タッチパネルを搭載した新型ScanSnap iX1500が登場。文書管理を簡単にするScanSnap Homeも発表
ティーザーサイトで告知されていたように、富士通PFUのドキュメントスキャナーScanSnapに据え置き型のフラッグシップモデルとしてはiX500以来、6年ぶりの新機種「iX1500」が発表されました。
スキャン速度はA4カラー原稿を300dpiで両面毎分30枚スキャンできる20%の高速化を実現したほか、前面にタッチパネルを用いた直感的なデザインを実現しており、さすがじっくりと開発していただけの仕上がりになっています。
このタッチパネルによってボタン1つで任意のクラウドに任意の形式でスキャンしたファイルを保存できるだけでなく、家族や同僚など複数人による使用も簡単になっています。
また、従来ScanSnapのスキャンを管理していたScanSnap Desktopをはじめとする複数のアプリがScansnap Homeというアプリに統合され、文書管理を直感的で楽にしています。
しかし見た目以上に、このタッチパッドとScanSnap Homeという2つの新機能には奥行きがある、PFUならではの設計思想が横溢した機種になっているのです。
世界100カ国、500万台の販売実績をもつScanSnapシリーズ
製品発表会ではPFUの半田社長より、PFUのスキャナーの全機種(ScanSnapでないものも含めて)1000万台の販売実績に到達したことが紹介され、今後も市場のニーズである、デジタルデータによってより接続され、連携のとれた社会の実現に向けてScanSnapを開発するという抱負が紹介されました。
そして、今回の新機種、iX1500 の公開です。大きさは iX500 と同じ程度ですが、大きな違いとして iX500 が2つフラップをもった形状だったのに対して iX1500 は前面フラップがなくなり、カバーを持ち上げるだけで利用可能になっています、
原稿受けトレイは下から引き出すようにしてあり、利用してもいいですし、場所が許すならば引き出さなくてもOKという形になっています。以前は2ステップかかっていた起動までの手間が、1ステップになっています。
ScanSnapの開発に携わっていた大窪開発部長からは、新ScanSnapの詳細が紹介されました。ここでPFUのスキャナー販売1000万台のうち、2018年でなんと500万台がScanSnapによるものとなったことが明かされました。全世界100カ国で提供されているというのですから、すさまじい数字です。
複雑な設定もタッチパネルからボタン1つで
今回の iX1500 の大きな目玉はカバーを開くとすぐに点灯する 4.3 インチのカラータッチパネルです。
従来は ScanSnap Desktop を開いて行わなくてはいけなかったカラーモードの設定、解像度の設定、保存先、保存形式などといった操作がすべてタッチパネルからできます。設定がちゃんとしてあれば、パソコンもスマートフォンもなく、直接文書をスキャンすることができます。
また、丸いアイコンで表示されているボタンは30個まで用意することができ、たとえば:
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カラー・スーパーファイン・JPEG形式でスキャンしてDropboxに保存
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グレー・スーパーファイン・PDFでスキャンして、BさんのEvernoteに
といった細かい設定をボタン1つで呼び出すことができます。
もちろんScanSnap Cloud対応もそのままありますので、スキャナーにおまかせで名刺、文書、写真、レシートといった判別を行い、「名刺ならばJPEG・ファインで」といった設定をそのまま適用することができます。
文書管理を格段に楽にするScanSnap Home
今回のiX1500の発表とともに、バンドルされることになったのがScanSnap Homeです。これは従来のScanSnap Desktopや名刺管理アプリを統合して置き換えるもので、有り体にいれば「文書管理用のEvernoteキラー」なアプリです。実際、ScanSnapで文書管理だけを行うならば、Evernoteが必要なくなるほどの機能をもっています。
ScanSnap HomeはまさにEvernoteと同様に、スキャンした文書が時系列順に、名刺・文書・レシートなどといった基本的な形式別に表示されます。ScanSnap でスキャンした文書はすべてここに統合されるわけです。もちろん、設定しだいではEvernoteに送ることも可能です。
しかしScanSnap Homeを利用する方がメリットがさまざまにあります。
たとえばScanSnapでスキャンをした場合、文書のタイトルを目立った大きな文字から選び出して、「20181001_文書」といったように日付と題名を自動的に作成してくれる機能がありますが、今回のScanSnap Homeではこの自動化がうまくいかず、修正を行った際にそれを学習して次からは正しくファイル名を構成してくれるという、機械学習を利用した機能があります。
名刺などで「簿記」などといった読みにくい漢字をOCRしそこねた場合、修正をおこなっておけば名刺のデザインと会社名の場所などをScanSnap Homeが覚えていますので、似たような名刺が次にスキャンされた場合には正しい会社名でとりこんでくれるわけです。
これはクレジットカードの明細書や、レシートのように同じデザインのものが何度もスキャンされるときにどんどんと効果を増してきます。
こうした学習の成果はScanSnap Home内にメタデータとして保存されています。これを応用して、たとえば文書を JPEG 形式でスキャンした場合にもOCR情報が ScanSnap Home内に蓄積していますので、JPEG画像であってもOCRした文字の検索ができるのです。これはすなおにすごい!(JPEGファイル自体にOCR情報が埋め込まれているわけではないので、あくまでScanSnap Home内での検索のみです)。
こうした高機能をもっているScanSnap Homeですが、iX1500 については家族や同僚などと利用してもらうために4ライセンスが提供されています。
そしてうれしいことに、iX500 など、過去のScanSnapユーザーも1ライセンスが利用可能となります。ScanSnap は古くても、最新の技術を無償で利用できるのです。
ハードウェアとしても進化している ScanSnap iX1500
ハードウェアとしても、今回の iX1500 はさまざまなアップデートが行われています。
たとえばスキャンまでの開始時間は、WiFi接続であっても5.4秒まで短縮されています。カバーを開くのにも数秒はかかるわけですから、感覚的には開いたらもう利用できるようになっているという感じです。
また、今回名刺や写真などを入れるたびに横幅の調整をしなくていいように、ホルダーが新たに開発されています。このホルダーをつけた状態でももちろんカバーを閉じることが可能です
また、これまでシートフィーダーを使わなくてはいけなかった A3 用紙については二つ折りでスキャンすればデジタル的に開いた形に補正して、縦線なども消してくれるようになっています。
スキャン速度はA4用紙について両面カラーで毎分30枚と、20%の向上となっているだけでなく、これまでもっと高額のスキャナー機種で利用されていたような二重紙送り防止機構などが採用されていますので、これまで以上に二重読み込みなどのエラーが少なくなります。
ScanSnapは「クラウドの周辺機器」クラウドの家電
さて、今回のアップデート、ScanSnapの長い歴史からみると実に自然な、考え抜かれた新製品だということがわかります。
2001年に最初に登場したScanSnapはパソコンの周辺機器、インターネットやクラウドなどという技術はまったく意識していませんでした。
それがiX500 になってパソコンだけではないデバイス、Evernoteなどといったクラウドサービスを意識した製品に進化したわけです。
すこしだけ状況が読みづらくなったのは、ScanSnap Cloudの登場です。ScanSnapからEvernoteやfreeeなどといったクラウドサービスに全自動で送れるようになったのはいいのですが、その判別や送信は自動でしたので、ときとして間違いがあったりしました。
どうも、ScanSnap とクラウドが直接繋がっていない印象があったわけです。
それが今回のiX1500 によって、ようやく「クラウドのScanSnap」が登場したといってもいいでしょう。
パソコンは昔は母艦でしたが、いまやパソコンはクラウドの周辺機器のような立場です。それと同じように、ScanSnapはかつてはパソコンの周辺機器でしたが、ようやくこれでクラウドに直結した、クラウドに触れることができる機器になったのです。
つまり、ScanSnapはクラウドの周辺機器にまで進化したわけです。
新型 ScanSnap iX1500 については本日から受注開始、販売は10/12を予定しています。価格は48000円(オープン)の予定とのことです。
さて、今回の新しい iX1500 につきましてはすでに私もScanSnapプレミアムアンバサダーとして私もモニターさせていただいておりますので、詳細な設定の仕方を紹介していきたいと思います。
まずはPFUのみなさん、6年にわたる開発のすえの発表、おめでとうございました!