行動の先に未来がある。「はじめよう!Ingress」電子書籍で発刊
「さあ、外にでて行動しよう」そんなメッセージが一番でてこなそうな会社、Googleの運営している位置情報ARゲーム、Ingress (イングレス)がいま静かな人気です。
Android/iOS上のアプリを立ち上げて現実の世界を歩くと、街の駅や郵便局、公園の銅像などが「ポータル」と呼ばれるゲーム内の拠点になっていて、プレイヤーは青と緑の二つのチームに分かれてそれらを争い、地図を舞台に陣取り合戦をします。
位置情報がゲームになっているのですが、ここにプレイヤーが自分から率先して外にでて行動したくなる仕掛けが様々にあります。### なぜ Ingress を始めると行動したくなるのか?
Ingress を始めたひとのなかには、1週間で一つの目安である「Level 8」まで到達したり、このゲームのために旅行に出たりする人もいます。もちろんたくさん歩きますので、ダイエットになっているという人も。
なぜ、ほかの方法では運動することもなかった人が、Ingress というゲームの枠組みと出会って急に行動するようになるのでしょうか?
そこにポータルがあるから
ポータルは、神社仏閣、意外なところにあるアートなど、身近なものがすでに多くのプレイヤーによって登録されています。
自分の半径数百メートルなら私たちは面白い、ポータルになりそうなものを知っているのですが、となりの数百メートルについては意外に知らなかったりします。A さんが自分の行動半径で面白いと思ったものは、Bさんにとっては未知で、逆もまたしかりです。
これがIngress全体ではたらくと、どこにいっても「こんなものがあったのか!」と驚くような場所との出会いがあるのです。
一人じゃない感覚
運動をしているときは基本的に孤独です。そこで Runkeeper などといった運動レコーディングアプリには運動の様子を中継したり、ソーシャルから励ましを受け取る機能がありますが、Ingressでそこに対応するのはゲーム内のルールです。
Ingressでは「Level 8」を境に、使える武器アイテムの強さも、一人で作ることができるポータルのレベルも頭打ちとなります。そこからは、近隣の他のプレイヤーとどうしても協力しなければいけない仕組みになっているのです。
すると自分がプレイしている行動は自分だけのためではなく、他のプレイヤーのため、そこを訪れるかもしれない人のためという、貢献、責任、協調といった要素がでてきます。
もちろん敵チームが地元に攻撃をしかけてきたときに応戦するのも、他のプレイヤーとのかかわりのなかで自分の行動が促されているという構造になっています。
さまざまな楽しみ方
Ingressにはひたすら多くのポータルを訪問する人、敵チームへの攻撃を主に楽しんでいる人、レベルアップを楽しんでいる人、巨大な陣地を作ることに集中している人など、さまざまな楽しみ方があります。
やっていることは同じなのですが、自分の目的に応じてIngressのプレイ行動の意味が変わるという意味で間口が広い設計になっているのです。
このことは、ある行動が無駄に終わっても別の回収のしかたがあるということでもあります。巨大な陣地をつくったのに5分で破壊されてしまった…残念、という場合でもフィールドを作ったポイントは獲得されているのでレベルアップに貢献しているなどといったようにです。
これは単純な運動になかなか達成感を感じられない人にとっては、上手に自分をだます手段になるのです。
行動にうながすなにか
これまでダイエットしようと思っていてもまったく始められなかった人が、Ingressと出会ってとたんに行動的になったという話は欧米でも日本でもよくききます。
上手に考えられたルールと、そこに大勢のプレイヤーが同時に参加することで、私たちの行動が促されているのです。
よく「やる気」「使命感」「責任感」「恐怖」といった方法で人を動かそうとする話題は多いのですが、Ingressのようなゲームには、それとは違った、能動的に人を動かす秘密の一端がみえているような気がします。
さて、そのIngressですが、先日インプレスからネタフルのコグレマサトさん(@kogure)、できる編集部との共著として「はじめよう!Ingress」を発刊しました。
Ingressのゲームは基本的に英語のインターフェースになっていますので、ちょっととっつきにくいという方はこちらを参照していただければすぐに楽しめるはずです。
本書は発刊と同時にKindleの「コンピュータ・IT」カテゴリで1位を獲得しており、総合でも12位まで上昇しました。あるいは本を買うという行動も、Ingressで考察してみる必要があるのかもしれませんね(笑)。
はじめてみたい!というかたはぜひよろしくお願いします。
はじめよう! Ingress(イングレス) スマホを持って街を歩く GoogleのAR陣取りゲーム攻略ガイド (できるネットeBookシリーズ)posted with amazlet at 14.09.01インプレス (2014-08-29)
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