「FACTFULNESS」共著者、アンナ・ロスリング・ロンランドさんとのインタビュー記事が公開されました

ハンス・ロスリング「FACTFULNESS」が発売前から重版、10日間でなんと15万部を突破してとても好調です。

さまざまな人がご自身の言葉で「この本はおすすめだ」と口々に推薦しているのをみて、やはり情報量が多くて役に立つだけではなく、心をとらえて離さない、懐の深い本だと感じました。

この「FACTFULNESS」の主著者はハンスですが、グラフィックや執筆では彼の息子のオーラと、その妻であるアンナが協力したジョイント・プロジェクトでもありました。ハンスが亡き後、二人は彼の人生と考え方を本書に注ぎ込んで、後世の人がその人となりを感じてもらえるように心をくだいて本書を完成させました。

あのTEDトークで登場するグラフィックの多くも二人が協力して作成したもので、ハンスの一番の理解者であり、運命共同体だったわけです。

アンナ・ロスリングさんとお会いし、インタビューをしました

そのアンナ・ロスリングさんが去年の夏にお仕事で来日され、日経BPさまのご厚意でインタビューをさせていただくことができました。

ハンスの大ファンだった私にとって、願ってもないチャンスです。

FACTFULNESSの執筆の裏話、そしてグローバルなデータを多用している本書が日本の読者にとってもっている意味、フェイクニュースや反知性主義が蔓延する世界においてファクトを追求する意味と希望について。

ちょっと自分の趣味に偏りすぎたかもしれませんが、重要な話題を全部うかがってきました。前編・後編の前編が公開されていますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

『FACTFULNESS』著者に聞く 世界を正しく見る習慣 | NIKKEI STYLE

多少突っ込んだ質問に対してもアンナはとても公平で落ち着いた視点での解説をしてくださり、さすがはデータを扱う仕事の達人だと私も感じました。

謙虚さと好奇心

アンナとのインタビューでは、おそらくちょっと意地悪な質問を2つほど投げてみて、彼女の答えを探りました。

一つは「それはファクトではなく、君のオピニオンだろう?」という、いわゆる「それ、あなたの感想ですよね」とばかりに事実と向き合わない態度についてどう思うかという質問です。

ファクトは人の視点にどうしても左右されるのですから「それは感想ですよね」という煽りは無益な同語反復で、むしろ「そちらからみるとそういう見え方になるでしょうけれども、私から見るとこうだ」と、視点の持ち寄りが必要になります。

それを最初から拒否して、自分の土俵で意見を繰り広げる人にはどう対処するかという質問に対して、アンナは「謙虚さと好奇心」がキーワードと答えてくださいました。

議論をしているお互いに見えない部分があるという謙虚さと、より高い真実を求める好奇心という態度で望むことで、議論を拒否する人をファクトと対峙する態度によって引き上げていこうというアドバイスです。理想論的ですが、実際的でもあります。なぜなら民主的な世界では議論の最終的なジャッジは当人ではなく、その議論を目撃している側ですので、ファクトに根ざした態度は長い目でみて波及するのです。

そうした、事実に追求する粘り強さが、やがてはより良い世界を生み出してくれるのだという信念に近い強さを与えてくれるのも、本書「FACTFULNESS」の魅力です。

この記事を執筆時点でAmazon総合1位を独走中の本書、ぜひ手にとって見てください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。