この10年を知り、未来を予測するための「iPhone 10周年完全図鑑」

エイ出版社様から「iPhone 10周年完全図鑑」の見本誌をいただきました。ありがとうございます。そして手にとってみて、あまりの豪華さに驚いてしまいました。

これまでずっと使ってきた人にとっては、iPhoneの情報なんてだいたいわかっているよという気がするかもしれませんが、こうして初代からいままでの機種の情報が全部列挙されると、さまざまな発見があるのです。

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たとえばiPhone 4s の発売日、発売時のOSのバージョン、CPU、メモリ、画面の画素数、カメラの解像度などの情報がすべてまとまっていますし、発売までのうわさや流れもまとめてありますので、歴史を一望することができます。

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そしてすごいのが、この各機種の分解図です。時代ごとのiPhoneの技術の進歩を、ハードウェアのほうから確認することができます。

たとえばメイン基板がiPhone 3Gでは非常に大きいのに対して、iPhone Xになると集積化がすすんで小型化し、そのかわりにバッテリーの占める割合が増していることがわかります。

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それぞれの時代においての新機能がどのように実現していたのか、バイブレーションを駆動するモーターがどのように小型化したか、物理ボタンやイヤホンジャックが消えたことでどのような空間の利用のされ方が可能になったのかがわかるわけです。

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特に、カメラ部分の進化には、目を見張るものがあります。これも「あれ、この機能がついたのはiPhone 6だっけ? 7 だっけ?」と忘れそうになる話題がまとめられているので資料としても使えます。

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iPhone の進化は、その周辺分野に対しても大きな影響を及ぼしてきました。たとえばカメラの分野ではコンパクトデジタルカメラの存在理由を脅かしてきた歴史を、その映像の進化から理解することができます。

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iPhoneのようなスマートフォンが出てくるまでは持ち歩くことがなかった周辺機器もあります。それがモバイルバッテリーです。本書ではモバイルバッテリーの分野で存在感を常に出してきたcheero社に取材を行って、振り返りもしています。

それ以外にも、iPhone の進化とアプリの進化、あるいはiPhoneケースといった分野の発展といったように、この10年をまとめる資料になっています。

iPhoneはまぎれもなく、携帯端末の歴史を変えた存在です。ともすれば、目に見えるiOSの進化、アプリの進化に目が奪われがちですが、こうした着実なハードウェアの進化があったことは忘れてはいけませんし、そのためにもこうした資料は手元にもっておきたいものです。

次の10年、iPhoneの役割はどのように変わってゆくのでしょうか? それにあわせてハードウェアはどのように進化してゆくのでしょうか? そうした未来へのヒントを読み取るためにも、この10年を詳細に知ることには意味があるはずです。

Kindle版もありますが、紙版のカバーの手触りもすばらしいので、そちらもおすすめです。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。