まずは自分を大切に。「自己肯定感を育む子育て」クラウドファンディング成立間近

友人で国際結婚に関する著書も出版されている、塚越悦子さん(@EtsukoT)が取り組んでいる、クラウドファンディングによる翻訳プロジェクトが成立間近になっています。

翻訳される予定の本の仮のタイトルが「自己肯定感を育む子育て」と、「自己肯定感」「子育て」の強い感触のある言葉が肩を組んで突っ込んでくる印象があるのですが、悦子さん本人とお話したところ、もっとゆるやかで優しい、人生をトータルで見た親子関係の構築というテーマを扱っている本だとわかりました。

今回翻訳を手がけるのは Kathryn J. Kvols (キャサリン・クボルズ)さんの “Redirecting Children’s Behavior” で、原題は直訳すると「子供の行動を軌道修正する」となっており、30年以上コースのテキストとして使われてきた実績のある本だとのことです。

たとえば目の前で叫んでいる子供の行動を叱りつけて矯正するのではなく、叫びの背後にある同期にさかのぼって別の、より本人にとっても望ましい方向に軌道修正をしてあげる手法について、アドラー心理学をベースにして解説しています。

まずは自分を大切にする

お話をうかがっていて、深く共鳴したのは子供との関係を親として「こうあるべき」「こうしてはいけない」と教条的に考えるのではなく、子供との長く続く人間関係として捉えるという視点です。

そのためには何よりも親自身が本心ではないひどい言葉を口にしたりしないように、自分のメンタルをケアしてすることが必要だというところから本書は入っていきます。

このあたり、文化圏によって順番がとても違うところだと悦子さんは指摘します。日本だとまず子供を、そして仕事や世間体を、最後に自分を…という順序になりがちなところを、本書はまず自分、そして子供との人間関係、という具合に外に広がる輪としてとらえていくわけです。

そうして自分の中に明確に「自分はこうしたい」という気持ちがあり、それを表現できるからこそ、子供の「こうしたい」という気持ちを尊重して、望ましくない行動をその都度調整できるという考え方です。

悦子さんの家庭でも遅刻をしそうになったり、忘れ物をしそうになっている子供に先回りをして叱って間違いを未然に摘んでゆくのではなく、間違えさせてから子供が自分の行動をチェックして修正できるようになるべく気をつけているそうですが、それはこのテクストから学んだテクニックなのです。

これは、思春期の子供との付き合いかただけでなく、やがて自立して去ってゆく子どもたちとの距離感をとても早い段階から考えるのにも役立ちそうです。

クラウドファンディングによる尖った出版

本書の成立もちょっと興味深く、Thousands of Books によるクラウドファンディングによって、成立すると出版がおこなわれるという手法をとっています。

クラウドファンディングも無計画にやっているのではなく、高確率で成立するような企画でありながら、一般の出版に比べると尖ったテーマという、なかなか難しい線に挑戦しています。

「自己肯定感を育む子育て」は、クラウドファンディング期間が残りあと半月ほどですが、既に94%ほどまで来ていますので、この調子でいけばおそらく達成されることは間違いないと思います。

子育てだけではなく、人間関係あるいは自分自身を見つめ直すための本として参考になると思いますので、親として現在進行形で戦っている人、これから親になるかたはぜひ参加してみてください。

アメリカで30年以上教えられてきた
アドラー心理学に基づく子育てのコースの名テキスト
『自己肯定感を育む子育て・仮』を翻訳出版したい!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。