筋トレするように読書を管理できるアプリ、Bookly
読書にもさまざまあります。没頭して一気に読み通すこともあれば、難解すぎて爪で石の壁を削るようなペースでしか進まない特書もあります。楽しんで読んでいるけれども、進捗が気になるようなタイプの読書家もいます。私などがそれです。
今日は何ページ読めただろうか? 過去数日に比べてどのようなペースだったろうか? このペースだと何時間後に読み終わるのだろうか? 今年は累計で何ページ・何時間読んでいるのだろうか? といったことが手軽にデータにできると嬉しいタイプなのです。ちょっと異常だというのはわかっているのですが、こうした可視化が好きなのです。
そうした読書ペースを記録するのにとても便利な iOS アプリ、Bookly が本家Lifehackerで紹介されていたので試したところ「これだ!」というくらいに気に入りましたので、その利用方法やメリット、まだ至らない点などについてまとめておこうと思います。
読書を筋トレ化するBookly
Booklyはよくある「すでに読んだ本を記録する」というタイプのアプリではありません。むしろ「読書のプロセスを記録」するアプリです。感覚としては時間トラッキングアプリに近いでしょう。
読書を開始したらオンにし、読書をやめたらオフにしてその時点のページ数を入力するだけで、経過時間、読破したページ数、そしてそれ以外のさまざまな統計値を計算してくれます。
たとえば、ここ数日再読していたトマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」を登録してみたのが以下の画面です。
この本に関してはISBN番号から自動的にデータが取得できましたので全体で301ページであることがわかっています。そして子供の相手をしながらですので7回にわけて1時間55分5秒のあいだ読書し、100ページ目まで進みました。
たとえば最後のセッションはたった14分8秒ですが、14ページ進行しています。ここでなにか割り込みがあったようですね(笑)。このペースで読むなら4時間56分33秒で読み終わることも見えます。
実際に本をよむときには、「Continue Reading」のボタンを押すことで以下の画面に移って、時間が計測されるモードになります。
もし一定時間読書をしたいならば、タイマーをカウントダウンに設定することも可能です。
また、すばらしいのは途中で引用したい箇所、自分の感想があったならば個別にメモすることができる点です。この引用・感想は複数入力することも可能で、有料版のProならば写真を撮影して素早く加えたり、英語ならば写真からOCRさせることも可能です。
本を追加するには、ホーム画面の「+」アイコンから画面を開き、本のバーコードを読み込ませるか、検索することによって追加します。日本の書籍はあまりヒットしませんので、手作業で入力することが多くなりますが:
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本のタイトル
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著者
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ページ数
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本の画像(オプション)
があればいいので、さほどの手間はかかりません。こうしてページ数を入力して読んでいくと、さまざまな統計値も蓄積していきます。たとえばこれまでの累積読書ページ数、1セッションごとの平均ページ数、1分あたり、1時間あたりのページ数といったものです。Proならばこの数値が本ごとに出てきますので、難しい本と、読みやすい本とのあいだで区別することもできます。
そしてトータルの読書量も、グラフとして累積表示され、年に、月にどのくらい読書をしているのかが一目瞭然となります。データマニアにとっては最高すぎます。
Booklyには遊びの要素もあり、目標を設定して読書量を達成する機能や、アプリの使い込み方によってバッジがアンロックされる機能もあります。
こうした機能はフィットネスアプリでよくみかけるものですが、まさにBooklyは読書を筋トレのように、ランニングのように習慣化させるためにデータを使うアプリなのです。
データをとることで習慣化が進む
ここまでデータ化するのはちょっと変であることはたしかです。「読書はそうしたものを気にせず没頭すべきものだ」という意見も理解できます。しかし細かく記録を取ることで得られるメリットもあります。
たとえば、なかなか忙しくて読書時間を確保できていない人にとって毎日は「今日も読めなかった」「今日も数ページしか進まなかった」というネガティブな気持ちの連続なのですが、そうはいってもそのように数ページずつ積み上げて、引用を記録してゆくことで亀の歩みでも読書が進んでいるのを数値でみて実感できるのは嬉しいものです。
Booklyを使っている間は時間が計測中なのでおいそれとそれを中断したくなくなるというのも、このアプリの副産物です。スマートフォンの通知がなろうとも、ちょっとメールがみたくなっても、「このセッションを終わらせるまでは」という気持ちをサポートしてくれます。
また、Booklyは複数の本も記録しておくことができますのでピンチョンのような難しい本と一緒に、読みやすい本も同時に読んで全部あわせて一日に100ページといった目標を設定することもできます。
Booklyの難点は、日本のISBNを引いてくれないので本が見つかりにくいという点と、まじめに使う場合は有料版に移行しないと広告表示がうっとうしいのですが、これが買い切りではなく定額制である点です(広告表示は次のアップデートで完全に削除される予定だそうです)。
Proの料金は1ヶ月で$5、6ヶ月で$20、12ヶ月で$30とちょっと高めなのですが、読書への向き合いを促進してくれるのと、これだけのデータを管理する機能と考えれば私のようなタイプには安いものですので、さっそく12ヶ月版で利用中です。
このBookly、以前は別の名前のアプリだったものが商標上の問題で最近変わったものだそうですが、今後も開発が行われそうな雰囲気があるのでぜひ日本語化などもお願いしてみたいところです。