ミニマリストで高速なメールクライアントCloudMagicにMac版が

Gmail / Inbox を直接使うのが苦手という人にとって、Mac / iOS 上で利用するメールクライアント選びは少し面倒なことになっています。

あれほどデザインがよかった Sparrow は Facebook に買収されて、Mailbox は Dropbox に買収されてそれぞれ終了となりました。iOSアプリが欧米で絶賛されているのは Outlook ですが Mac のほうでそれを使いたくないというのも理解できます。

ああもう、MacとiOSの両方で使えて、シンプルで「メールを読んで書く」ことだけができるクライアントはないのか! と思ってしまうわけですが、そんな人にとって良い選択肢になるかもしれないのが最近 Mac 版が登場し Featured App にも登場した CloudMagic です。

CloudMagic はもともと2013年にiOSとAndroidのアプリとして開発されたメールクライアントでしたが、最初はなかなか注目されていないアプリでした。しかしMailbox などといった有名アプリに隠れてユーザーはじわじわと伸びてきて、現在では300万人に利用されているということです。

CloudMagicが他のアプリと違うのは、デスクトップ、モバイル版ともに重い IMAP/ActiveSync クライアントではなく、REST APIクライアントである点です。メールアカウントを登録すると、重い処理はすべて CloudMagic のサーバー側で行われる仕組みとなっています。

これが嫌だというひともいるでしょうけれども、結果的には高速で、バッテリー負荷の低いアプリを実現しているのが特徴となっています。

cloudmagic1

Mac版の UI も複雑さを廃してシングルパネルの簡単なものになっています。ラベルやフォルダのパネルを呼び出すこともできますが、通常はこのようにシンプルにメールが並んでいるだけです。

cloudmagic2

メールを作成する画面もこの通りシンプルです。たいていの機能は、たとえば添付ファイルをドラッグ&ドロップすれば添付されるなど、期待通りに直感的に動きます。

cloudmagic3

左上にマウスを動かすと出てくるパネル UI。現時点では新しいGmailラベルを作成することができないという制限がありますが、あまり使うことはないかもしれません。

cloudmagic4

対応しているのは Gmail, Exchange, Yahoo, Outlook, iCloud, Google Apps, Office 365, IMAP 全般など多数のメールサービスです。CloudMagicアカウントに登録しておけば iOS / Android 版ともすばやく同期して利用できます。

ちょっと使っていて面白かったのは、CloudMagic の操作感がかなり古くなってきた Gmail のショートカットに比べて1つか2つキーストロークが少ない点でした。小さなことなのですが、繰り返し使っているとキーストロークが少なくすべてのことができるというのは、特にメールクライアントだと良い体感です。

現時点での問題点

とはいえ、まだリリースされたばかりのメールクライアントということもあって、多少荒削りの部分もあります。

まず、日本語約は不完全でまだぎごちないものがあります。新規メールを作成するボタンが「構成する」になっているのは compose の訳なのでしょうけれども、もう少しここは頑張れますね(中の人にも連絡してあります)。

また、個別のメール画面でスクロールさせるためのスペースバーが使えないのでマウスが必要な点、ラベル編集やスパム報告などの機能が不在な点なども挙げられます。しかし CloudMagic の開発者の地道さをみていると、こうした点もじわじわと改善してゆくのではないかと期待できます。

skitched-20160114-012310

また、iOS / Android 版では便利に利用できるさまざまなサービスへのメール連携機能も Mac 版にはまだ見当たりません。このあたりもじきにやってくるのでしょうか。今後の開発を見守りたいと思います。

ミニマリストで高速なメールクライアントを Mac 上で探している人はぜひチェックしてみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。