目に見えるゴミを吸うだけでは不十分!ダイソンで学んだ「アレルゲンを減らす掃除法」

アレルギーというのは理不尽なものです。

他の人はなんともない食べ物を食べ、普通の環境に身をおいているのに、自分だけがそれに反応して咳や熱や皮膚症状が出てしまうのは悲しいものがあります。

私自身がアレルギーや喘息症状に悩まされた子供時代でしたが、ここ数年は自分の子供たちにその体質が伝わっていて、やはり頭を悩ませています。

それもあって、今回掃除機メーカーとして有名なダイソンが主催したハウスダストやアレルギーについてのセミナーと、ハンディクリーナーDC61モニターイベントがあると聞いて、是非にと参加させていただきました。

掃除機で目に見えるゴミを吸うだけ満足していませんか? それでは不十分な理由と、アレルゲンを意識した掃除法についてまとめておきます。

最も気にすべきアレルゲン、コナヒョウヒダニ

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今回、ハウスダストとアレルギーに関するレクチャーをしてくださったエフジーシー総合研究の川上祐司博士です。

氏は近年、家庭環境が清潔になって室内のダニなどの種類が減る一方で、数が爆発的に増えるケースも存在すると指摘します。たとえば長期保存されていたパンケーキ内にダニが増殖するケースや、通気性の悪い畳の設置方法によってかえってアレルゲンが増えてしまうといったケースです。

カビ、菌類、ダニなどの有害昆虫など、アレルギーの原因となるアレルゲンは多数存在しますが、特に喘息などの諸症状を起こすために警戒すべきなのが寝具などで増殖するコナヒョウヒダニです。

掃除が一番、しかしポイントは「頻度」と「吸引力」

コナヒョウヒダニは室温25度以上、湿度70%以上の条件下で大量に増えます。また、人やペットのふけや垢、ダニの死骸などといったエサの存在が、さらにこのダニを増やします。

ダニはもちろん、エサとなるこれらの粉塵は目にはみえない微細な粒子ですので、汚れてそうにみえなくても、吸いだしておく必要があります。清潔にしているつもりでも、たとえば共稼ぎの家庭では日中自宅に誰もいないために高温多湿の状態が続いて、あっという間にコナヒョウヒダニが増えるといったこともあります。

つまりとにかくこの敵は意識的な掃除で「数を減らし」「エサとなる物質を取り除く」必要があるのです。

そこで面白かったのが、川上氏の説明してくださった「アレルゲンを意識した掃除方法」です。

ポイントとしては、1. ダニは一週間もあれば増えてしまうので、できれば3日程度の頻度で掃除をおこなうこと、2. 吸引力が強く、エサとなる細かい粉塵も吸い込む掃除機を使うこと、そして 3. 排気口からアレルゲンを排出してしまう本末転倒な機器をつかわないこと、です。

これは図にしてみるとわかりやすいと思ったので、聞いたお話を自分なりにまとめてみましょう。

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まず、おそろしく単純化して、ダニはこのように増えるとします。いわゆる指数関数というやつですね。増えれば増えるほど加速して増える。こわいこわい!

Graph2

掃除をすればいったんは減ります。でもまた増えてくるわけですね。じわじわっと。

Graph3

さて、微妙にですが、掃除と掃除の間隔が長くなってしまうとどうなるでしょうか? ほんの少しずらしただけで、ダニの数は時間とともに増えてしまいます。青色の「掃除で減らせる数」を一定だと仮定するとどうしても増えてしまうのです(本当はダニの数が多いほど掃除のインパクトは多少大きいわけですが、指数で伸びる敵の数との戦いを表現していると思ってください)。

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というわけで掃除の頻度を上げることができれば、増える前に減らすことができます。理想的には3日に一度です。でもこれ、大変ですよね?

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そこで吸引力、というわけです。より正確には、同じ手間で吸い取ることができるダニと粉塵が多ければ、この青い線が長くなります。頻度はそのままでも、増えるよりも速く減らせればよいわけですね。

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めでたしめでたし、なのかというとそうはいきません。多くの掃除機は、時間とともにフィルターが目詰まりをおこし吸引力が少なくなってしまいます。図でいうと青色の線の長さが時間とともに短くなってしまうわけで、次第にダニの増殖力に負けてしまうのです。

つまり掃除の効果は、「掃除の頻度」「吸引力」そして**「吸引力の維持」**の掛け算できいてくるわけです。これは単純化した説明なので、本当はもっと複雑ですが、近似的にはこうした説明でよいでしょう。

「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というダイソンのキャッチフレーズのもつ本当の意味はここにあるのです。

DC61のデモストレーションでみる「吸引力」と「吸引力の持続」

では、実際のところ、今回紹介された DC61 ハンディクリーナーはこの二つに合格するのか、デモンストレーションを見せていただきました。

比較する対象はレイコップの布団掃除機「RS-300」。こちらを「強」で、DC61は「普通」の吸引力に設定し、RS-300は5往復、DC61は3往復という強気の条件で、シーツの下のベビーパウダーを吸った実験がこのとおりです。圧倒的。

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しかしこれだけだと、先ほどの議論でいう「吸引力」の比較だけにとどまります。「吸引力の持続」はどうかというと、DC61 の開発者の説明ではレイコップのほうは新品であったに関わらず、この1回ですでにフィルターに粉が付着し、目詰まりを起こし始めています。

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一方、DC61 の方はフィルターをコンコンと叩いても粉が落ちません。フィルターに達する前に、サイクロンの遠心分離器によって空気の流れから粉が除去されているので、そもそもフィルターにまで届かないのです。これはなかなかの説得力がありました。

まとめ

こうした製品の比較実験は、実際に目の前にしてみるととてもドキドキするものがありました。「実際にやってみたらダイソンのほうが吸わなかったらどうなるんだろう?」などと考えてしまいます(笑)。

しかしこんな心配もどこ吹く風、ダイソンの開発者の方は製品に対して絶大な信頼をもっていることが、言葉のはしばしに感じられました。

今回はこの DC61 をモニターで持ち帰ることになったのですが、こうした実験を自分でもやってみてほしいと口にしておられました。また、私たち参加者の自宅のハウスダストを採集し、その検査もやってくれることになりました。しかも1度ではなく、季節を変えつつ3回もです。

こうしたダイソンのアプローチが非常に科学的で、実証的であるのは私も科学者のはしくれですので、とても気に入りました。

このモニターの様子、DC61の詳細、そして家のハウスダストの採集についてはまた別の記事で書こうと思います。

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まずは我が家にやってきた初めてのダイソンで、徹底的にアレルゲン対策していきます!

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。