メールをAIで添削して返信率を高めるBoomerangの新機能
Gmailに時間差送受信の機能を加えてくれるサービス、Boomerangに、野心的な新しい機能が追加されています。
Boomerang Respondable (レスポンダブル)とよばれるこの新機能は、AIアシスタントがリアルタイムに文面を解析して、相手が返信してくれるようなメールになっているか添削をおこなってくれるというものです。
メールは件名の長さ、単語数、質問の数、文章の難読さ加減といった、ある程度文字をスキャンするだけで判別がつくものに加え、礼儀正しさ、ポジティブさといったあいまいなものにまでスコアを付けてくれます。しかもこれ、ブラウザ内でリアルタイムで行われるというので、メールを書きながら添削が自動的に、メールの内容を漏らすことなく行うことができるとのことです。本当か…。
みていると、文字を打ち込む度にめまぐるしく複数の側面でスコアがかわってゆきます。最も高い返信率のあるメールは、短く、要点がまとまっていて、軽いポジティブさか、軽いネガティブさが含まれる文面という解析結果を元に、そこにむけてユーザーを誘導するわけです。
面白い試みなのですが、ちょっとだけ心配なのは、こうして人間がビッグデータが指し示す「返信率」に基いて行動を制御されていき、そのひと個人がもっていた個性や、送り先との関係性のなかで生まれる言葉遣いが削がれてしまうのではないかという点です。
警告の中には、「このメールは簡単すぎる言葉をつかっているようです。もう少し洗練された表現を使ってみましょう」というものもあるようで、えも言われぬ気持ちになってきます。放っておいてくれたまえ!
Boomerang Respondable はいまのところ英語のみですが、同様の計算は日本語でも多少変更すれば可能でしょう。いずれはこうして、みえない指標に向けて私たちが文章や、アイデアや仕事を最適化してゆくのも、自然になるのかもしれません。
でもそのとき、私たちの思いは、熱意は、誠意は、消えずに残るのでしょうか? AI によって添削される文章のどこにその痕跡は残されるのでしょうか?