万能のバーチャルカメラアプリ mmhmm(んーふー)がすごい
元Evernote CEOで、現在All Turtlesの代表をつとめているPhil Libinさんから、すごいアプリの発表がありました。
テレビカンファレンスから、ゲーム実況、プレゼンテーションのやり方さえも変えてしまう画期的なアプリなのですが、問題はその発音です。「mmhmm」(んーふー)という、英語であいづちを打つときに発する音がアプリ名になっています。
んーふー。なるほど。
mmhmm は、最も簡単に紹介するならば「Zoom や Google Meetなどのテレビ会議用のプレゼンアプリ」といえます。しかしその可能性は、はるかにそれを上回るものです。
その威力を見てみましょう。
Zoomを遥かにこえる自在の背景映像
まず、mmmhmm ではZoomのバーチャル背景のような画像をすぐに作り出すことができます。
たとえばこのように、テレビショーのホストのように、画像を後ろに呼び出すことができます(英語でわかりにくいと思いますが、Phil はここで「人気コメディアンのジョン・オリバーみたいなことができる。ああ、この画像が SNL なのは知ってる」と言ってます(笑))
輪郭がきれいだなという以外に、この程度では驚かないかもしれませんが、ここからが本番です。たとえばバーチャル背景の上にさらに Instagram から呼び出した画像を重ねて表示させることができます。
あるいはブラウザの画面や、アプリの画面もここに呼び出せます。これを実現するには現在だと OBS のようなアプリでウィンドウキャプチャを駆使しないといけませんが、mmhmm なら一発です。
まるでテレビのような演出でプレゼンを
mmhmm では自分自身の画像を縮小するのも自在です。たとえばこちらは背景を説明するためにリアルタイムに自分自身を縮小して表示したところ。
このように、これから説明するグラフと視聴者の間に自分を表示して視線を自分自身に誘導してから…。
すっと透明になってグラフの説明をすることもできます。
あるいはスター・ウォーズのジェダイのようなホログラムになって、縮小した映像をグラフの指し示したい場所に移動させることもできます。
背景は静画だけとは限りません。こちらは生放送のCNNの画像を背景にしてプレゼンをする様子です。
iPhoneのゲーム実況に使える AirPlay キャプチャ
mmhmm の機能はこれだけではありません。たとえば iPhone の AirPlay 機能を利用して、画像を WiFi 経由で取り込めば、いま手に持っている端末の画像をそのまま背景に映し出すこともできます。ケーブル無しで!これはこれまで意外に面倒なやつでした。
もちろん横方向にした画像を背景にしてフルスクリーンで表示し、自分の画像を縮小すれば、簡易的なゲーム実況画像が完成です。これだけでも mmhmm を使いたい人は大勢いるはず。
不可能を可能に。複数人でプレゼン。あとで発表を操作できる
いまプレゼン内容をシェアしようとした場合、PowerPointファイルをシェアすることや、発表している様子を録画して、それをシェアすることがほとんどです。mmhmm はそれにもっと賢い解決方法を与えてくれます。
mmhmm の Dynamic Deck 機能を使ってプレゼンを録画した場合、クラウド上にプレゼンが保存されて独自のリンクが提供されます。
プレゼンを見たい人はこのリンクを使って表示させれば、動画をそのまま再生するのではなく、プレゼンを任意のスライドにめくったり、必要に応じて演者を透明にしたり、音声をミュートしたりと、自在に操作できるようになります。
プレゼンそのものが解体されて、見る側の都合にあわせて再構成されるのです。これはすごい!
さらにそれを応用して、複数人で mmhmm のプレゼンを行うこともできます。
よく、スライドを表示しているのは一人だけだったりしますので、「スライドをめくってください」という指示のために貴重な時間を失ってしまいますが、mmhmm ではそんなことはありません。
複数の話者はどちらでもスライドをめくれますし、お互いが自分の映像を縮小したり、透明化して、片方が喋っているときは控えていることもできます。
どんなテレカンサービスや動画サービスでも使用可能
このようなすさまじい機能をもっている mmhmm ですが、どのようにこれを実現しているかというと、一種の仮想カメラとして動作しています。
自分を写しているカメラの入力、プレゼンの映像などをすべて束ねて、まるで自分自身がカメラであるかのように出力しますので、Zoom 側ではカメラとして “mmhmm” を選択すればいいだけです。
こうした仕組みで、mmhmm は Zoom だろうが、Google Meet だろうが、どんなテレカンサービスにも対応していますし、YouTubeなどのような動画配信サービスにも対応しています。
現時点ではクローズドベータ。招待を申し込もう!
mmhmm はいまのところ macOS アプリとして開発されていますが、今後 Windows にも移植される予定です。
秋の正式ローンチを目指してクローズドのベータが行われているところで、わたしもベータテスターなのですが、いきなりPhil 本人から発表があったので驚いているところです(笑)
「mmhmm を使った面白いユースケースを求めている」とのことですので、ぜひ興味のある方は応募してみてください。
fuseful の精神で開発中
Phil はもともと Evernote の開発を先導していた立場から投資家に転身したのですが、やはりこうしてプロダクトに関わっているときが一番楽しそうにしています。
そんな Phil が mmhmm の開発精神として挙げているのが fun + useful 「楽しく + 有用」の合成語としての fuseful という態度です。
新型コロナウィルスで直接会うことができなくなっているいま、中途半端なテレカンの機能に甘んじるのではなく、実際に会って会話をするよりもむしろ楽しく、有用であるようなアプリを目指したいとのことです。
どんな利用方法があるのかその限界がまだまだみえない mmhmm の正式リリースを待ちたいと思います。
mmhmm の現在の全機能については、Phil 自身が動画で説明していますので、そのすごさをぜひ生の動作で御覧ください。この操作をリアルタイムに手元でやっているのです。
関係性明示: わたしは mmhmm のベータテスターとして事前に製品の内容について Phil からうかがい、それに基づいてこの記事を書いています。ただ、実はベータが届いたのは今日だったりします(笑)