Misfitウェラブルが目指す、テクノロジーとファッションの交点
テクノロジーは今後ファッション化してゆくというのは、Apple Watchの登場前後からさまざまな人によって指摘されていた点で、これは不可避の流れです。
スマートフォンならば、多くの人が同じ製品をもつことも仕方ないでしょう。それでも色で差別化をして、ケースで差別化をするというのがいまではあたりまえです。
Apple Watchについては色とバンドでさらに多くのバリエーションをもつことが可能です。自分の個性を表現する1台を選ぶことができるのです。しかしそれでも種類は少ない。
もし、先進的なデジタルデバイスを100種類、200種類といった膨大なラインナップで、流行に敏感なスタイルでつねに供給できたら、それ自体が一つのイノベーションです。そしてそれをおこなっているのが、Misfit RAY で有名になり、いまは Fossil 傘下にある Misfit のウェラブルなのです。
Fossil のファッションウェラブル
Misfit のブロガーイベントが昨日おこなわれ、Misfit 創業者のSonny Vu氏に詳しくここ最近の流れの意義についてうかがうことができました。
このブロガーイベントに先駆けて発表されていたのが、二つのプレス向けのリリースです。
「ファッションウェラブル」という耳慣れない言葉は、Fossil グループが開発している時計、小物、バッグなど、すべてに今後 Misfit の技術が組み込まれてゆくことを意味しています。
その手始めとして、Fossil、Skagenなど、さまざまなブランドの時計に、Misfitが組み込まれた製品が発表となりました。
その一つの例が、ディスプレイ型のスマートウォッチです。これは、画面がタッチディスプレイになっていることからも、Misfitのようなテクノロジーが組み込まれていることに違和感がありません。できて当然という気さえします。
しかしこちらはいかがでしょう。一見、普通のファッション時計にみえますが、実はこの底面にもMisfitウェラブルの技術が組み込まれており、スマートフォンを通して歩数や活動量をモニターすることが可能になっているのです。
時計とウェラブルの融合、ハイブリッド型のスマートウォッチです。
CEOのSonny Vu氏は、IT業界的な開発が少ないモデルを機能中心に回すスタイルとするならば、ファッション的な業界は、数十から数百の製品を季節ごとにさまざまなトレンドをとりこんで提供してゆくスタイルだと強調します。
そしてウェラブルデバイスをIT的なガジェットから、生活の一部にとけこむファッションにするために、まさにこのような開発スタイルを今後実践してゆくことを宣言していました。
それは、トラッキングデバイスだけでなく、ハイブリッド型のスマートウォッチ、ディスプレイ型のスマートウォッチに加えて、いまは公開していない4つ目の分野も含めて、百種類以上の製品を今後数年間で提供してゆくというすごいスケールのビジネスです。
データに基づいた生活の改善策を提供
しかし、ただ歩数やカロリー消費が表示されるだけでは、飽きがきてしまうのもたしかです。そのために Misfit が考えているのが、せっかく収集したデータに基づいたコーチングや、法人サービスの導入です。
その代表として、今回イベントに参加してくださったのが、株式会社リラクのみなさんです。
リラクは、ストレッチとボディケアを中心としたさまざまなセラピーや、ダイエット指導などのプログラムを提供している会社ですが、Misfitの日本法人の代表の田中さん(以前Eye-Fiにいた田中さんですね)がここの「体質改善プログラム」実際に受けてダイエットに務められたのだそうです。
面白かったのは、一日二回の体重測定、毎日の尿検査、食事を写真でアドバイザーに送信、定期的に血液検査をうけるなど、徹底的にデータを取得しているという手法です。
とくに両検査は、ケトン体という、脂肪の燃焼の指標となる量を測定することを目的におこなっていて、実際にダイエットの効果がでているのかをモニターしつつ毎日の活動を調整してゆくわけです。これで田中さんは2ヶ月で7kgの減量に成功したとのことでした。
よっぽど嬉しかったのか、イベントでは減らしたのと同じ量の肉、7kgを用意してローストポークにしていました。アナロジー的にそれはどうなの?とはおもう…けど、すごい。
大事なのは、Misfit でデータをとる先に、こうした体質改善や、健康サポートのサービスへの的確な情報インプットがあるという点です。
Misfitは SDKを提供していますので、こうしたデータを利用してコーチングやセラピーに使いたいという会社が、顧客のデータをモニターして助言をするといったことも可能になるわけです。
ウェラブルの先へ
こうして考えると、MisfitがFossilに買収されたのは実に絶妙なタイミングで、他にどの時計メーカーもここまでテクノロジーにむけて舵を切り替えることはできていないように思います。
そして多くのウェラブル会社が買い替え需要の少ないトラッキングデバイスのみを売っているあいだに、その「先」に向けて開発を進めているわけです。
私としては、そうしたウェラブルデバイスと集められた健康データへの理解をもとにして、たとえば適切なタイミングで運動の促しを与えてくれたり、助言をしてくれるようなアプリの充実がみられれば嬉しいと思います。
この点を Sonny に質問してみたところ、もちろんそれについては考えていて、90%までは人工知能的にユーザーに対して指示を与えたとしても、最後の促しや励ましを与える10%の部分は、経験あるコーチやスタッフによるマンツーマンが望ましく、サービスとしてのバランスをどうやって構築するのかについて常に考えているのだそうです。
機会があれば、私もリラクのようなサービスの助けをもらってみて、ウェラブルと生活の交点にある世界をみてみたいと思います。
(追伸)
きょう無駄に盛り上がっていたテーブルのみなさんとリラクガール #MISFITで健康ダイエット pic.twitter.com/xvVoIwMvW7
— いしたにまさき(mitaimon) (@masakiishitani) 2016年9月21日
私はとなりのテーブルだったのですが、駆けつけてスタンド使いをイメージしてポージングしたつもりがやけにセクシーな表情になってしまいましたね…。いや、すみません(笑)。