピースと内耳の形がうまくあわずに抜け落ちがちなときは、この太い部分が自由に形状を変えて固定できる素材で作られていますので、耳に引っ掛けて位置を決めることもできます。

nuraloop が一番楽しいのは、その人の耳に合わせてプロファイルを作成できるところです。nuraloop を Bluetooth接続して、プロファイル作成を開始すると、新生児の聴力検査に使われているのと同じ技術で音波をつかって聴力の検査が始まります。

これがなかなか厳密に行われていますので、たとえばイヤーチップがちゃんと密着していない、イヤーピースがずれているといったことがあると、画像の通りに警告がでて先に進みません。正確な診断ができなくなってしまうからです。

約一分間、静かな場所で nuraloop が聴力を診断するのにまかせていると、ピロピロ…といった電子音がしてパーソナライズが行われます。これがなかなかできない体験ですし、ちゃんと別のひとのプロファイルを追加で作ると別のプロファイルになります。

プロファイルを切り替えながら音楽をきいてみると、なるほど音質が「良くなった」のかは一概にはいえませんが、聞こえ方が「違う」のはわかります。その人の耳に合わせてnuraloopが音質を調整しているので、微妙な違いが感じられるだけでもすごいことといえるかもしれません。

もう一つ、nuralop には低温を増強するための反響レベル調整もあり、その人の耳のプロファイルにあわせた反響のブーストを行ってくれます。この機能は大のお気に入りで、いつも反響レベルは基本的に最大にして利用しています。

音質は、この大きさのカナル型イヤホンにしては驚くほどの広がりがあり、反響レベルのコントロールとあわせて使用すればおそらく高級ヘッドホンやイヤホンに匹敵する満足度です。

柔軟な外音調整と、操作のカスタマイズができる点が良い!

音質の良さが強調される nuraloop ですが、操作のカスタマイズも優れています。nuraloop はイヤピースをタッチする、ダブルタップする、表面に指を滑らせるという3つの動作を右と左のそれぞれに対して設定することができます。

このうち「タップ」はちょっと感度が高すぎてイヤホンの位置を調整するために軽く触っただけでも反応してしまうため、私はふだんダブルタップに機能を割り振っています。

たとえば右のダブルタップは音楽の再生・一時停止、左のダブルタップはソーシャルモードという外の音を取り込むモードのオン・オフに割り当てています。そして左のイヤピースを軽くなでるだけで、外音の取り込みレベルを変化させる機能に割り当てました。ここまでカスタマイズができるのも珍しいと思います。

充電は nuraloop のケーブルについている電極とマグネットでくっつく専用のケーブルを USB-A のコネクタで充電器に差し込むことで行います。一時間の充電で16時間のプレイバックができますので一日中利用することができますし、10分の充電で2時間ほどの利用が可能になりますので、急いでいるときにも便利です。

いくつかの面倒な点もあるものの、クラウドファンディングが爆発的人気で進行中!

一応、長く使っていて感じた面倒な点もありましたのでまとめておきますと、なんといっても充電ケーブルが専用であること、USB-Aにしか対応していない点はややこしくなります。この充電ケーブルをなくしてはいけませんし、このためだけに USB-A の充電器が残ってしまいます。

また、nuraloop の左右のイヤピースをつないでいるケーブルはほんの少しだけ短く感じることがあります。特に後ろの髪にボリューム感があるひとは、ちょっとケーブルが引っかかったりするのを感じるかもしれません。もっとも、これはあと数センチ長いだけでも同期や服との相性といった問題が生じますので、なかなか難しいのですが。

もう一点、これは特に夏場の耳垢に悩まされている人に固有の問題になるかもしれませんが、長く使用しているとフィット感が高いために nuraloop のイアチップと本体に耳垢が溜まってしまうことがあります。これは早めに綿棒などで除去しないと面倒なことになりますので、普段からメンテナンスには気を使ったほうがいいでしょう。

nuraloop は日本では現在 Campfire でのクラウドファンディングで受注が行われていまして、ついさきほど1000%の支援を突破するという、爆発的な人気です。

製品自体はすでに完成していますので、このクラウドファンディングが届かないという可能性は低いはずです。気になる方は、ぜひ早めにチェックしてみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。