Lightroom CCがクラウド化し、スマートフォンとタブレットがワークフローの中核に
Adobeの写真管理アプリケーションLightroomは、登場した時点ですでに有名だったPhotoshopに対して先進的な、写真家のワークフローを進化させる存在でした。
そのLightroomが大きく様変わりして、単独アプリからクラウドベースのアプリへと進化しました。
名前の変化が難しいのですが:
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これまでのスタンドアローンのアプリとしての Lightroom CC は今後 Lightroom Classic CCに
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新しいクラウドサービスとデスクトップクライアント、モバイルクライアントのプラットフォームとしてのLightroomが、正式な「Lightroom CC」という名称に
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大きくアップデートされたPhotoshop CCは、Photoshop CCのまま Lightroom CCと連携
というようになっています。
Lightroom CCが使えるプランに、Creative Cloudコンプリートが含まれない怪
新しいLightroom CCはこれまで存在したクラウドストレージへの若干のアップロード機能やモバイルアプリとの連携を大幅に強化しており、それを機能の中核にしています。
デスクトップのPCには簡易のクライアントをインストールして、クラウドから写真をダウンロードして編集するスタイルになっているようです。
Lightroom CCが使えるプランと容量はいくつか分かれており、これがまたなかなかに複雑です。
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Lightroom CC単独プランの場合は、1TBのストレージで月額$9.99で
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Photography プランだと、Lightroom CCに 20GBのストレージ、Lightroom Classic CC、Photoshop CCが利用できて月額$9.99で
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Photography プラン(1TBストレージ付き)だと月額$19.99で(既存ユーザーは初年度$14.99)
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Lightroomモバイルユーザーは100GBのストレージを月額$4.99で
といったように、Lightroom CCを使うには基本的にPhotographyプランの一種に入る必要があります。
意外なのは「CC」とついているものの、月額4980円のCreative Cloudコンプリートプランには、この新しい Lightroom CCもストレージも組み込まれていない点です。新しいLightroom CCは名前はCCでも新サービスのようなものなのかもしれません。
これは、コンプリートプランユーザーの私としては、かなり不満な点です。
クラウドストレージにアップロードして、すべての場所で編集する
Lightroomという名前がついているのでわかりにくいのですが、Lightroom CCは機能的にデスクトップのLightroom Classic CCと同じものが提供されるわけではないようです。
むしろ、タブレットで利用可能な機能をデスクトップにもってきたという、モバイルを軸足にしたワークフローを実現するサービスのようです。
UIはLightroomの複雑なパネルを廃し、シングルパネルでわかりやすい編集項目だけにいまは対応しています。写真の複雑な整理方法はなく、カラーラベルも、メタデータの検索もありません。そのかわりに機械学習エンジン Sensei による画像検索が利用できます。
こうしてみると、Lightroom CCは写真の大半がスマートフォンで撮影されているのをデジタルカメラの論理で管理し、編集するこれまでのLightroomのフローを考え直し、完全にモバイル側だけで完結するサービスを構築することを目指しているようです。
そのかわり、これまでのデジタルカメラで慣れた編集ワークフローは、Lightroom Classic CCに追い出されてしまった形になっています。
これは当然の流れでもあるのですが、さまざまなカメラで何万枚、何テラバイトもの写真データをもっている写真家たちはどこか置いていかれた形になっていて、複雑な気持ちになってきます。これだったら、Adobe Revelをそのままにしておけばよかったのに…。
というわけで、利用するかどうかわからないLightroom CCですが、ひとまずの情報をまとめておきましたので、試しに参加してみるか検討してみたいと思います。