小さな習慣04: 毎週金曜日にアルバムを一枚買う

音楽についてよく言われるのが、私たちは自分たちが17, 18歳だったころの音楽を繰り返し聞いて、新しいものにはなかなか手を出さないという話です。

たしかに、自分の好みというものが出来上がった頃の音楽は馴染みがあるので安心して聞けるのですが、それ以外の音楽にも手を伸ばしてみると、しだいに自分のなかにさまざまなチャンネルがうまれてくるのも感じます。好みが和音になって、いままでよりもしだいに広がってゆくのです。

でも、音楽好きで、すでにアルバムを貪るように集めている人でもなければ、なかなか「新しい音楽に手を出そう」というきっかけはやってきません。きっかけを待っていると、いつまでもそのままです。ですから、先手を打って習慣にしてしまうと、日常に小さな喜びが生まれます。

それは金曜日か、いつでもいいのですが、ある曜日になったら必ず新しいアルバムを一枚購入するか、ライブラリに追加するという習慣です。

新しいものをルーチン的にとりいれる

むかしならばCD屋に行き、中身を聞くわけにいかない膨大なカタログからジャケットや店員さんのおすすめだけを頼りに選んだものですが、最近はApple Music なら、自分の好みにあわせて提案される音楽のリストがありますし、同様のものは Spotify のような他の音楽サービスでも必ず用意されていますので、ずいぶん楽です。

この中から、試し聴きをして気に入ったものを一つ購入するか、聴き放題ならばプレイリストに加えておくだけでもよいのです。

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私が最近よくやるのは、iTunes で用意されているクラシックのラジオチャンネルにあわせてひたすらそれを流しておくことです。すべての演奏に注目する必要はないのですが、「お、これはいい」という曲があったらプレイリストに追加しておきます。

Apple Musicの音楽ならば、その一曲からアルバム全体をダウンロードすることも1クリックでできますので、とにかく心に引っかかったものを入れてゆくだけでよいのです。クラシックの場合、それでしだいに自分の好みがみえてくるという楽しみもあります。

ルーチン化で、新しいものを心に定期的にいれてゆく

新しい音楽は、まるで沈滞していた部屋の空気が開け放たれた窓からの風で吹き流されるように、新鮮な雰囲気をもたらしてくれます。

毎週決まった日にアルバムをひとつ手に入れるというのは、なにかきっかけがあったり、気持ちがそちらに向くまで待つというのではなく、なかばルーチンとしてこれをおこなうところが要です。

たとえば月曜日を新しい音楽で迎えるのもいいでしょうし、週末に向けて新しい雰囲気をとりいれてゆくのでもいいでしょう。

そうして一年52週間がすぎると、すくなくとも52枚分の音楽が頭をくぐり抜けて、心の風景にもこれまで訪れたことがなかった泉や小高い丘ができあがるのです。

定額サービスだと、これが昔ならば年間十数万円はかかったのが、ずっと安く収まるというのもありがたいですね。ぜひ、この金曜から試してみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。