苦手な人にお願い事をすると、味方につけることができるライフハック

イラストレーターのまおさんによる「見るライフハック大全」、5つの厳選したネタで本からイラスト化していただきました。まだご紹介していなかった3つについてまとめておきましょう。

どうも自分が書いたものをこうしてイラストにしていただくとこそばゆいような、ちょっと嬉しいような、奇妙な感じがしますね。

こちらはHack005から。心の中にヒーローを持つ、善悪や進退の基準として思い描くことができる先人を日頃からもっておくというのは、なにも最近のハックではなく、いつだって人間がやってきたことです。それをいまの言葉で表現するなら、きっとバットマンやスーパーマンといったヒーローになるのではないかと思って書いたのがこの項目です。

Hack 208の「指差し確認」は、私よりもむしろ妻が実践しているもので、家を出るときに「鍵よし!」と指をさして声を出したり、コンロの火が消えていることを確認して「消火よし!」といったように、絶対に忘れてはいけない場面でやっています。これは、あとで「本当にやったっけ?」と記憶があやふやになることを避ける意味でもとてもおすすめの方法です。猫かわいい。

Hack 176の「フランクリン効果」は、一種のマインドハックです。苦手な相手、仲が悪い相手であればあるほど、ささいなお願いをすることで相手の心理的な距離をちかづけることができるという、アメリカ建国の祖のベンジャミン・フランクリンが述べていた手法です。

どうしてこのフランクリン効果が生まれるかには諸説があります。たとえば「本をとって」というくらいにささいなお願い事でも、嫌いな相手に対してそれをやった場合には心理的な矛盾が生じるために、「いま自分は気に入らないあいつのために本をとってあげたが、それはあいつがそこまで毛嫌いする必要がない相手だからだ」と自分で自分の行動を再解釈することから生まれているという説もあります。

私がこのハックを気に入っているのは、これが両方に影響を及ぼすからです。お願いごとをたのんだこちらも、ハックを仕掛けたつもりでいながら心理的な距離は相手と近いてしまいがちです。一方的に相手を利用するのではなく、結局は仲良くなる方向に働きがちなので、悪用がしにくい。人を出しぬき、人を操るタイプのトリックが注目されるなかで、これは人間関係に対して多少前向きなハックだと思うのです。

イラスト化をたんとうしてくださったまおさん(@mao_hagi)、ありがとうございました。これ以外の245のハックについては、ぜひ本のほうを手にとってみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。