ハングアウトで個人授業を開ける Google Helpouts は新たな経済圏を生み出すか

ちょっとPhotoshopについて学びたい。ヨガの基本を教えてほしい。自分の事業についてコンサルティングをしてほしい。

わざわざ業者を通したり、長いコース授業を受講せずとも「ちょっと教えてもらう」ので十分というコンテンツはいくらでもあります。そして多くのスキルについてはネット越しに少し助言をもらったり、画面を共有して教えてもらうだけで事足りるケースがあります。

そうした小さな個人授業をつないで生み出すサービスをハングアウトオンエアで行う Google Helpouts が公開されています。

Googleにはめずらしいくらいの人間くさいサービスですが、これが人と人をコンテンツでつなぎあわせる小さな経済圏を生み出す可能性があります。### 個人から個人へ

Google Helpouts に現在授業を公開しているのは、コンピュータ・エレクトロニクス、アート・絵画、料理、ファッション、フィットネスなど、いくつかの分野にわかれた専門家たちです。

助言するのはコンピュータの調子が悪い場合の助言や、化粧をする際のコツについて、園芸についての助言など、生活全般にわたっています。授業料も無料のものから、一回$20、あるいは1分あたり$2といった有料のものまでさまざまです。

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面白いのは、このシステムが Google+ のハングアウトで提供されている点です。受講を希望する日付と時間を選び、Google Wallet で決済を行うと、ハングアウトで個人授業を行うことができます。録画された授業は Google ドライブにアップロードされるためあとで視聴することもでき、講座の内容に不満がある場合には返金の仕組みも存在します。

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Googleといえば検索によって答えを求める場所と思われていますが、こうしてGoogle+を利用して人と人をつなぐことで「質問」と「答え」をマッチングするところまでやってきたのだなと感心します。

授業の提供側にとってこの仕組みは、周囲に住んでいる人相手にしかスキルを提供できないという「距離」の問題をバイパスし、受講側にとっては必要なスキルをもった教師がなかなか探せないという問題を解決します。

現時点では事前の応募にこたえ、Googleによってスクリーニングされた人々が授業をもっていますが、今後は一般のだれでも開設できるようになります。そのとき、どんなマニアックな授業が開設されるのか想像をたくましくすることができます。

たとえば高校や大学の授業を同級生や下級生に個人授業する学生が登場するかもしれませんし、ゲームの攻略といった「いま知りたい」という話題に人気が集まるかもしれません。あるいはまったく教師としてのキャリアを考えていなかった人がこうしたプラットフォームで才能を開花させることもあるかもしれません。

一方でどのようにクオリティを維持するのか? そもそも一般的に維持すべきクオリティなどというものがない、提供側と受講側が納得していればOKな世界が始まっているのか?といった疑問もあります。ひょっとするとGoogle+というサービスはこうしてGoogleのサービスに人間を組み入れてゆくことで、こうした小さな経済圏をいくつも生み出す可能性を秘めているのかもしれません。

このあたりちょっと注目すべきだとおもいますので、まずは無料の講座を視聴するあたりから始めてみたいと思います。

Google Helpouts については以下の動画でも概要を説明しています。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。