人生を変える小さな習慣
Evernoteが静かに変化しつつあることを示す動画シリーズ

Evernoteが静かに変化しつつあることを示す動画シリーズ

クラウド上のノートサービスEvernoteについてはここしばらくは目立った新機能もアップデートもないままユーザーが離れるだけの数年間でした。しかしようやく、ほんとうにやっと何かの変化があるかもしれません。

2018年の10月に新しいCEOに就任したイアン・スモール氏が、いま取り組んでいるEvernoteのアップデートの舞台裏について短いビデオシリーズを作成しているのですが、そこにはやがてやってくる新機能や、業界スタンダートからみて遅れてしまった部分の改修が見えてきます。

なにより、本当に久しぶりにプロダクトとしてのEvernoteをどうしようかという話が具体的におこなわれているのです。信じられないという、Evernoteに幻滅してしまった人も、一度はこれらの動画を見てほしいと思います。

プロダクトについての会話

たとえば、以下の動画はEvernoteのいささか壊れている検索機能をどのようにアップデートするかというデザインについて語っています。登場しているのはCEOのイアン・スモール氏と、デザインチームのマリアノ氏です。

タイプとともに検索結果が動的に変わってゆくインターフェースと、検索窓から直接編集できる検索フィルターのデザインですが、つまりはかなり時代遅れになっていたEvernoteの検索を業界標準のところまで引き上げようという取り組みです。

エディター自身もアップデートされつつあります。こちらはエディタのデザインを行っているサーシャ氏との動画です。

共有状態がわかりやすくなり、編集しやすくなっているだけではなく、全プラットフォームに共通したフォントを実装することでiOSであろうがAndroid、Win/Macであろうが完全に同じ見た目になるノートなどのように、マルチプラットフォーム上で仕える機能をかなり高度なところで線引して整理しているように見えます。

クラウド上のデータの扱い方についてもすでに実装が終わっているアップデートがあることを、エンジニアのアンカー氏と解説しているのがこちらの動画です。

閲覧されているノートの内容が本当にそのユーザーに許可されたものであるかを知るためのルックアップテーブルへのアクセスがボトルネックになっていたことをつきとめたエンジニアチームは、閲覧時だけに使うテーブルの複製を作成することで負荷を大幅に低減できたことを解説しています。

どうでしょう。久しぶりにEvernoteが動き出しているような、プロダクトが正しい方向に進み始めていることが感じられるのではないでしょうか。

イアン・スモール氏の自己紹介

これらの動画から感じられるのは、イアン・スモール氏がEvernoteの現状を正確に理解しており、ユーザーの不満や不安を解決するために必要な手を打っているという実感です。そしてこれは実に効果的な新CEOの自己紹介になっているのです。

イアン・スモール氏が赴任したとき「いったいだれ?」と思った人も多いと思います。ビデオ会議サービスのToxBox社のCEOであったり、別の会社のデータベース周りの責任者であったという情報はあるものの、具体的に氏がEvernoteにどのような貢献をできるかは未知数だったのです。

しかしこれらの動画をみると、新CEOがどんな人物で、Evernoteをどこから変えようとしているのかがよくわかります。

まず、CEOが自らデザイナーやエンジニアと同じ目線でプロダクトについて楽しそうに語っています。これは前CEOのクリス・オニール氏の時代には一切なかったことです。イアン・スモール氏は、むしろフィル・リービン氏に近い、プロダクトの人だということです。

また、こうして取り組んでいる変化についてつまびらかにすることで、Evernoteを熱心に使っているコアユーザーが興味をもち、安心するだろうということを新CEOが理解しているというのも重要な点です。

EvernoteのようなサービスのCEOに必要なのは、プロダクトに方向性を与えることと、プロダクトを通してユーザーに語ることです。この2つを、イアン・スモール氏は就任から半年で道筋を立てて実行に移しつつあるわけです。

これはユーザーとして非常に歓迎したいと思います。

次の時代のEvernoteを作れるか

ここまでの動画で示されたのは検索、エディタ、バックエンドといった、わかりやすい箇所についての改善点です。

これらがアップデートされることでEvernoteがいままでの遅れを取り戻してくれるのは大歓迎ですが、もちろんそれだけではEvernoteの衰退は止められないでしょう。次の10年に向けた新しいビジョンも必要なのです。

なによりも、いまだにデスクトップ版を軸足にしているEvernoteの仕組みを、ウェブとスマートフォン側に移すという大仕事があります。ここには大きな勇気が必要です。

たとえばこれまで維持していたデスクトップ版のEvernoteをすべてブラウザベースの仕組みに変えてしまい、Todoistのようにしてしまうことで開発スピードを上げてゆくのが自然でしょうけれども、イアン・スモール氏はどのような決断をするのでしょうか。

また、クリス・オニール氏が途中までやって放り出した形になっている機械学習によるEvernote内のデータの関連性表示といった、データの利用価値を高める取り組みについても方向性を示す必要があります。

もし機会があるなら、イアン・スモール氏にはわたしがもう10年近く提唱している「データ量によってEvernoteが自重で使いにくくなる」という問題について議論してみたいと思っています。彼なら、どのような答えをもっているのでしょうか。

会う機会があればいいのですが!

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著者
堀 正岳