スライドのフィードを購読できるSlideShareのiOSアプリ
スライドは、もはやプレゼンのための道具という枠を越えています。
それは「単行本」や音楽の「アルバム」といったように、なんらかのコンテンツや思考を伝えるためのひとまとまりの単位で、しかも容易にオンラインでシェアすることができます。
LinkedIn によって買収されたオンラインスライド共有サイト、SlideShareからiOSのアプリ版が登場していて、そのことを強く全面に打ち出しています。
しかもこのアプリ、先日発表されたAppleの新しいプログラミング言語Swiftによってすべて書かれているそうで、そういう意味でも興味を持ちました。
アプリをインストールし、LinkedInのアカウントあるいは古くからのユーザーならSlideShareのアカウントでログインすると、すぐにアップロードしたスライドを閲覧することができます。
SlideShareアプリは、ここからプレゼンテーションを行うためのアプリではなく、あくまでスライドを閲覧するためのものです。しかし、iPhone 6 Plus ほどの画面になれば、ここに表示しながら対面している人に説明するくらいのことはできるでしょう。それくらい、動作が軽快なのです。
スライドの流通するSNSを目指すSlideShare
それよりも、SliadeShareアプリに特徴的なのは、これがスライドを作っている人をフォローし、テーマにもとづいて購読をし、「いいね」をつけ、共有し、スライドを発見する場所になっていることです。
たとえばインストールした時点で、テーマに細分化されたスライドを購読することをすすめられ、購読にもとづいて、いわばスライドのフィードが作成されます。なんだかこの UI と発想は RSS クライアントか、Twitter のクライアントをみているようです。
ここを眺めているだけで、知らなかったテーマのスライド、興味を引く話題、参考にしたいスライドのデザインなどが流れていきます。
スライドというと、ふだんは自分のものを管理して、せいぜいイベントなどで聞いた発表者のスライドをダウンロードするくらいのやりとりしかありません。しかし SlideShare は、知らない話題を探索し、シェアする SNS を単体で作っているのです。
SlideShare を、履歴書のようにつかう
ここでなぜ LinkedIn が SlideShare を買収したのかがみえてくるのですが、過去にどのようなスライドを作成し、公的にプレゼンテーションしてきたのかという情報はそのひとのキャリアと密接につながっています。
面白い人物のスライドはやはりフォローしたくなりますし、逆にその人の仕事や人物像を知る上でスライドは技術のレベルや思考の深さを如実に語るのです。
そして実はスライドは Word ファイルなどと同様に、もっとも流通しているフォーマットの一つでもあります。Twitter 上で “SlideShare” と検索するだけで、世界中でどれだけのスライドが、つまりはその上に乗った思考が共有されているか驚きます。
つまり、ユーザー個人としても、作ったプレゼンをそのまま放置するのではなくて、SlideShare に乗せておくことで仕事の履歴書のように使うメリットがあるわけです。
SlideShare にアップしておくだけで、それは仕事のポートフォリオになります。そしてスライドはそれ自体がランダムに閲覧され、ひとり歩きし、世界のどこかに届きます。
意外なつながりが生まれ、思ってもみなかった影響がアップロードされたスライドから広がる、そんな場所を SlideShare は目指しているのです。