弱者が強者に勝つとき:日経BPアソシエ、ビジネス洋書 "先取り" ガイド11月号より
日経BPアソシエの洋書連載「ビジネス洋書先取りガイド」、今月はシアトル空港で飛ぶように売れていたマルコム・グラッドウェルさんの新刊 “David and Goliath"です。
David and Goliathとは、旧約聖書に出てくるダビデとゴリアテの逸話のこと。ゴリアテはイスラエルと戦争していたペリシテ人の戦士。両軍の誰をもしのぐ巨躯を鎧と武具に包み、彼は自分に一騎打ちで戦うものはいないかと呼ばわります
イスラエル陣の誰もが震え上がった時に名乗りを上げたのがダビデ。のちにイスラエルの王となる彼はまだこの時羊飼いの少年に過ぎません。
歴史に名高い戦いに勝利したのは少年ダビデ。**でもそのことはみんなもう知っていますよね。**知られていないのは、なぜ彼が勝つことができたのか、その理由です。
ダビデを相手に、ゴリアテには100%勝機がなかったのです。### つづられる「弱者」の物語
マルコム・グラッドウェルさんの筆はいつも常識の煙幕にとらわれている私たちの視界を拓いてくれます。
David and Goliathのテーマとなるのは「弱者が強者に勝つ瞬間」あるいは「どうして時としてハンディキャップをものともしない人が登場するのか」です。
アソシエの連載ではもう少し突っ込んで書いていますが、やはり本書をおすすめしたいのは「どうしたら勝利できる」という表層的な事実やデータの部分ではありません。
弱者、障害者、悲劇を背負った人、運命に不公平に扱われた人への著者の哀切な視線のなかに、著者がほんとうは何を大切にしているのかが見えてくる、そこ読み取るのが本書の、あるいはグラッドウェルさんの本をどれでも読む魅力ではないかと思います。
勝者は勝者ではない。弱者も弱いだけではない。そんな勇気と、じわりとした感動を覚える本です。
日本でも翻訳予定と風の便りに聞いていますが、洋書で読んでこそこのあたりのシンパシーにあふれた雰囲気が受け取れると思いますので、ぜひ手にとってみてください。
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