毎日の生産性を高めてくれる7つの定番OS Xアプリの「脱皮」

目を見張る新しいアプリを使うのも楽しいですが、毎日の地味な仕事の生産性は毎日使う定番アプリの使い心地で決まっているといっていいでしょう。

そして、定番アプリだからこそ長く使っているとクセがたまったり、ゴミデータがたまってきて使いにくくなっていることもよくあります。

以下に紹介するのは2016年初頭の現在、私が毎日繰り返しつかっているOS X上のアプリ7種類と、それぞれについて少しだけ使い心地をよくする、いわば「脱皮」のポイントについてまとめています。多くの方にはご存知のものがほとんどでしょうけれども、そのメンテも含めてチェックしてみてください。

1. Evernote

Evernoteはウェブページであれ、名刺であれ、ファイルであれ、面倒なデータをただ放り込むだけで保存し、同期し、ある程度整理してくれる理想のワークスペースです。

しかしいろいろとものを放り込んでいるうちに、仕事と遊びのデータが混じったり、より分けにくくなることもあります。そこで、特にEvernoteを使って長い人におすすめしたいのが、二つ目のアカウントを取得して仕事場をもう一つ作ってしまうことです。

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たとえばこちらは私が読んだ論文についてのメモや、仕事で作成した図を説明とともに入れておくためだけにつくったアカウントですが、メインで使っているアカウントに何万というノートがあるのに大して、こちらはまだせいぜい数百ですし、ノートブックも数個しかありません。これ、新風が吹き込んだように清々しい気持ちになれるので、Evernoteが使いにくくなってきたという方にはぜひ試してもらいたいと思います。

二つ目のアカウントについてもEvernote Plusなら年間たった2000円、プレミアムもたった4000円ですから、私は迷わずにプレミアムにして制限なしで使うようにしています。また、メインアカウントからノートを取り込みたい場合には、メインから副アカウントに共有ノートブックをつくっておけば大丈夫。

唯一の難点は、スマートフォン上ではまだEvernoteが複数アカウントに対応していないという点です。これ、大変なのはわかるのですがぜひいつかは対応してほしいものですね。

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2. Fantastical 2

純正カレンダーアプリよりも機能的で手数が少なく予定を整理できる Fantastical 2 のおかげで、私はもう最近 Google Calendar を一切みることがなくなりました。データ上は Google Calendar を使っているのですが、触れるのは OSX と iOS 上の Fantastical 2 だけなのですね。

Fantastical 2 には「カレンダーセット」という素敵な機能があり、複数のカレンダーをセットにして登録しておくことで「仕事のカレンダー」「家庭のカレンダー」といった具合に切り替えることができる点です。こちらも、ながく使っていると使わないカレンダーと使うカレンダーのムラがでてきますので、使うものだけに集約してカレンダーセットで分離しておくといいでしょう。新年でまだ予定のすくないうちに、去年の経験で再分類をしておくのをおすすめします。

ところで、まだ OSX で Fantastical 2 ではなくて 1 を使っている人に朗報なのですが、現在 1/10 までの限定期間で App Store での Fantastical 2 が 20% オフになっています。これはバージョン1へのサポートがそろそろ終了するのでアップグレードを促したいのと、近々 2 のほうで大きなアップデートがあるのでそれにむけて利用者を拡大したいのだと中の人からご連絡をいただいています。ぜひこの機会に!

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3. 1Password

パスワード管理アプリにもいろいろありますが、私はサービス側にデータが保持されるものではなく、自前のファイルに保存される1Passwordを利用しています。そのうえで1Password ファイルをDropboxで同期させているのですが、注意深くしてさえいれば、これは Dropbox と 1Password のマスターパスワードで二重に守られているので安心できます。

1Password も長年つかっているので1000件近いパスワードやセキュアファイルが保存されているのですが、これもときどきゴミを取り除くのと、古い、安全性の低いデータを消しておくとさらに安心です。

安全性の低いパスワード、あるいは古いパスワードを洗い出すのには、1Password のスマートフォルダを利用します。写真は弱いパスワードについてのものですが、もうひとつ、最終更新日の古いものについてのスマートフォルダを用意しておいて、長いあいだ放置しているものを洗い出してそのままでよいかアカウントを消すかパスワードを更新するか検討するとよいでしょう。

4. TextExpander

TextExpanderは、この記事でもアプリ名を瞬時に入力するために愛用しているテキスト補完アプリケーションです。たとえば 1Password については私は「;1」というスニペットを入れるだけで入力が行われますので数キーストロークが節約できています。

覚えておくのが面倒なメールアドレス、銀行口座情報、住所、穴埋めするだけで送信できるメールの送信といったシーンで、TextExpanderは使えば使うほど時間を得するアプリです。

ところで最新の TextExpanderには「提案されたスニペット」という機能がついています。これはTextExpanderが起動されている間に複数回入力された文字列をモニターして、この文字列はスニペットにするといいのでは? と提案している欄です。

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こうしてみると、意外に WordPress などという文字列も定義してなかったのですぐさま「;wp」に割り当てたり、数分をつかってこのリストを処理するだけで将来にわたって得することができます。しかも最新のTextExpanderはすでに定義されている文字列でスニペットを使わなかった場合に「これだよ?」とさりげなく通知してくれる機能をもっていますので、以前のように定義したけど使わないということが次第に少なくなっています。

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5. Ulysses

最近、軽い文章執筆において Scrivener にとってかわりつつあるのが Ulysses です。欧米ではたいへんな人気で、日本でも最近注目が集まっていますね。

Ulysses の魅力は Markdown 形式ですばやく文章を書いて iCloud 経由で同期させることで iPad、OS X を切り替えながら出先でも文章をどんどんとすすめることができる点です。そして現在 iPhone 版も含めた iOS ユニバーサルアプリが開発中で、現在私もベータテスト中なのですがこれがたいへんよい感じです。

Ulysses については特に「脱皮」させるポイントはないのですが、きたる iPhone 版にむけて準備しておけば、立ったまま iPhone で執筆、すわって iPad で執筆、机で OS Xで執筆の環境が完全になります。進捗、どうですか? などともう言わせません! (いえ、言われますね)。

6. OmniFocus 2

毎日の「滑走路レベル」のタスク管理はすでに Todoist を使うことのほうが多くなっているのですが、それでも OmniFocus 2 を手放せないのは、GTD の手法でいうところの膨大な「Someday / Maybe」「やるかも」プロジェクトを Todoist に入れてしまうと面倒だというのがあります。

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そうしたとき脳内にある情報を吐き出し、プランニングを行い、最低限のアクションを抽出する際には、OmniFocus 2 で行い、それを Todoist にいれてアクションをとるというのが楽です。

流れとしては OmniFocus 2 で自在にプランニングを行った後で、テキスト形式でタスクを書き出し、Todoist の任意のプロジェクト内にインポート機能でタスクを取り込むことをしています。慣れれば、OmniFocus 2 から20秒ほどで Todoist にデータが読み込めています。

7. Reeder + Pocket + IFTTT

最後は単一のアプリというわけではないのですが、あえていうと Pocket になります。Evernote が「読んだ」ものの集積所とするならば、Pocket は「読むかもしれない」「未整理」の情報が降り積もる場所です。

降り積もり場所として有効であるためにはなるべく簡単にそこに情報が入力されないといけないのですが、これを実現するために複数の手段がすべて Pocket に向かってデータを送信するように仕立ててあります。

たとえば RSS リーダー Reeder で Feedly の情報を読み込んでいる場合、Reeder 上でスターしたものはすべて IFTTT のサービスを経由して Pocket に入力されています。このとき、Pocket への新規登録はすべてあとでブログで引用できるように自動的にテキストファイルにタイトルとURLの一覧表が追記されています。

ここまで空中戦のようなことをしなくても、Pocket にはメールひとつで情報を入力できることを再確認しておくのもいいでしょう。iOS 9 の共有がうまくいかない、他に手段がない場合でも、このアドレスにむかって登録メールアドレスからリンクを送れば Pocket に情報が降り積もります。

まとめ

今回は特に利用頻度が高い7つについて、しかも OSX アプリについてまとめましたが、他にもウェブサービスや、Creative Cloud、Office のようなサブスクリプションサービスにおいても、ゴミファイルがたまる、使い方が硬直してしまうということはままあります。

仕事が本格化する前にこのあたりに油をさして、労少なくして作業を回せるようにしておきたいものですね。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。