小さな習慣01: 明日のTodoを前日に書き出す

忙しくても、ほんの5分ほどの時間を割いて繰り返すことで、しだいに人生に大きな流れを生み出すことができるような「小さな習慣」について週に一つずつまとめていこうと思います。

最初は小学生でもあたりまえに行う習慣、「明日にやることを前日に書き出す」というものですが、この習慣が実際に機能するための工夫はしているでしょうか?

キャプチャーの場所は固定しているか?

ToDo管理アプリを使っていてもいいですし、情報カードに「やること」を書きつけるのでも構いませんが、この情報をキャプチャーする記録する場所は固定しているでしょうか?

何度か「やること」を書き付けていると頭を空にしてアウトプットしやすい場所があることに気づくと思います。私の場合は、書き出す際には紙でないととにかくうまくいきません。それを次の日に Todoist に書き写すのが現在の運用です。

ある人は、手帳の Todo 欄を埋めることが、ある人は黄色いリーガルパッドを埋めて表紙の一枚をちぎることが、ある人は Todo アプリのインボックスにフリック入力でタスクを入れることが頭のなかに溜まっているもやもやを吐き出す儀式になります。場所が固定しているというのは、この儀式を成立させる一つの条件なのです。

アクションを定義しているか?

よく言われることですがここで書き出す内容が「仕事をなんとかする」だとそれは、ただ心配事を書きつけただけになります。

もう少しだけ気持ちを奮い立たせて、心配事の奥にある闇に踏み込んで、どんなアクションを実行すれば状況が進むのかを引き出してみましょう。

よく、Todo には動詞が入っているべきといわれますが、それはやることを曖昧にせずアクションにするための条件だったりします。しかし明確なアクションが定義できないときでも、選択肢をおいておくことがきっかけになることがよくあります。「朝にAかBかを選ぶ」というTodoを入れておくだけでも、前向きに一日を始められるのです。

あまりに仕事に対する負荷が高まっていたり、不安が高まっているときにも、可能な行動を書き付けておくだけで高い壁が少しだけ低くなったような気持ちで一日を始められます。

成功条件を意識しているか?

明日はこのタスクができれば上出来、というものを意識して前日に書き出すのも効果があります。

これはポーズのようなもので、実際に成功するかどうかというよりも、前日に次の日はこういう一日にしようと前向きに思い描いておくことで、もう明日に踏み込んだ状態で眠りにつくといった程度のことです。

その条件を失敗しても自分を責めることなく、では成功する条件はどのあたりにあるのだろうかと現実との調整を続けます。なにかが前に進んでいることが、まずは重要ですから。

一日は、前日にすでに始まっている

こうしてみると、前日にやることを書き出すのは、子供でさえも実践するくらいに基本的なことですが、高いストレスや複雑な仕事に追われているひとにはより重要な、一日を回すための小さな習慣といえます。

すべてが書かれている必要もないのです。明日に最初に目にする数行が前日にすでに書かれているだけでもいいのです。そうすることで、一日をはじめるときの摩擦を減らせるのが、この習慣のメリットです。

みなさんはどこに明日の「やること」を書きますか? それはふだんのタスク管理の場所と違いますか? それを実行するのとしないのとで、どれだけの心理的な違いがありますか?

 

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。