ペンと紙を進化させるLivescribe 3のビジョン [Review]

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本当にスマートなペンを作りたいなら、紙もスマートにしなければいけない。それが Livescribe 3 という製品のもっているビジョンです。

AMNレビューズの一環で、手書きの文字をデジタル化する Livescribe 3 の実機をサンプリングさせていただいています。スマートペンといえば、Pentel airpen pocket のように受信機を置くタイプなどがありますが、Livescribeはペンと、紙そのものに工夫がこらされています。

「スマートペン? どうせ使わないでしょう?」「電池が切れたら終わりじゃないか」という意見もあると思いますが、せっかくのレビューですのでそのあたりの正直なところを書いてみたいと思います。### Livescribe 3 使用感

スマートペンですので Livescribe は筆記した内容をデジタルに置き換えることができるのですが、よくあるのが「それって手書きの内容をスキャンしたほうが早くないか?」というツッコミです。

もし「書いた情報そのまま」しか記録できないならそのツッコミはあたっているのですが、そこを回避するために、Livescribeは専用のペンと紙を利用することで紙以上、筆記以上の機能を実現しています。

Livescribe3 2

まずはこちらがそのペン。ペンの先端部分にある赤外線カメラがペン先の軌跡をとらえますので、受信機型のスマートペンによくある、紙の上部と下部で歪みが生じるということがLivescribeでは皆無です。

Livescribe3 3

こちらがその専用のLivescribe用の紙をズームアップしたものです。この、多少のゆらぎをもって広がる細かい点を見ることで、高精度のデジタル化ができるだけでなく、この写真にあるように「ペアリング」「設定」といった機能をもたせたアイコンにペンを反応させることができます。

そう、紙がアプリになるのが、Livescribe の驚くべき特徴なのです。このあたりの操作感は動画にしてみましたので、ぜひ御覧ください。

紙がアプリ化してゆく

ペンと紙にこうした特徴があるので、とりこんだデジタルデータにも他の製品にはない加工を行うことができます。まず、ページを素直にデジタル化してアプリに吸い上げた状態がこちら。

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けっこう大雑把な文字になっていますが、それはLivescribeの性能の限界というよりも、ペン先のボールペンの限界といったほうがよさそうです。

さて、このページですが、実は入力した順番によってページ上のそれぞれの要素が「フィード」ととしても取り込まれています。

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このフィードが実によくできていて、たとえば箇条書きで1. 2…と手書きで書いていって、あとで2.の部分に追記しても、新しい要素ではなく、2の箇条書きの部分を修正してくれるくらいの精度を持っています。

また、フィードの要素単位でアプリ上でスワイプを行えば指定した言語での文字認識を行なうことができます。あらかじめ日本語か英語かを指定しておかないといけないのが面倒ですが、指定してある言語で書いている限り、かなりの精度で文字認識をおこないますので、あとで検索することが可能になります。

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Livescribe の紙がアプリなのだと意識させるのは、ノートの紙面に録音の開始・ポーズ・停止といった機能や、フラグ・タグ付けなどの機能を持たせたアイコンもある点です。

この録音機能を使えば、話しながらLivescribeでノートをとり、それをあとで再生することができます。講義とともに板書がリアルタイムで再現されてゆくので、筆記した文字がライブキャストのようなメディアに進化しているといっていいでしょう。

ページ上にはまだ機能が割り当てられていないために、現時点では利用方法がないアイコンもあります。このあたり、APIを開放するなど、アプリ内で設定できるようになればさらに奇抜な使い方もできそうです。

The Good: よい点

さて、AMNレビューズの案件についてはこれからできるだけ「正直レビュー」の体裁をとって紹介してゆこうと思います。使っていて良いと思った点について、改善したほうがよいと思う点についてまとめて、実際に購入する際の参考になるように仕上げることができればと思います。

Livescribeについては、最初スマートペンに対して懐疑的だったのが、十数ページ利用するうちに馴染んでくるのを感じました。

筆記している内容がフィードという形式でデータ化されてゆくので、「コピーやスキャンでいいじゃないか」という思いが、「これは筆記であって筆記ではない、データを作っている行為なんだ」という気持ちに変わってきました。

そもそもこれがスマートペンの本来のあるべき姿なんですよね。紙でできることがデジタルで再現出来て嬉しい、というのではスマートペンとしてはスタート地点に立ったに過ぎません。紙を超えた、筆記を越えた新しいメディアを生み出せるようでなければいけないわけです。Livescribe はそういう意味で強いビジョンをもった製品だと思います。

機能的にみても、Livescribeアプリの反応はよいですし、Bluetoothをつかめずに手間取るということもほとんどありませんでした。電池は充電式ですので、使い終わったならUSBケーブルにつないでおけばよいだけで、よくある「電池を買ってこないと使えない!」という難点はありません。

The Bad, or Ugly: 悪い点、改善すべき点

一方で、改善すべき点、これを知らずに購入してしまうと後悔してしまうかもしれない点もみられました。

  • ペンだけでなく、ノートも専用の紙ですので、ペンとノートとスマホがなければ利用できないという前提条件の多さが、持ち歩くのには実際的ではありません。むしろ書斎に据え置きにして、ペンは常に充電しておくという使い方がよい気がしました。

  • この手のペンに多いのですが、最近の進化したボールペンになれた人には、ペン先の重さと、細字をかけない鈍さが苦痛かもしれません。実際、スターターノートブックの罫線の細さはペン先に対して日本語を書くのには最適ではない気がしました。

  • ペン自体にそれなりの重さがありますので、書いていて次第に疲れてくるのと、持ち手の部分が太いために力が入れづらく、力を入れて書いていると次第に指が下にずれてくるのが、長時間書くのには向いていませんでした。

  • 上述の通り、まだ利用できないアイコンについての開発が進められているのか不明でした。Livescribe 3 は1年前に登場した製品のようですが、その後アクティブに開発が進んでいるのか、すぐにはわかりませんでした。最新の製品としてデスクトップのアプリと連携するEcho スマートペンもあるようです。機能はLivescribe 3のほうが良い部分もありますが、用途に応じて選択する必要があるでしょう。

ペン先の問題については、ゴムを巻くことでグリップを強くして疲れを軽減することもできました。実際に使う方はこうした工夫もしてみてください。

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結論:買いかどうか?

さて、この Good / Ugly の情報を前提に、自分で購入するかどうか? 独断と偏見で、あえて数字でそれを示すなら絶対に買い!を5.0とした時、自分なら4.0くらいだと思いました。

もっとも今回利用したのはスターターノート一冊だけで、もっとかき心地の良い他のジャーナルは体験していませんのでちょっと点が辛いかもしれません。購入を検討しておられる方は、ぜひこうした点を加味していただければ幸いです。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。