「2017年にしたいこと」をすべて書き出す効能
あけましておめでとうございます。今年も Lifehacking.jp は仕事と習慣、ガジェットと新しいメディアの最前線を追い求めるブログとして、地味に更新を続けようと思います。
新年は恒例で、その年をよい初速で始めるためのヒントの記事を載せているのですが、よい習慣をつくってみたい、仕事や家庭を充実させたいと考えるときに案外落とし穴になるのが、未来に対して明確なイメージをもっていないので、どのあたりが現実的な目標になるのか自分で自分がわからないという点です。
ふだん忙しくて、周囲から求められるままに仕事をしているときには特にそうですが、対外的になにかをこなしている自分が「本当の自分」だと錯覚してしまい、本当は何をするつもりだったのかを忘れてしまいます。
多くの人にとって、年末はそうした日常との断絶がありますので、自分のしたかったことを捉え直すチャンスです。そのとき有効なのが、したいことをすべて書きだすという手段です。
すべてを書き出してみよう。でも、できるかな?
一枚の紙をとりだして、やってみたいこと、行ってみたい場所、手がけてみたいこと、読んでみたいもの、聞いてみたいもの、すべてを箇条書きで書いていってみましょう。
なんだ簡単だろうと思っても、実はこれがなかなか難しかったりします。まず、最初の10個くらいを書いたあたりから、本当にこれは自分がしたいことなのか、それとも一般的によいものとされているからしたいのか、区別がつきにくくなります。
たとえば海外旅行にいってみたいという発想があったとして、それはどこからきたのでしょう。どこでもいいから旅行がしたいというのでもいいのですが、なんどか「なぜ」と自分に問い直してみると、実は旅行にいくのは一つの口実で、本当は現状から離れたいということだったということもあり得るのです。
あまり深刻になる必要はありませんが、一つの「したいこと」に対して、「なぜか」を一つくらい付け加えておくと、一般的に良いと思われているのでリストに加えようとしたものを排除して、自分の欲求に一段階踏み込めます。
書けた? では、もっと書き出してみよう
次のハードルは、「すべて」書き出すというところです。ここに行きたい、これがしたい、これが買いたい。そういった簡単なものが一通りすんでから、もっと自分の希望や欲求の深みにむかって降りていってみましょう。
ずっとあきらめていたけれども、もう一度再開してみたいと思っていることはありませんか? 言い訳をして先送りにしていたことはありませんか? どうやって実現したらいいのかわからないものの、こうあればいいのにと考えていることはないでしょうか。
これはなかなか危険な質問です。
というのもこれは不満や、不安や、不確定な未来に向かって手を伸ばす作業だからです。心理的には少し安心した状況でなければ、こうした思考は苦悩を生み出すこともあります。私は喫茶店などのように、邪魔は入らないものの周囲に人が大勢いる空間でこうした書き出しをしています。
意識していなかった分野にも細分化して「こうあってほしい」と望むものを、さらに書き出していきましょう。
アクション可能かどうかで色分けする
こうしてできたリストは、とても個人的で、希望的で、それでいて少し大それたところがあって、他人がこれを読んでしまったなら自分という人間の心の奥底まで一気に見通せそうな危険があります。ぜひ、念入りに隠すとともに保存しておきましょう。
このリストには、一つだけ作業を施しておくとよいのが、それが「アクション可能なのか」という色分けをしておくという手法です。
旅行にいくということなら、期間や予算をきめるというアクションをとることができます。本を読みたいなら、時間を見つけるというステップが次にあります。でも、「健康になりたい」、「年収を増やしたい」といったものはどうでしょう?
よくよく考えると、これは直接アクションがとることができないものです。「健康になる」という行動があるのではなくて、別のなにかを通して実現するものだからです。ここには掘り下げていないなにかがあるのです。
逆に、どんなアクションをとればこの望みを叶えることができるのだろうかという逆算が可能なチャンスもここにあるのです。
リストをつくるだけで、みえてくるもの
ここで自己啓発的な文脈だと、この一覧表に基いて「それを上から優先順位をきめて実現していきましょう」といったセミナーめいたことを言い出したり、「リストに書くと夢が実現するのです」などと適当なことを主張することもできるのですが、それはしません。
というのも、このリストを作り出すだけで、自分は何を求めているのかがはっきりみえてくるからです。**このリストは、書かれたすべてを消化するために作るのではありません。**自分が何を求めているのかを把握するだけで、現状との距離感、必要な時間、いまとるべき行動の方向性などといったものが客観視できます。
このリストは、そうした客観視のためにつくるもので、それができると現状と理想、そこへの道筋が立てやすくなります。いうなれば、このリストは地図に書かれた道順のようなもので、現実のたびにおいてもそうであるように、行き先を定め、適度に寄り道をして、無理なものはあきらめて、時間内に目的地に着くために使うものなのです。
少なくともこのリストにあるものを尊重していれば、自分は自分を裏切ることなく歩んでいるともいえます。
2017年を心地よく踏み出すために、ぜひ正月の空き時間を利用して「したいこと」の棚卸しに挑戦してみてください。
明日は、習慣化についての話題についてご紹介します。