アイデアとは魚のように捕らえるものである。デヴィッド・リンチ監督のアイデアの源

よいアイデアを思いつきたい。そう思う人にとって、芸術家や映画監督がどのようにインスピレーションを得るのかは一つの参考になります。ましてや、それが「カルトの帝王」デヴィッド・リンチともなればなおさらです。

2008年に、Atlantic紙がデヴィッド・リンチ氏に対してインタビューを行った際に、「どのようにアイデアを思いつくのか」という一部分がありました。そして先週、これに不思議なアニメーションをつけた動画が公開されています。

魚のように捕まえる

「アイデアは魚のようだ。そしてあなたがアイデアを得たいと願うこと、それは餌を針につけて魚を捕まえる所に似ている」とデヴィッド・リンチ氏は語ります。

「私はよく自分の映画について、別の部屋に誰かがいて、すでに完成している映画を細切れにして送ってきているところを想像する。一つ一つ、最初はつながりがわからない。でもずっと続けているうちに、おさまるところにすべてがおさまるのだ」

「よいアイデアなんてものはない、捕まえたものだけが、アイデアなのだ」

「多くのアーティストが、創造をするために苦しまなければならないと思っている。しかし実際には、苦しみは創造性を殺してしまうのだ」

「何千億というアイデアがある。そしてそれは捕まえられることを待っているのだ」

あたりまえのコメントのように見えますが、アイデアは無限にあって、捕まえられることを待っているというイメージそのものに、私は秘密があるように思います。

よいアイデアを探しているだけでは、世界は可能性の少ない砂漠のようにみえるかもしれません。しかし、使えるアイデアと、使えないものがあるだけで、使えるものを見つけるまでずっと捕まえ続けること、そしてそれだけの豊かさが精神の世界にはあるのだと信じることには、クリエイティビティを前向きに刺激する効果がありそうです。

みたものを魅了する不思議な動画は以下からどうぞ。ちょっと、世界をより深みのある場所として認識する助けになるかもしれません。

David Lynch on Where Great Ideas Come From from The Atlantic on Vimeo.

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。