EvernoteがGoogle Cloud Platformに移行。そしてiOS 10向けの新機能も
目新しい機能向上もないまま、インパクトの大きい値段と仕様の改定に踏み切ったことで批判をうけていたEvernoteですが、ようやく、ここしばらくの沈黙の理由が少しずつ明らかになっています。
そのおおきな一歩として、先週明らかになったのがEvernoteプラットフォームが、Google Cloud Platformに移行するというニュースです。
Evernote’s Future Is in the Cloud | Evernote Blog
具体的には、これから2016年の年末までのあいだに、Evernoteの全データは現在の専用サーバーから、Google のクラウド上に移行します。この移行はユーザー側が意識する必要はなく、十分にテストされた移行作業によって、データはいつのまにか移行しているとのことです。
以前からEvernoteのユーザーは「シャード」と呼ばれるサーバー群ごとに管理されていましたが、この構造は少なくとも抽象的な形では残ります。しかし、より柔軟なクラウド・プラットフォームに移行したことで、以前のように特定のサーバーだけがアップデートが遅いなどといったことはなくなるでしょう。
気になるのはデータのプライバシーですが、これについてもEvernoteのこれまでのポリシー、「データはすべてユーザーのもの」「ユーザーのデータは保護する」「ユーザーはいつでもデータをもちだせる」は維持されるとのことです。
iOS 10 向けの新機能
すでに iPhone 上で iOS 10 に移行している人も多いと思いますが、こちらでも新しい機能が追加されています。ホーム画面からスワイプして表示するウィジェット画面において、新しいEvernoteウィジェットを表示させておくことが可能です。
ウィジェットにはもっとも利用している数個のノートと、ノート、カメラ、リマインダ、検索へのショートカットも存在しますので、1. Evernoteを開く、2. 新規ノートを開く、というステップをここから1タップで行うことができます。
多くの機能改善が行われ、また App Store が追加された iMessage においても、Evernoteのノートを送る機能が追加されています。
もし相手がEvernoteをもっているなら、iMessage アプリを離れることなく送られたノートの内容は表示されますので、Evernoteを活用している家族のあいだでは使えそうです。
Google との親和性の高まりと安心感
EvernoteとGoogleとの親和性の高まりは、先日の Google Drive 連携でも、今回の Google Cloud Platform 利用でも顕著になっています。さすが、元 Google カナダの CEO クリス・オニール氏で、話が早いということなのかもしれません。
ちょっと意地悪な見方かもしれませんが、これでEvernoteになにか深刻な事態があっても、Googleがなんとかしてくれそうな気がするのは私だけでしょうか?
すくなくとも、Evernoteのようにこれまで自前でクラウドサーバーを管理していた会社でさえも、Google のようなプラットフォームに移行して、ようやくクラウドはほんとうの意味で 「どこにあるか、どこが提供しているかユーザー側が意識しなくてよい」という意味でのクラウドに進歩したといえそうです。
これまでのサーバー構成では不可能だった機能改善についても期待していますので、2017年はEvernoteにとって大きな年になりそうです。ユーザーとしても、安心していていいのではないかと思います。