トータルな音経験で満足させてくれるゼンハイザーMomentumの実力 #耳福プロジェクト
エッセイ的な内容でお届けしてきたゼンハイザーの「耳福プロジェクト」、最終回は今回レビューさせていただいたゼンハイザーMomentum On-ear の全体的な性能と、使用した経験をまとめておこうと思います。
急ぐので3行で、という方には次のような紹介になるかと思います。
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粒のそろった高温域と、存在感のあるパンチの効いた低音部
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即座に感じとれる音空間の広がり
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目に美しいレトロモダンなデザインに、耳に柔らかいスエードのパッド
音も最高であるかわりに値段も最高なヘッドホンに比べると、ゼンハイザーMomentumは中価格帯の製品として高い満足度を届けてくれる気がしました。### ゼンハイザーMomentumの音経験
これまでの記事でも書いたとおり、ゼンハイザーMomentumを一言で形容しようと思うと、**「空間的な」**という言葉が似合うと思います。つけた瞬間、音がより広い空間から伝わってくるような余裕のあるサウンドが聞こえてきます。
私は音質としての性能を表現するのは得意ではないのですが、これまでモニター用のヘッドホンを多用してきたのと比較すると、より音楽の品格を際立たせている気がします。
これにはMomentumがもっている解像度の高い高音部と、パンチの効いた低音部の絶妙なバランスがあるのでしょう。エレクトリックな音楽などを聞くとその特徴が顕著になりますが、重厚な低音部が曲の威力を増してくれると同時に、これまで聞こえなかった高音域での編曲者の意図がバランスよくみえてきて、実に気持ちいい。
この「気持ちよさ」が、結局のところは数値的な性能や技術的な薀蓄よりも最終的な満足度を決めるのですが、一ヶ月ほどメインで使ってきたMomentumにはその傾向が強くあります。
逆にどういった音楽が苦手かというと、中音部に偏りのある古いロックやジャズの音源などはMomentumだとすこし物足りない気がしました。写真のコントラストを間違った方向に強調したような、ずれた感覚が生まれることがたまにあります。
オンイヤーの装着感
また、ここは強調しておかないといけませんが、今回レビューしたゼンハイザーMomentum On-earは、耳全体を覆う密閉型のヘッドホンではなく、あくまで耳のうえにパッドが乗る、オンイヤー型の製品だということです。これは頭の大きさや、耳への圧迫をどう感じるかといった人それぞれの部分が入ってくる点です。
使用し始めた頃は「少し圧迫されて耳が痛いな」と感じることがあったMomentum On-earですが、まるでソファのようなスエードのイヤーパッドは耳に柔らかいですし、使用しているうちに少しずつ製品の側がなじんでくるのか、今ではほとんど気になりません。
実は耳の圧迫が嫌でこれまでオンイヤー型は使ったことがなかったのですが、なるほど、こうした馴染むのかという発見がありました。
トータルな音経験の満足度
さて、先日はPerfumeの東京ドームライブに行くという、自分にしてはとても珍しいイベントがあったのですが(ええ、最高でした!)、彼女たちの歌声やダンスに魅了されるだけでなく、解釈することが不可能なまでに膨大なステージ上の情報量に圧倒されて興奮して家に戻ったのでした。
そして最初にしたのは、この Momentum ヘッドセットを着けて、その晩の曲のすべてを順番通りに再体験するという「記憶の固定化でした」。
アルバムの音楽などは100回も聞いていればしだいに経験として固定化して、どこか「飽きて」きます。それをもう一度聞き直して、ライブの経験を忘れないように音とともに覚えるのです。このとき、上述のMomentumの特徴が役に立ったのはいうまでもありません。
ともすれば書かれた文字情報しか記憶として扱わないことが多いなかで、人生の貴重な体験を真に立体化してくれるのは「何があったのか」という事実の記憶をサポートする「見た記憶」「聞いた記憶」「感じた記憶」です。
なかでも一番置き去りにされがちな「音の記憶」に耳を傾ける時間を持つために、よいヘッドホンを検討することも悪くないでしょう。
(追記)
「音の記憶」について書いた過去の記事はこちらから。
人生の感動をそのまま再現してくれる「音の記憶」を求めて #耳福プロジェクト
何度でもかみしめたい「記憶のプレイリスト」をもつこと #耳福プロジェクト
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