これが仮想現実への扉。Oculus Quest 2 ファーストインプレッション

2年前にはOculus Goを、そして去年は初代Oculus Questを購入してたびたびVRのゲームやVRChatなどといったソーシャルサービスを体験してきましたが、今年に入ってこの分野が大きく進化しつつあるのを感じます。

新型コロナウィルスの影響でリモートワークのための技術やサービスが大きく成長し、Facebookといった人と人をつなぐサービスもブラウザだけだけではなく、より現実を仮想化するための技術に投資を始めています。

その代表例といっていいのが、Facebookの買収したOculusが開発しているヘッドマウントディスプレイであるOculus QuestやOculus Riftといった製品、Horizonの名のもとに開発されているVR環境です。

やがてオフィスだけでなく、社会社会そのものが仮想化するときのために先行してデバイスも、仮想環境も、仮想通貨さえも一つの大きな傘のようにして資金を投入しているFacebookの戦略ですが、その要にあるのが安価で導入しやすいことで人気のOculus Questです。

今回はその2世代目、Oculus Quest 2を購入しましたので、そのファーストインプレッションを紹介したいと思います。

小型化、軽量化、しかも安く

Oculus Quest 2は、初代のOculus Questに比べれば10%ほどの軽量化と、高解像度化を、しかも初代よりも安い価格で実現した、まさに勝負の一台です。

こちらがその箱。初代Oculus Questに比べて、ちょっとだけ箱が大きくなっています。

前回にくらべてゆったりと、それぞれのコントローラーの周りに空間をとった梱包になっていますね。白ベースのデザインが目を引きます。

いくら軽量化したといっても、ヘッドストラップだけでは多少首に負担がかかるという前評判がありましたので、今回はEliteストラップという、後頭部を包み込む補強ストラップも追加で購入しました。

おそらく、このストラップを使うことが開発当初の想定で、安くしなければいけない圧力のなかでこれはオプション品になったのではないかという意見も見られましたが、きっとそうではないかと思うくらいにOculus Quest 2本体とぴったり合うデザインになっています。

Eliteストラップをつけるには、まず既存のストラップをつないでいる両側のプラスチック部分をひねるようにして取り外します。少しずつ力を強くしていけば、プラスチックが割れるかもという心配をせずに取り外せるはずです。

次にクッション部分も取り外し、ストラップを外します。念のため書いておくと、この写真ではOculus Quest 2本体の筐体シールはまだつけたままです。

こちらがEliteストラップを固定したところ。後頭部にあたるところにダイヤルが存在し、ベルトの伸縮ができます。

こちらがベルトを付けたところ。この状態で頭をいれてダイヤルでストラップを締めるとちょうど映像の焦点があう場所があります。こうした調整ができるのがEliteストラップのいいところです。また、Oculus Questをつけているときの披露もあきらかに少ない気がします。

専用ケースもあったほうがいい。収納にあまりに便利

Oculus Quest 2には普通のEliteストラップと、バッテリー付きのEliteストラップのオプション品が存在します。バッテリー付きのストラップは、充電中はOculus Linkと併用できないという制限がありますので、わたしはバッテリーなしのモデルを選びました。

しかしこのEliteストラップがつくと、なかなかにOculus Quest 2は大きくなるので、置き場所に困ってしまいます。そのとき便利なのが専用ケースです。この繭のような形をしているのがそのケース。

なかにはこのようにぴったりとOculus Quest 2本体とEliteストラップ、コントローラー、充電器とケーブルも格納することができます。

我が家ではこれを金具でドアから吊り下げることによって、追加の置き場所を作らなくてもOculus Quest 2をしまうことができるようになりました。

ただ、このケースにいれているあいだに充電することはできませんので、充電時だけはそのへんに置いて置く必要があるのはちょっと大変ですね。

解像度アップは本物だった。初めてここで「本が読めるかも」という予感が

初代Oculus Questが両眼1440✕1600ピクセルの有機ELだったのに対して、Oculus Quest 2は両眼1832×1920ピクセルのLCDになっています。

この1.5倍の解像度の効果は大きく、スタートアップのメニューに以前はみられた粒っぽいテクスチャがみえづらくなり、大げさにいうならiPhoneがRetina Displayになったときと同じような、滑らかさがあります。有機ELとLCDの違いも、色合いや黒の色調で細かく見ればあるのですが、ほとんど気になりません。

Oculus Quest 2を普通にWi-Fiでつないだあとで、今度はPCにOculus Linkで接続していくつかVRChatのワールドを散策しましたが、世界がより美しく、体験しているわれわれの側で無理せずとも現実として受け入れられる解像度に来ています。

これならば、いずれVRのなかに書斎をつくり、電子書籍を「手にとって」読むことも可能になるかもしれないという欲望がぐっと現実的になってきます。

こちらはVRChat内で撮影をした際にとってもらった、いかにも「本を探している感じ」をだした写真ですが、これが本当に本を取り出して読むことができる図書館に変わる日も近いのかもしれません。

そうなれば、知的空間としての書斎は大きく変わります。本を置く場所は半分が現実に、そしてそれと対になっている仮想の書斎を無限に作ることができます。

まだそうした知的ツールとしてのVRは未来の話ですが、そうした時代がくることに備えて、いまからVRには出入りしておこうと思っています。

興味を持ったひとはぜひ、この世界に踏み込んでみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。