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「マッハほどではない新書」を作るために公開編集と執筆をやってみます

ご存知のかたも多いと思いますが、12時間以内に新書をつくる「マッハ新書」というムーブメントが話題になっていて、そのスピード感と実行力に注目が集まるとともに、そのコミュニティの外側の一般読者に「書籍」として販売する際のクオリティコントロールはどうするのかといった議論がありました。

この話題、もともと「誰でも個人が出版できる時代の新書はこうあるべきだ」といった方向性があって始まった話ではありませんので、あまり最初から細かい校正や編集の問題を指摘するのも野暮なことかもしれないと思ってみていました。そのあたりの流れはotsuneさんがウォッチしていましたので、こちらの一連のツイートを御覧ください。

その後「スピード感をもってアイデアを形にする」ことを重視する提唱者のGOROman氏と、「最低限の校正などをすることが分野を長続きさせるのではないか」という立場の丹治吉順氏とのあいだで議論がわきおこったりしていました。

私は、これについては「両者とも正しい」という気持ちで見ています。というのも、そもそも上のotsuneさんのツイートでまとめられているように「12時間」という部分はたまたま決まったようなところがある話ですので、そのくらいの時間で本をまとめることができるという実行力を重視してなにかを作ることを重視するのも一つの視点ですし、12時間以上使って磨いてゆくのも一つの視点だからです。

亜音速くらいで執筆してみたい

「マッハ新書」の考え方で特に評価したいのは、「自分もなにかを書いてみたい」と思っている多くの人にとって「12時間以内」という縛りがとても強いモチベーションを生む点です。泣いても笑っても12時間以内なのですから、それにあわせてとにかくなんらかのコンテンツが無から生み出されるというのは、実に小気味がいいでしょう。

ただし、勢いにのってそれをそのままブログにアップしたり、BOOTHといった場所で販売するのもよいのですが、このタイミングではたと気弱になってしまうひともいるはずです。私などはそういうタイプで、作業は音速でやりたいですが、他人に見せるときには推敲なしにはかえって息がつまってしまいます。

「なにか間違ったことを書いていたら」と思うと、恐怖や緊張感が襲ってきてしまうので、そこでひとまずチェックはせずにはいられません。まあ、チェックしても間違いは残ってしまうのが不完全な人間の悲しさではあるのですが(笑)。

そこでマッハほどではない、亜音速くらいの企画・執筆・編集・校正という一つの流れを実践してみたいと思って、作業を進めていました。名付けて「亜音速(サブソニック)新書」です。いや、べつに名付けなくてもいいか。

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私は紙の書籍も何度も出版していますのでその流れを非常に雑に紹介しますと、このような形になっています。緑の部分が概ね著者が担当していて、背景が白い部分は編集者のウェイトが大きい部分です(もちろん例外はあります)。

多くの人がおそらく知らないのは、一文字も書く前に本は企画として出版社の編集会議を通過して「よし書いていいぞ」と承認を得なくてはならず、ここに何ヶ月も時間がかかるという点です。

もちろん、編集(校正をここに含む)にも編集されてからの修正といったものも複数回行われますので、ここでも時間はかかります。たとえば11月発売の本の脱稿が8月ではなくていけないといったように、シビアに時間が決まっているのですがそれは著者と編集との二人三脚の作業が繰り返し行われるからです。

どうしてここまで時間がかかるかというと、それは膨大な手間をかけて書籍を生み出す前に「これだったら多くの人が必要なはずだ」「こうすればわかりやすいはず」といった試行錯誤をおこなうからです。製品開発でいうなら最終デザインに向かうまでの、何度も何度もプロトタイプを作る段階がここに相当するわけです。

一人でこれを実行する場合、どこを近道できるか

では、一人でこれを実行する場合、どこを近道し、どこに力をいれればいいのでしょうか? それはもう、ひとそれぞれといっていいわけです。

「週四時間だけ働く」のティモシー・フェリス氏は「企画」の部分をGoogle Adwordsなどを使用することで潜在顧客の数を洗い出し、たとえば「ロッククライミング」と「ヨガ」の交点には英語圏に1万人買ってくれそうな人が居るといったことを想定してから商品作りをしています。

“$100 Startup” や “Side Hustle” の著作で知られるクリス・ギレボー氏は、あらかじめブログなどを通して読者が何を必要としているのかを記事への反応などからつかんでおき、そこにむけて自分の電子書籍をつくるといったことをしています。

いずれにしても「潜在読者はだれだろう」「どのような書籍を書けば、喜んでもらえるだろうか」といったハードルをここで越えておく必要があるわけです。ほら、こういうタイプのひとは12時間では無理ですね(笑)。

しかしここで大事なのは、世の中に何万部も配布する本を目指しているわけではないのなら、綿密なマーケットリサーチや企画能力は「自分の趣味」と「若干のGoogle検索」で置き換えてもいいという点です。

まずは、ここからハックしていってみましょう。頭のなかにはすでに、だいたいの企画があるのですが、それをシェアするところからこのプロジェクトを開始し、今月の月末までには短い書籍が一冊できているように作業をすすめてみたいと思います。

Gmailでおこなうインボックス・ゼロ

というわけで前置きが長くなってしまったのですが、この「亜音速新書」のテーマとして新しくなったGmailを、ライフハックの原点でありながらいまでは解説しているサイトがなくなってしまった「インボックス・ゼロ」という視点で切り取るという、短い一冊を作ってみようと思います。

そして、その編集の流れについてはnoteで行っています定期購読マガジン「ライフハック・ジャーナル」で10回程度にわけてご紹介したいと思います。もちろんこちらでも2、3回は紹介する予定ですが、ちょっと恥ずかしいので隠れて…。

また、企画を Dynalist で練る作業を、5/12日(土曜日)の午後10時からなんとなくYouTube Liveで行っている予定です。本当にまだ内容は固まっていませんが、それも含めておみせできればと。

さて、5月中に間に合うのか! チャレンジです。

 

 

 

著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。