みんなが大好きなEvernoteに、新しいiOSアプリが登場です。
これまで壁のようにそそり立っていたホームスクリーンがなくなり、アプリを開けばすぐにノートを見ることができるのが大きな違いなのと、1タップでノートを作成し、カラーなどをつけることも可能になっています。
なにより、インターフェースがシンプルになって全体として使いやすくなっているのが大きな違いです。しかし待望のアプリアップデートですが、何か物足りない部分もある、そんな気もしています。
簡単になったインターフェース
Ver.8 と銘打たれた新しいアプリをひらくと、まず目に入ってくるのはノートの一覧です。しかも、大きく画面に広がり、主要ボタンは下にまとまった、Instagram 的な構成です。
これではノートがすぐに見つからないという場合は、一番上の「すべてのノート」をタップして、ノートブックを選んで情報を分流させることが可能です。
このノートの流れは大中小と3種類の大きさで表示させることも、画像のプレビュー、本文のプレビューを付け外しすることもできます。
横向きにした場合は、ノートの一覧と本文とが両方みえるビューになりますので、iPhone 7 Plus や iPad ではこの向きでの利用が便利です。
ノートの作成も、過去のEvernoteアプリで最速となっています。「+」のアイコンを一度タップすればすぐにノートが作成され、本文にカーソルが点滅していますのでそのまま書き始めることができます。タイトルは、明示しなければ位置情報などで適宜自動的に作成されます。
このボタンを長押しすれば、音声、写真のノート、あるいはリマインダを作るボタンが表示されます。
ノート内の装飾についても、簡単化が行われています。大中小のフォント、カラーの選択など、そこまで手間をかけずにノートに彩りを加えることができます。
また、Evernote Business 利用者には、アカウントの切り替えもすばやくできるように改善されています。アカウントタブから選択するだけで、個人のEvernoteと法人のEvernoteを切り替えて利用できるのです。
全体的にスリムダウンがおこなわれて、すっきりしている一方で、見当たらない、あるいは探しにくくなった機能もあります。
年月によるスライダー UI がなくなったのでノートをすべてみるためには延々とスクロールを続けなければいけなくなったので、私にとってはむしろ情報は探しにくくなっている気がします。直近のノートしか探す気力が起きません。
また、位置情報に基づいた地図のビューが見当たらないのは改悪です。どこかにあるのかもしれませんが、数分探しても見つかりませんでした。
また、「検索」のボタンは、最近の検索と保存した検索条件だけが列記されている、利用価値の低い画面が出てくるだけで、この肝心の機能にあまり注意が払われていないのがわかります。
ノートをさがすならむしろ、メインの画面からタグでのノートブックとタグでの絞込を行い、そこから検索を行ったほうが効率がいいでしょう。
もちろん、ノートブックとタグがすでに設定してあるなら、です。
よいアップデートだけど、これではユーザーの流出はとめられない
全体として、Evernote のシンプルな側面が強く前に出た、よいアップデートだと思うのですが、いままでできなかった何かが決定的にできるようになったわけではなく、どうしてこんなにも時間がかかったの? という印象をもちます。
これについては Verge でも論評がでていて、シンプルなのはいいけれども、少なすぎる変化が、ちょっと遅くやってきすぎたという評価がくだされています。
Evernote’s redesign is too little, too late | Verge
私も同意見です。数年待って、Evernote が到達したのが、Instagram が少なくとも 3 年前にもっていた UI 哲学だというのは、もちろんないよりもましなのですが、待ちくたびれた感があります。
そして Evernote の有用性を支えているのは、どれも最初からあった機能ばかりで、この情報の塊をさらに有効に使うためのイノベーションが停滞しているのを、今回のアップデートから強く感じます。
アプリの機能は減る、Evernote Food や Hello も消える、端末の同期数に制限は加えられ、そして値段が上がり、破壊的なプライバシーポリシー変更が取り沙汰されるといった具合に、このところ Evernote ユーザーにはその忠誠度を試される出来事ばかりです。
いまのところ Evernote にかわるツールがないからこそ、私は Evernote を使っていますが、この状況は競合するほかのサービスがやってくるよいチャンスになっているのではないでしょうか。
約束された、私の第二の脳はどこに?